表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/112

役割分担です!

 私とレンちゃんはある場所に向かう。

この学園で唯一、生徒が手紙以外で遠くの人と会話ができる手段がある場所に。


 一際豪華な茶色い扉をノックする。


「一年、Sクラスのマードリア・フレーバです」

「同じく、レン・ストルです」

「どうぞ、お入りください」


許可がもらえたのでドアを開けて中に入る。


「どうしたのリア? 分からない問題とかあった?」

「いえ、お兄様にひとつお願いがあるのです」

「そっか、それじゃあ聞こうか。ひとまず二人とも、席に座って。ずっと立っているわけにはいかないしね」


お兄様に促され、私達は席につく。

お兄様はわざわざお茶とお菓子を用意してくれた。


「単刀直入に言いますと、ある魔道具を使わせて欲しいのです」

「なんの魔道具?」

魔話水晶(マジックトーク)です」


お兄様は何も言わず、一口お茶を飲む。


「兄、カーター・フレーバとしてはリアの願いを叶えたい。だけど、生徒組織会長としては、理由を聞いて判断しなければならない」


お兄様はカップを置いてこちらを見る。


「理由を聞かせてくれないか?」

「友人を救いたいのです」


◇◆◇◆◇


 なぜお兄様のところに私とレンちゃんがいるのか。

それは、役割分担のためだ。


「みんな、手伝って」

「具体的には何をすればいいのかしら?」

「まず、アイリーン様はリリーの側にいてください」

「呪いの本によると、リリーにかけられている呪いの効果の一つに、呪い保持者の周りが、対象に対して負の感情を持っている者しかいない場合、負の気持ちを増大させ、精神的、身体的負荷をかけるって書いてある。だから、アイリーンが側にいれば少なくともこの呪いはかからない」


ガーラはその呪いの内容が書いてあるページをアイリーン様に見せる。


「そういうことなら分かったわ」

「次に、フーリン様とコリー王子様、それにダミアは、この学園から精霊の洞窟までの地図を作ってほしいのと、どうやって内緒で馬車を用意すればいいのか考えてほしいです」

「おう」

「馬車は手紙以外で伝えたら?」

「それができたら苦労しませんよ」


今回もいつものやつだと思ったけど、違うみたい。

なぜなら、フーリン様が反応しているからだ。


「コーリーの言う通り、手紙以外の手段があります。生徒組織に魔話水晶(マジックトーク)があるみたいなんです」


魔話水晶はいわゆる電話のようなもの。

水晶に魔力を貯めれば貯めるほど、遠い場所との通話が可能となる。

ただ、魔力がなくなれば通話が切れるので、公衆電話に近い感じだ。


「なら、そこは私とレンちゃんで行きます。最後にチコとガーラ」

「はい」


私は二人を見据えて口を開く。


「チコはガーラの勉強を見てあげなさい」


二人は拍子抜けた表情をしている。


「というのは半分冗談で」

「半分……」

「顔を隠せるローブとかあると助かるんだけど、持ってる? 二枚」 

「ローブ……。ガーラ持ってなかったっけ?」

「えー、どうだっけ……。あ、あったね、あの薄汚れたローブ」

「私もローブ持ってます」

「そのローブ借りていい?」

「うん(はい)」


二人の了承がもらえたので、とりあえずテスト前の準備の役割分担はこれで終了だ。


「よし、次の二人の出番はテスト後。うまく寮母さんの気を逸らして、私とリリーが外に出るのをバレないようにするのと、夜の見回りの時にうまく二人(私たち)になりきること」

「え、なんかあたし達何気に一番負担大きくない?」

「ま、頑張って。一番最初に見回りに入るのが二人の部屋だから仕方ないよ」

「なんか気乗りしないけど、仕方ないか。失敗しても文句言わないでよ」

「怒られる時はみんな一緒だよ」


ガーラとチコはため息をついた。


「たしかにそうね、それくらいの覚悟は必要ね。それじゃあ各自そろそろ動き出すわよ。明日がテストということは、実質今日しか時間がないのだから」

「うん、そうだね。それじゃあ行こうレンちゃん。みんなもよろしくね」


そして、私達はお兄様の元へきたのだった。

次話 本日中

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ