お説教されています……②
一体どれほどの時間が経ったのだろう。いや、そんなに経ってないけど、この沈黙の時間が私には永遠に感じれる。
「あの、本当にごめんなさい!」
ここは先手必勝! とか考えておらず、ただただこんなことになったのは私のせいなのだと、心の底から出た言葉だ。
「マードリア」
「はい」
「私ってそんなに怖いかしら?」
「いえ、別に怖くはないです」
「なら、どうしてそんなに私に怒られるのが嫌なのかしら? まあ、怒られるのはみんな嫌でしょうけど」
だって、なんだか妹に怒られてるみたいなんだもん! 姉しかいなかったけど。
「あの、その」
何か、何か良い言葉を! 嘘は言っていない言葉を!
「……アイリーン様が私のことを思って怒ってくれていることはわかるんです。ですから、その度に申し訳なさと惨めさでいっぱいになるのです。怒られるようなことをする私が悪いんですけど。そういうわけで、アイリーン様に怒られるというより、みんなに迷惑をかけたということが嫌なのです」
この言葉が吉と出るか凶と出るかはアイリーン様次第。
「はあ、まぁ、普段はともかく、今回はボクにも非があるからね。リリーたちの部屋まで送ったのに、リリーにマードリアを送るよう言わなかったから」
思わぬところから助け船がでてきた。
「そ、それでしたら私にも非があります。私が、リリーさんのことを話してしまいましたから。リリーさん、ごめんなさい」
「い、いえ、元はといえば私が悪いのです。私の勝手な一時的な感情のせいなので」
なんか、いつのまにかみんなの反省大会的なのになってる。別に、道に迷ったのは私のせいであってみんなのせいじゃないのに……。
「いや〜マードリアは愛されてるね」
チコは私の肩に手を置くと、にっこりと笑った。
「みんながみんな、マードリアの今の状況に関係しているならあたしもそうだよ。あたしが合格をもらえた時、丁度クレア様が近くにいた時だから」
「いや、それは関係ないと思うけど」
「そう? じゃああたしが、クレア様に目をつけられるほど素晴らしい魔法を発動させたからってことで」
チコはアイリーン様の方を見る。
「……そうね、私も彼女を挑発するようなことを言ってしまったのだから、私にも非はあるわ」
「みんな、この件には少なからず関わっているんだよ。でも、根本はマードリアだけどね。これからはもっと気をつけて。それに、マードリアになんて迷惑かけられっぱなしだから、今さら気にする必要ないよ。ね、みんな」
チコの言葉にみんなが頷いた。なんだろう、嬉しくない。
「みんな、ありがとう。でも、これからはあんまり迷惑かけないように頑張ります」
頭にほんの少し柔らかく硬いものが置かれた。
「うん、頑張れ」
ガーラの表情や声の柔らかさで、本当にゆうちゃんが転生してきたんだと実感させられて、どこか欠けていた私の寂しさのピースがぴったり当てはまった気がした。
「はいはーい、てことでこの話は終わり。次! マードリアはなんで男子寮の生徒に頼んだの?」
「地図もらってたから、それ渡せば女子寮でも案内できると思ったの。それに友人だし。本当はお兄様に頼もうと思ったんだけど、ビケット王子様と外出していたみたいで」
「いや、それでも異性に頼むって……。さすがはマードリア」
「マードリア、あなたは方向音痴だけでなく、人との距離感もちゃんと考えなさい」
「マードリア様、コーリー王子様に額を触れられても何一つ動揺しませんでしたからね」
「え、聞いてないです! マードリア様、くれぐれもお気をつけください」
ええ〜、みんななんでそんな怖い顔してるの……。
「マードリア、一つだけいいこと教えてあげる。マードリアは友人と思っていても、相手は違うこともあるから気をつけなよ」
それって、相手は友人とすら思ってくれてないってことかな? そっか、そしたら友人面されるのは嫌だよね。そうだよね。
「あ、これ全然理解してないや。レン、マードリアのペアとしてよろしく」
「は、はい!」
なんか、早速レンちゃんに頼ることになってしまった気がする。
次話 本日中
次話は少々暗い話ですのでお気をつけ下さい




