賭けの対象にされてました
先生とラミスとの対談中、ほぼ私は空気だったが、ようやくその話し合いも終わったらしい。
「フレーバ、今日はありがとうな。フレーバの体について、正直私らにできることはない。気にかけることくらいだな。ただ、一つだけいいことを教えてやる。毎日魔法を使って体を慣らしていけば、負担が完全になくなるってことはないが、少しは楽になれる。少しは心当たりがあるんじゃないのか?」
確かに、以前解放した時はずっと咽せて話すことすらできなかったけど、今回は喉が痛いだけだった。すぐに魔法をかけてくれたから普通に話すことはできたけど、魔法をかけてもらわなくても、苦しくはあるが話すことは可能だった。
「確かに心当たりはあります。エンス先生、ありがとうございます。私、頑張ります」
「でも、無茶はいけないわよ。もし何かあったらいつでも医務室にきなさい。前みたいに気を失われていたら、全回復させることはできないけど、今日みたいのだったらすぐに治すことはできるから」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼します」
「ああ、週末楽しめよ」
「初めての外出よね、楽しんでね」
「はい!」
そう! 明日から休日のみ、学園の外に行っても良くなるのだ!
本当はみんなと行きたいのだけど、そうなるとそれぞれの行きたい場所に行けなくなることも考慮して、私はレンちゃんと二人で出かけることにした。
「おかえり〜」
「チコ、ガーラ、どうしたの? 寮の入り口で」
「今チコと賭けをしているんだ。それで、マードリアに聞きたいことがあるんだけど、マードリアはどうやってボク達の部屋に来たの?」
「どうやってって、歩いてきたよ」
「いやいや、そういうのじゃなくて、誰に案内してもらったかってこと」
この人たちはなぜ私が誰かに頼った前提で話をするのだろうか。まあ、今回に限っては案内してもらったけど。
「クレア様だけど……」
少しの一時停止があり、ガーラはガッツポーズで喜び、チコは悔しがっている。
「ほーら言ったじゃん、クレアしかいないって!」
「どうして、どうしてクレア様なの⁉︎」
この二人の様子、絶対賭け事に私を使ったな。
「それで、何? 私を案内した人で賭けてたってこと?」
「そゆことそゆこと。ボクはクレアで、チコはそこら辺に会った人に頼むって賭けたの。マードリアが初対面の人に面倒事を頼むわけないし、それでいてボク達が頼まれていないってことは、一人しかいないよ」
「いや、でもどういう流れでクレア様に?」
「話してもいいけど、ここでは……」
人めっちゃ通ってるし。
「じゃああたし達の部屋おいで。ガーラがお茶とか用意してくれるから」
「チコの分は用意しないから」
「ちゃんと用意してね」
ガーラは、目が笑っていない笑みを向けられても動じない。いつものことなのだろう。
「はい、マードリアは紅茶飲めないからコーヒー」
「うん、ありがとう」
ちゃんと砂糖とミルクを用意してくれてる。さすがはガーラ。
「ねえ、なんであたしはお湯なの」
「え、さっきお茶"とか"って言ってたじゃん。それに、チコはちゃんと用意してねとはいったけど、お茶を用意してなんて言ってないじゃん」
あ、悪い顔だ。あの顔のガーラに勝てたのは今のところ姉しかいないぞチコ。私はことごとく負けた。
そしてチコも勝てないのか、悔しそうにお湯を一口飲んだ。
「それじゃあ、聞かせて」
「まあ、そんな話すようなことはないけど」
私はあのことを思い出しながら二人に語り出した。
次話 2月15日
(バレンタイン特別話は話ができれば投稿します)