試験終了です
先生の元に行く時のリリーの手は微かに震えていた。
リリーは分かっているんだ、自分が呪いに侵されていることを。そして、今日が山だということを。
「リリー待って」
「マードリア様?」
リリーの手を握る。暖かく、微かに震えている手を両手で包み込むように。
「大丈夫だから、頑張って」
リリーは笑顔を見せる。いつもと変わらない笑顔を。
「ありがとうございます」
遠ざかるリリーの背中を見て改めて誓う。
絶対に救うと。
リリーは氷魔法を放つ。
側からみてもリリーの魔法の洗練さがよく分かる。そして、その顔色の悪さも。
「リリー、お疲れ様」
「マードリア様もお疲れ様です。少々疲れてしまいました」
リリーは笑顔を作る。ただ、その笑顔は引きつっており、我慢しているのがよく伺える。
「立っているのがつらいのなら座っていなさい。顔色が優れないのがよく分かるわ」
アイリーン様は近くのベンチに座っている人達に声をかける。
楽しそうに喋っていた生徒達は、ベンチから立ってどこかに行ってしまった。
「座ろう。無理することないよ」
「ですが、とか、大丈夫ですはなしだからね。辛そうにしているのは分かるもん」
「……ありがとうございます」
チコに先手を越されたリリーは従わざるをえなかった。
リリーが座ると、すかさずレンちゃんが水やらタオルを持ってきた。
本当にレンちゃんは面倒見いいなと思ってしまう。
運動部のマネージャーみたい。
「ありがとうございます、レンさん」
「これくらいしか私はできないから」
「リリー、もしあれだったら私に寄りかかってもいいからね」
「いえ! 流石にそこまではいたしません!」
全力拒否されちゃった。ただ遠慮しているだけっていうのは分かっているけど、少し心が痛む。
「それじゃあ、振られたマードリアの為にボクがよりかかってあげるよ」
そう言ってガーラは私の膝に座ってきた。
そのことに気づいたアイリーン様がさらに近づいてきた。
「ガーラさん! いくらなんでもやりすぎです! 少しは身分を──」
「別に私は構いませんから。それに、そろそろアイリーン様の番ですので準備をした方がよろしいのでは?」
「それとも何? アイリーンはボクの代わりにマードリアの膝に座りたいの?」
ニヤニヤとしながらガーラはアイリーン様を逆撫でするようなことを言う。
「そんなんじゃないわよ! もう、マードリアがいいのなら、私は何も言わないわ!」
「あーあ、アイリーン様怒っちゃった。ガーラ、ナイス!」
「でしょう」
この二人には、私には到底分かりえない何かがあるんだろうなと思った。
アイリーン様を最後に、試験も終わりを迎えた。
そして、ここからが私達にとっての本番だ。
みんなの緊張が張り詰める空気の中、事態は動き始めた。
次話 本日中
そういえば、誤字報告とpv6万越えありがとうございます!
((誤字はもっと気をつけます(ー ー;)




