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脱走計画実行です!

 リリーが部屋に向かう途中の階段で、意識を失くして倒れた。

分かっていたことだけどやっぱり焦ってしまう。


「落ち着きなさい。マードリアは出かける準備を。レンさんは手伝ってあげなさい。チコとガーラさんは私と一緒にきなさい」

「分かりました。行くよレンちゃん」


部屋に着いてすぐに制服の上着を脱ぎ捨て、借りたローブを羽織る。


「顔見える?」

「じっくり見ないとわかりませんので大丈夫ですよ」

「なら平気だね」


時計を見ると十四時四十五分を指している。


「それじゃあレンちゃん、お願い」

「はい」


レンちゃんが調べた比較的人通りの少ない道を通って、アイリーン様の部屋に向かう。


「マードリア、気をつけてね。意識のない状態だから、以前レンさんで試した時より重いと思うわ」

「大丈夫です。女の子一人くらいなら背負えます」

「それでも気をつけなさい。しっかり背負うのよ」

「はい」


リリーを背中に乗せると、チコとガーラが紐で私とリリーを結ぶ。


「これでよし。それじゃああたし達は先に行くね」

「マードリアはボク達の努力を無駄にしないように頑張ってよ」

「はいはい」


一言多いなぁ。


 二人が先に行くと、私たちも外に出る。

レンちゃん、私、アイリーン様の順だ。

いざという時に私とリリーを隠せるようにした並びだが、幸い寮内では誰にも会わずに下までこれた。


「あとはあなた達次第よ。頑張って」 

「マードリア、大船に乗ったつもりでいてね。いくよ、ガーラ」

「了解。ボク達の迫真の演技を見せてあげる」


そう言って寮母さんの元に行く二人だが、私達としては心配であった。

だから、アイリーン様が二人のそばにいき、大丈夫そうならOKサインを出すのだ。


この待っている時間が永遠に感じてしまう。

なんか二人が喧嘩のようなものをしだした時、アイリーン様からのOKサインが出る。


「レンちゃん、道案内お願い」

「はい、しっかりと学園の外まで案内します」


私たちはなるべく音を出さないように走る。

二人も私達が動き出したのを見て、声量を大きくした。

喧嘩の内容は、チコが部屋の鍵を落とし、ガーラが部屋に鍵を置いてきたという、本当にありそうな喧嘩だ。


「マードリア様、こちらです。遠回りですが、死角ができます」

「りょ、了解」


流石に人を背負っての全力疾走は体にくる。

だが、絶対に速度を落としてはいけない。

これは時間との勝負でもあるが、いかに人があまり通らない時間帯に学園から出ることができるかの勝負でもあるから。


「こちらです」


 レンちゃんが向かった先は、門とは反対方向だ。


「どこ行くのレンちゃん!」

「皇子様方にお願いをしています。大丈夫です、着いてきてください」


レンちゃんに従ってついて行くと、フーリン様、コリー王子様、ダミアの三人がはしごを用意して待っていた。


「マードリア、急いでください!」

「えっと、このはしごは?」

「受付にあったから持ってきた」

「盗んできたの間違いだ。だから早くいけ、バレたら終わりだ」

「リリーさんは、私がマードリア様の後に上って支えますから安心してください」


有無を言う暇も与えられず、私ははしごを登る。

しっかりと支えられているので安定して上ることができる。


「マードリア様!」


下を見るとジェリーが待っていた。


「ジェリー!」

「そのまま飛び降りてもらって大丈夫です」


私はジェリーの言葉を信じて飛び降りる。

すると、風が体を包み込み、安全に足をつくことができた。


「皇子様方から理由は聞いております。早く馬車にお乗りください」

「ありがとうジェリー、御者さんもありがとうございます」

「お嬢様を安全に、お望みの場所に運ぶことだけが仕事ですので。さ、お乗りください」


馬車に座ったと同時に、馬車は走り出した。

次話 2月22日


明日には、明日には終わるはず……。

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