新たな可能性です……
今回の話から少々暗くなります。
苦手な方はご注意ください。
なかなかアイリーン様と二人でじっくり話すことができず、結局リリー抜きでダミアと話すことができたのが、まさかの試験前日だ。
「ではこれより、リリーいじめ対策会議を始めたいと思います。とりあえず司会を務めさせていただきます、マードリア・フレーバです」
「はい」
ガーラが高々と手を挙げる。
「ガーラ・アウダー君、発言をどうぞ」
「色々とマードリアにツッコミたいけど、今は無視することにして、ダミアはリリーがいじめられているところを見たことがあるの?」
「ああ、あるさ。ていうかお前、俺と初対面だよな? 急に呼び捨てとかふざけんなよ」
「あんたに言われたくないわ」
あーこの二人の相性めちゃくちゃ悪そう。さっさと流さないと。
「とりあえず喧嘩は後にしてもらって、ダミア・ドナッツ君、いじめの状況を教えてもらえるかな」
「ああ。と言っても、俺は遠くからでしか見たことないが。まず、リリーとのすれ違い際にあからさまに笑ったり、たぶん悪口を言ったり、足を引っ掛けたりしている。時にはわざとぶつかってそのまま去ることだってあった」
「その時、相手の顔は見ていないのかしら?」
「見ていない。というより見えないんだ」
「どういうこと?」
「黒いモヤがかかるんだ。誰かが魔法で発現させているに違いない」
黒いモヤ。わざわざそんなのを使っていじめるの?
それに、黒いモヤなんて発現させたら普通はバレそうだけど。
「少しいいですか?」
「どうぞ、フーリン様」
「これは最悪の可能性ですが、もしかしたら呪いの可能性もあるのではないかと思いまして」
「呪い?」
「マードが助けてほしいって言ったから、図書館で本探した」
何がどうなってそうなったのでしょうか。
「その時にこんな本を見つけたんですよ」
明らかにあまり良い内容が書いてなさそうな本。
表紙は真っ黒で、しかも悪用厳禁なんて書いてあるし。
「その本……⁉︎」
「ガーラ知ってるの?」
「マードリア、読んで、精霊の呪いについて書いてあるはず」
なぜガーラがこの本のことを知っているのか、そもそもどうしていじめと呪いが=になるのか分からないことだらけだけど、この本を読めば少しは分かるのだろう。
『精霊の呪い』
負の感情を持った精霊が、契約を済ませた人間に呪いをかけるもの。
「え、これだけ?」
「貸して」
ガーラはほぼ無理矢理私の手から本を取ると、ページをペラペラとめくる。
「あった」
『精霊経由の呪い』
負の感情を持つ精霊のかけた呪いが、契約精霊の力よりも弱い場合、呪いは人から人へと移る。
呪いの移行は、体内のものと接触した場合に起こることが確認されている。
「なお、上位精霊以上のかけた呪いに侵されれば最悪死に至る……」
ガーラの手からは本が落ちる。
「貸しなさい! まだリリーさんが呪いにかかっているとは限らないわ!」
アイリーン様は必死にページをめくる。
私はその様子をぼーっと見ることしか出来なかった。
リリーが死ぬ……? なんで? どうして? そんなのゲームのストーリーに存在しないはずなのに……。
「マードリア、ちょっときて」
抜け殻となった私を、ガーラが引っ張って部屋の外へと連れて出した。
次話 2月19日
ガーラの下の名前が出てきたのってこの話が初めての気がする。




