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"偽"告白をされました

 アイリーン様の様子がおかしくなった原因が私のせいなのかは分からない。

私が普段口にしない単語を言ったことが原因かもしれないし、関係ないかもしれない。

むしろほっといてあげたほうが正解かもしれない。

だけど、それだけはいけない気がする。

だって、アイリーン様はものすごい寂しがり屋。それだけは、この世界で生を授かる前から知っていること。


 光が差し込み、広がる景色はまさに別世界。

花畑が広がり、小さな湖がある。

奥には王宮も見える。

そして、湖に足を入れている女性が一人。


「とてもいい場所ですね」


彼女の後ろでそう声をかけると、水しぶきが上がる。


「マ、ママ、マードリア⁉︎ どうしてここに⁉︎」

「うーん、そうですね、過去からの巡り合わせですかね」

「意味が分からないわ」


うん、私も意味が分からない。


「どうされたのですか? 急に離れるなんて」

「あなたに言っても理解できないことよ」

「言ってくれないとできませんよ」

「そうかもね」


私も裸足になって、湖に足を入れる。


「前、聞いたわよね」

「何をですか?」

「好きな人が誰かって」

「聞きましたね」

「マードリアはいるの? 好きな人。念のため言っておくけど、恋の方よ」

「それくらい分かっていますよ」

「マードリアだから心配なのよ」


アイリーン様は笑った。いつも上品な笑い方ではなく、大人でも子どもでもない笑顔だ。


「そうですか。──いませんよ」

「知っていたわよ」

「ならどうして聞いたんですか?」


アイリーン様は私の方を向いて、距離を詰めてきた。


「もし、私がマードリアのことが好きと言ったら、あなたはなんて返事をしてくれるのかしら?」


アイリーン様はあえて聞いているみたいだ。きっと、既に答えを知っているのだろう。


「それが恋的な意味合いでしたら断りますよ」

「私が権力を行使して、恋仲にならなければ国外追放、いや、処刑すると言っても?」

「もちろん断りますよ。恋という名の愛がない関係を偽装するくらいなら、私は自分を犠牲にします。それが、アイリーン様の為ですから」


アイリーン様は私の頭に手を置く。どことなく嬉しそうに撫でてくる。


「あなたがどうしてそこまで頑ななのかは、聞いても教えてくれないのでしょう」

「私自身もよく分かりませんから」

「そう」


アイリーン様は足を拭くと立ち上がった。


「好きよ、マードリア。こう言ったらあなたは怒るかしら?」

「時と場合、そして場所で変わりますね。さすがに、私には他の人の言動を制限する権利なんてありませんから。それで、その好きはどういう意味ですか。って、聞くまでもないですけど」


アイリーン様は微笑む。頬を少し赤くして、私の手を取ってこう答える。


「もちろん、友達としてよ──」

「そうですよね」


最後何か言っていた気がするが、どうせはぐらかされる。

私もアイリーン様に嘘を言ったのだから、最後の言葉を聞き返すことも、どうしてここに来たのかを再度聞く権利もない。


「戻りましょうか」

「そうね。服汚させてごめんなさいね、弁償するわ」

「私が勝手に汚したんですから気にしないでください。それよりも、アイリーン様は汚れていませんね」

「家を経由してきたからよ」

「そうでしたか」


 私達は王宮を通ってみんなの場所に戻る。

みんなずっと、元の場所から動かなかったみたい。


私が怒られるのはいつものことだが、珍しくチコに怒られているアイリーン様を見て、アイリーン様の本当の『好き』が私の望む人(リリー)に届くことを願っておく。

次話 2月17日


次回はマードリアの前世編です!

なぜマードリアが頑なに好きとかそういう言葉を言わないのか判明します!

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