新たな精霊です!
リリーを部屋の中心に置いて、精霊を呼び出す。
「本当にここまで来たのね」
「リリーを助けるためなら、不可能を可能にするくらいできるよ」
「そうみたいね。それじゃあ、始めるわよ。マードリアは少し離れていなさい」
ラミスの指示に従い、私は部屋の隅っこに腰を下ろす。
ラミスの聖魔法だろうか、真っ白な光がリリーを包み込んでいく。
そして、その聖魔法を押し返す呪い。
「何やってるの?」
「リリーにかけられた呪いを解いてるの」
「そうなの」
ん? 私今、誰と話していたの? 恐る恐る横に目を向けると、ライトグリーンの短かい髪と目を持つ半透明の少女? が、私の隣で体育座りをしていた。
少女は時折頭を振ってその長い前髪を払っている。
「えっと、君は?」
「ノワールなの。そっちはなんていうの?」
「マードリアだよ」
「マードリア、覚えたの!」
「うん、私もノワールのこと覚えたよ」
リリーの方に目を戻すと、ラミスの顔からしてあまり上手くいってないみたい。
「マードリアはあの子助けたいの?」
「うん。でも、私に出来ることは何もないから、ただラミスが上手くやってくれる事を願うしかないの」
ノワールはじっと、リリーとラミスを見る。
「ラミスの魔法に対して耐性ついてるの」
驚いた。ちょっと見ただけでそんなことが分かるなんて。
「分かるの?」
「分かるの。ラミスの魔法全然通ってないの」
「どうすればいいかも分かる?」
「分かるの」
「どうすればいいの!」
「ノワールだけ与えるのも不公平なの。マードリアもノワールに何か与えるの!」
ノワールはその小さな頬を膨らませる。
「何が欲しいの?」
「分からないの。だから、マードリアが見つけるの!」
ええ、それは困ったな。
答えのないプレゼントか。うーん、こういう時アニメとか漫画ではたしか、一番大事にしているものを渡していた気がする。
一番大事なものか……。
私は髪の毛を結んでいる黄色のリボンを取る。
鮮やかな黄色のリボンと、色褪せて少しくたびれた黄色のリボンをノワールに見せる。
「これで良ければあげるよ」
ノワールは静かに手を差し出す。
「こっちのリボンからはマードリアをすごい感じるの」
「約十二年間ずっとつけていたからね。大切にしてね」
「うん! マードリアのプレゼント気に入ったからノワールも協力するの!」
そう言って、ノワールは立って手を上に向ける。すると、以前も会った褐色の精霊が落ちてきた。
「いってて、たくなんだよ。て、ノワール様!」
「ガット、あの子の呪い解くの」
「な、なぜ……」
「いいから解くの!」
「は、はい!」
ノワールに強く言われたガットは、すぐにリリーの元にいった。
「ノワールも手伝ってくるの。すぐ終わるから安心するの」
ノワールもリリーの元で魔法を発動させる。
ノワールの魔法は二人と比べものにならない力を持っていることは、この光景を見れば一目瞭然だろう。
次話 本日中
18時頃を予定してます。




