お宅訪問に行きます!
腕が重い。この世界にきて初めて、それでいて久しぶりの痛みだ。そう、筋肉痛!
「湿布……。って、この世界にはないか。ま、前世でもほっとけば治ってたし別にいっか」
今日も百合本を漁りたいけど、この家にある百合本はもう全部読み終わっているんだよね。
「ジェリー」
「どうされましたかマードリア様?」
「ブライト家に行く準備を」
「急に行ってもよろしいのでしょうか?」
「向こうはいつも急に押しかけるんだから大丈夫だよ。あ、あと途中でガーラの家に寄りたいんだけど」
一応心配はしているし。
「かしこまりました。準備をしてまいりますので、顔を洗って服の用意をお願いします」
「はーい」
顔を洗いに途中までジェリーについて行く。
「リア、おはよう。腕はどうだい?」
「少々重いですが大丈夫ですよ」
「そうか、それなら良かった。さっき途中までジェリーと一緒だったけど、どうしたんだい?」
「ブライト家に行きます。途中でガーラ・アウダーの様子も見に行きます」
「ああ、なんか帰りたがっていなかったみたいだね」
「どうして知っているのですか?」
「ビケットから手紙をもらったんだ。たぶんアイリーン様とコーリー様から聞いたんだろうね」
二人がガーラのことを話しているとは。少し意外だ。
「僕もついていくよ。アウダーさんとはあまり話したことないし、カヌレ様とも久しく会っていないからね」
「分かりました。それではジェリーに伝えておきます」
「別にそんなことしなくても、僕から言っておくからいいよ。リアは早く着替えの準備をした方が良さそうだしね」
お兄様は私の頭から足下まで一瞥してそう言った。
私はもう一度鏡を見る。うん、お兄様の言う通りだ。
「それでは私は部屋に戻ります」
「うん。僕は先に馬車に乗っているよ」
「分かりました」
夏といえば青! ということで、青のドレスを出す。
「マードリア様、服は選び終わりましたか?」
「うん」
「それでは私の出番ですね」
ジェリーは手際よくドレスを着せ、髪の毛を整えた。最後は新しくなった黄色のリボンで結べば完了だ。
「ごめんねジェリー。せっかくくれたリボンだったのに」
「構いませんよ。むしろそんなに大事にしてくださって嬉しかったです。さ、早く馬車に向かいましょう、カーター様がお待ちです」
「うん」
お兄様と出かけるのは、実は久しぶりなのだ。
だから、一緒に出かけられることが少し嬉しかったりする。
「うん、リアは今日も可愛いね」
「お兄様もカッコイイですよ」
「ありがとう! リアと出かけるの久しぶりだから、頑張って気合い入れたんだ!」
本当に幸せそうに笑っている。いや、ニヤけている。
お兄様と恋仲になる人は本当に幸せになるんだろうな〜。そもそもできるかはおいといて。
「マードリア様、カーター様、行ってらっしゃいませ」
「「行ってきます」」
まずはガーラの家に向けて出発だ!
次話 本日中
マードリアを筋肉痛にしたら自分も右腕筋肉痛になった作者です。