お宅訪問です!
教えてもらったガーラの家付近に着いたら、先客がいたみたいだ。
私がよく知る知り合いの家が持つ馬車によく似た馬車が止まっていた。
「どうしたのリア? 向かいの馬車なんて見つめて」
「いえ、なんでもありません。早く行きましょう」
「うん、そうだね」
少しの間小道を歩くと、目的の家が見えてきた。
「あそこの家みたいだね」
「はい、そうですね」
「……リア、僕はどうやら少し疲れているみたいだ」
「いえ、大丈夫です。私にも見えています」
ガーラの家の前に生えている木に身を潜め、こっそりと家の中を伺っているご令嬢が一人。
「ご機嫌ようチコ。数日ぶりだね」
私が声をかけると、面白いくらいびっくりした。
「マ、マードリア、カーター様! どうしてここに⁉︎」
「私はブライト家に行くついでにガーラの様子を見にきたの」
「僕はせっかくですので、アウダーさんとカヌレ様に挨拶をしようと思いまして」
「そ、そうなんだ」
チコの額に流れる汗は暑さからくるものなのか、それとも冷や汗なのか。
「それで、チコはどうしたの? そんなにコソコソして」
「いや、えっと、その……」
チコ、まともな返答をしてくれないとストーカーになってしまうよ。
「あれ、どうしたの? それに、マードリアとお兄さん?」
「あ、ガーラ。買い物に行ってたんだ」
「そうなんだよ。案外この世界での買い物って大変なんだね」
「この世界? ガーラさんは引っ越してきたんですか?」
ガーラ、お兄様は意外と鋭いから気をつけて! と、心の中で忠告しておく。
「うーん、まあ、ボクの中ではそうですね」
「そ、そうですか」
へー、ガーラの方が一歩上なんだ。でもたしかに、ガーラは何気に口喧嘩とか強いしね。
「こんなところじゃあれだし、中に入りなよ。不審者のチコも」
「……はーい」
チコは不機嫌そうにガーラを見ていた。
「ただいま」
『お邪魔します』
挨拶をすると、奥の方からガーラと同じ目を持つ、初老の男性が出てきた。
「おかえりガーラ。チコ様とそちらのお二方も、このような辺鄙なところまでご足労いただきありがとうございます。ガーラの父、ラウニー・アウダーでございます」
「これは、ご丁寧にありがとございます。ドルチエ王国侯爵家、カーター・フレーバでございます。以後、お見知りおきを」
「同じく、妹のマードリア・フレーバでございます。
ガーラさんとは学園で仲良くさせていただき、大変感謝しております」
「左様ですか。娘と仲良くしていただきありがとうございます。どうぞ、このようなむさ苦しい家ではございますが、ゆっくりしていただければと思います。後ほど、お口に合うかは分かりませんが、お茶の方を用意させていただきます」
「お気遣い感謝いたします」
この堅苦しい雰囲気が気に入らないのか、ガーラは私を引っ張って部屋に連れて行く。
「ボクの部屋はこっち。あとお父さん、マードリアは紅茶飲めないから」
「え、ちょっとガーラ!」
遠くなっていく二人は苦笑いをして、こちらにゆっくりとやってきた。
次話 本日中
あと20話以下で新章にいきたい……




