そんなことあるの?
「魔族に、生まれ変わった?」
思わずオウムがえし。
生まれ変わり?
そんなことあるの?
「そう。そもそも人間は死んだらどうなると思う?」
「どうって…私がいた神聖教会では天国なり地獄なりって教えてましたけど」
私は魔王グレイスタシアの問答を受けることにした。
どの道、一度死んだ身だし、よく考えたら別に今闘う理由もない。
恐らく客間だろうか、暗い色のソファに向かい合わせで腰掛けている。
見た目に反して意外とフカフカだ。
「まるで君は信じていない様な言い草だね」
フフ、と笑っている。
それよりも!
「ここは何処で、私に何があったんですか?」
こうなれば居直る。
なんだか勿体ぶった物言いだし。
「まぁまぁ。話をもどすけど、人間は死んだら自然の輪廻に戻るんだよ」
なんだろう。不思議がる私を見て楽しんでいるのだろうか。
「なんですか。輪廻って」
と、聞いて欲しいんだろう。
もう流れに任せる。
「ふふ。肉体はね、大地にかえりそして…」
まるで観念した事を喜んでるみたい。
「魂は、魔力へと戻る」
思ったより普通。というか面白みの無い。
まぁ、そうだろうなって話。
「魔力は大気に混じり、魔法の利用に消費されたり…というかこんな事、言わなくてもしってるよね」
まぁ学術的には一般常識だ。神聖教的にはタブーだが。
だが茶々を入れるとまた長くなりそうなので、黙って頷く。
「時たま強い魔力を持つ者が死んだ時、その魔力は結合を維持する」
「まぁ魔物になっちゃうことがあるんだよね」
そんな事が。
っていう顔をしてるだろう。私は。
それくらい驚いてる。
「それでも普通は人格、記憶を維持しない」
「その人本人ではなく、あくまでもコントロールしていた魔力が行き場を失い魔物化する」
まぁ何となくは分かる。事にしておこう。
「君の場合は、その魔力量が異常すぎた」
「魔力がオリヴィア本人をまるで保存しているかの様に君そのものを再度形成した」
「こんな事、我々の文献でも確認できないよ」
やれやれ、という仕草がやけに様になっている。
と言うことは、やはり私は死んだのか。
まぁ痛かった記憶は残ってるし。
「それじゃあここは何処ですか?」
まぁ殆ど答えは出ている。
目の前にいる魔王がその答えみたいなものだ。
「その顔は、薄々感づいてるって感じだよね」
「ここは魔王領グラン=グレイスタシア。君のいたザルバニア王国と争っていた国だね」
「ちなみにここはその魔王城だよ」
まぁそうだろうな。
いきなり納得はできなくても、言ってる事は理解できる。
なにより、実感している。
今の私の体はまさに、そんな感覚だ。
どんな感覚だって話だが。
ここで別の問題がある。
「私、これからどうしたらいいですか?」