Let's go royal capital ‼︎
そういえば、どうして私がああいう言葉を使うことでライバルキャラになるのだろう?
「ねえガーラ」
「何?」
「どうして私が言葉を言い換えればライバルキャラになれるの?」
「例えば、親友に好意を持つような言葉をかける人物が現れたら、恋心を自覚する的なやつだよ。でも、一応誰に対してもそう使ってよ。じゃないとまたボク達に雷が落ちるから」
「うん、分かった」
リリーは幼なじみ君に好意を向けているから、アイリーン様に頑張ってもらわないと。アイリーン様の好きな人が分からない現時点では、まだ希望ある主人公との百合の可能性にかける!
私は心の中で密かに闘志を燃やしていた。
◇◆◇◆◇
今日はついに外出が認められた日! やっと王都に出ることができる!
「レンちゃん、着替え終わった?」
「私は制服で行きます。マードリア様のように服をそんなに持っていないので」
そっか、こういう時代って平民と貴族の格差って前世より大きいもんね。
うーん、他の貴族もいるわけだし、平民と分かればどんな扱いされるか分からない。よし、私の服でも貸そう。
「と言っても、レンちゃんと私ってそこそこ体格差あるし……お、いい物見つけた」
「マードリア様、どうされましたか?」
「レンちゃん、これに着替えよう!」
少し丈の短めな黄色のワンピース。腰回りは緑色のリボンで結ぶため、ウエストに合わせられるワンピースだ。
「そんな! 悪いですよ」
「でも、制服のままだと意地の悪い貴族に何されるか分からないでしょう? お互いの保身の為だよ」
「……分かりました、ありがとうございます」
レンちゃんはワンピースを受け取る。
いくら女子同士だからって、着替えを見るのはお門違いだ。私はレンちゃんが着替えている間だけ背中を向ける。
「着替え終わりました」
「それじゃあリボンやっちゃうね」
前々から思っていたけど、やっぱりレンちゃんのウエストって細い。私より細いんじゃないかな?
「はい、終わり。それじゃあ行こう」
鞄を持って外に出る。
レンちゃんが鍵を閉めている間に、自分のウエスト周りを確認する。
負けた……。
「王都まで馬車が出ているのですね」
「いや、これはそれぞれの貴族達の馬車。私の家の馬車も来ているはずだけど……。あった! おいでレンちゃん」
「マ、マードリア様⁉︎」
久しぶりに見た馬車に、レンちゃんの手を取って駆け寄った。
馬車のドアを開けると、見知った人がほんのりと笑顔を浮かべていた。
「お久しぶりです、マードリア様」
「久しぶり、ジェリー!」
「どうぞお乗りください。そちらのお嬢様もどうぞ」
「え、あ、失礼します」
私達が乗り込むと、馬車は王都に向けて走り出した。
「ジェリー、こちらは私のペアのレン・ストルちゃん。レンちゃん、この人は私の専属メイドのジェリー・ビーズ」
「は、初めまして。改めまして、レン・ストルと申します」
レンちゃんは頭を下げる。
「ジェリー・ビーズです。マードリア様がいつもお世話になっております」
「い、いえ、そんな、私がお世話になっている身です」
「もしそうだとしても、マードリア様を笑顔にされている。それだけでストル様には心より感謝を申し上げます」
「い、いえ、そんなことありません!」
謙遜vs感謝、これは一生決着つかないと思う。
「それよりジェリー、私のお小遣い持ってきてくれた?」
「はい、ちゃんとありますよ」
ジェリーから革袋をもらう。
金貨が十、いや、もう少し入っている。
この金貨一枚で約十万円の価値がある。前世から金銭感覚狂ったなと思うよ。
「そ、そんなお金と量、初めて見ました……」
レンちゃんは革袋の中身を見て固まっている。うん、前世の私も同じ反応をしている。
「ありがとうジェリー。ジェリーも王都を一緒に回るの?」
「残念ですが、それは出来かねます。学園は貴族の一人立ちの意味も込められておりますので、我々家の者が必要最低限に手を貸すことは禁じられているのです」
「馬車はいいのにね」
「そうですね。ですが、決まりですので。マードリア様、ストル様、楽しんできてください」
馬車が止まった。どうやら王都に着いたようだ。
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