早退しました
「フレーバ、大丈夫か?」
いつの間にか気を失っていたようで、気づくと先生が顔を覗いていた。
「大丈夫か大丈夫じゃないかと言われれば、大丈夫じゃないと思います」
「だろうな、見れば分かる。歩くことはできるか?」
「一応大丈夫だと思います」
「それじゃあストルとフレーバは早退しろ。この後の授業の教師には私から言っておく」
「え、私もですか?」
「フレーバを部屋に一人にするわけにも行かないからな。安心しろ、フレーバはともかくストルは欠席扱いにしないから」
「分かりました。行きましょう、マードリア様」
レンちゃんは手際良く荷物を鞄に詰め、私の荷物はアイリーン様がやってくれた。
「そうだフレーバ。体が回復したら少しフレーバの魔法とか調べてもいいか?」
「はい、大丈夫です。それでは失礼します」
私は歩くのがやっとで鞄が持てないので、レンちゃんが持ってくれているが、少々心配ではある。いや、私がこんなだから悪いのだけど。
それと、いつもならみんな声をかけてくれるはずなんだが、今日はそれもないから相当私が酷い状態なのだと、安易に想像がつく。
「レンちゃん、ごめんね」
「こ、これくらい大丈夫です」
我慢丸見えの笑顔。それでも手を貸せない私が情けない。
「どうしました二人とも? 特にマードリア」
目線をレンちゃんより少し上にあげると、ビケット王子様とカヌレ様がいた。
「マードリア様の体調がよろしくないので、早退させていただいたのです」
「昨日ちゃんと休まなかったからですよ」
「そうかもしれませんね……」
本当にそうかもしれない。昨日ちゃんと休まずに色々と歩き回り、回復しきれていない体にまた負担をかけたから、通常の負担よりもさらに重いものになったのかもしれない。
「荷物は俺が持ちます」
「そんな、悪いですよ。それに休み時間が終わっちゃいます」
「気にしなくていいですよ。困っている人に手を貸さない方が、人間として間違っていますしね」
「ありがとうございます」
「あの、ありがとうございま──!」
いきなり体が浮いて驚いた。
どうやらカヌレ様が、所謂お姫様抱っこというものを私にしているみたいだ。
「それでは行きましょうか。部屋まで案内してください」
「え、あの、その、カヌレ様、私は大丈夫ですので下ろしていただいて結構ですよ」
カヌレ様は下ろす気がないらしく、逆に私の体があまり動かないように力を強めた。
レンちゃんに助けを求めたが、レンちゃんもどうすることもできないようで、苦笑いを浮かべた。
「いやしかし、俺もずるいな」
「何故ですか?」
「俺がマードリアを抱けばカーターに何されるかたまったもんじゃない。正直想像したくないよ」
お兄様は一体何をしようとしているのだろう。
あーでも、ちょっと喋るの頑張りすぎたから聞けない。
「ここが私達の部屋ですのでもう大丈夫です。ビケット第一王子様にカヌレ様、ここまでありがとうございました」
「そうですね、俺たち男が女の子の部屋に入るものではない。俺たちは戻ります。ストルさん、マードリアのことをよろしくお願いします。マードリア、お大事に」
カヌレ様は私を下ろすと、そのままビケット王子様についていった。
「あの、お二人ともありがとうございました」
二人は一度振り返ると、ビケット王子様は笑顔を浮かべ、カヌレ様はいつも通りだった。
「マードリア様は本当にたくさんの方に愛されていますね。私、マードリア様のペアで嬉しいです」
「違うよ。レンちゃんも含め、みんな良い人だからだよ。私には勿体ない」
「そんなことありませんよ。皆さんマードリア様のことが大好きですから、マードリア様の為に時間を使えるのです。もちろん、私もその一人です。さ、早く部屋に入って寝てください」
レンちゃんは私がまた否定する言葉を述べる前に、部屋に入って私をベッドに寝かせた。
本当に、私は周りに恵まれているだけなのに。
だって、私はみんなに何も与えていないのに、みんなは私にたくさんいろんなものを与えてくれる。
そんなことを言ったら、またレンちゃんに色々言われそう。今の私ではレンちゃんに敵わないので、そっと心の中でそう伝えておく。
次話 2月14日
明日バレンタインですか……。余力(と話ができれば)あれば本編とは関係ないバレンタインの話書こうかな。
何か知らぬ間にpv4万超え! ありがとうございます!
ブクマも100超え本当に感謝です。評価もつけていただきありがとうございます!
今後もどうかよろしくお願いします!




