お説教されています……①
ドアを開けると、なんとそこにはホイリーとメイールを除いた、私が部屋を聞くのをやめた女性たち集合しているではないか……。
──あ、終わった。フーリン様、あの時呼んだな〜。いくら私に怒ったからって、全員集合させる必要ないじゃん。
「マードリア、あなたは部屋に帰ってきても何も言わないの?」
「えっと、ただいま……」
か、完全にお通夜状態。こういう空気苦手だけど、今はそれで変なことをしたら、確実にアイリーン様が人間から鬼に変わってしまう。
「おかえり。災難だね。でも頑張って」
あ、チコ少しこの状況楽しんでる。
「マードリア、座りなさい」
「はい」
恐る恐る床で正座をする。みんなの目線が近くなってさらに恐怖が増してくる。
「さて、どうしてこんな状況になっているか、分かってるわよね?」
「道、迷いまして、フーリン様達に案内をお願いしました」
「なぜ、私達女子寮の人たちに頼まなかったのか、一人ずつの理由を教えなさい。大丈夫、どんな理由であろうと話している間は何も言わないから」
話している間、ですか。
「その、みんなに迷惑かけたくなくて……」
「はい、マードリア嘘をつきました」
ガーラ! あーそうだ、昔からガーラって何故か私の嘘を見抜くのはやたらとできるんだった!
「マードリア、嘘をついたことは責めないからちゃんと、正直に答えなさい」
「はい……。まず、レンちゃんは困らせたくないというのと、レンちゃんに頼るのは私のプライドが許せなくて、お願いしませんでした。チコにお願いすると、絶対しばらくはおもしろがって、そのことをネタにするのは目に見えているので頼みませんでした」
「この状況の方が全然面白いけどね〜」
「はい、こんな感じです。次に、ガーラは絶対ぐちぐちと文句を言ってくるので頼みたくなかったです。リリーはさっき連れ出したばっかなのに、また迎えに来てもらうのは申し訳なかったので、頼みませんでした。アイリーン様は絶対怒るので頼みませんでした。一応、メイールやホイリーに頼もうと思いましたが、あの二人は絶対口を滑らすのでやめました」
無理、顔を上げるの怖すぎる。
「メイールとホイリーって誰?」
「ドルチエ王国の伯爵家と男爵家の御令嬢だよ。なんかいつのまにかマードリアと仲良くなってたんだよね」
「へ〜」
「マ──」
「マードリア様、なぜ部屋に一人で戻れないのに言ってくれなかったのですか!」
「そ、そうです。私はマードリア様のペアです。マードリア様が私を頼るのに、何故プライドが邪魔するのですか⁉︎」
二人がいきなり私に迫ってきたので、思わず顔を上げて後ろに手をついてしまった。
「レ、レンちゃんは個人的に私が守ってあげたい存在だから、その、頼って迷惑をかけたくなかったの。レンちゃんにとっては頼れる人って思ってもらいたかったから」
「私は十分、マードリア様を頼りにしています。ですが、それとこれとは別です。マードリア様に何かあっては私が困ります。心配します。ですから、これからはいくらでも私を頼ってください。いえ、頼ってほしいです!」
「レンちゃん……」
本当、レンちゃんって可愛い、好き! 私が一番推したいタイプの女の子だよ!
「そうだね、これからはもっと頼りにするよ」
その言葉を聞いた笑顔は、先程まで私の中にあった恐怖を全てなくすほどの威力があった。
「次に、リリーは別れ際があれだったからちょっと気恥ずかしかったし、すぐに部屋に帰っちゃったからさ。それに、迷うなんて思ってなかったし……」
「あれって?」
「リリーが額にキ──」
「な、なんでもありません! 本当にありませんから!」
リリー、私の口を押さえながらそれを言っても説得力ゼロだよ。
「分かった、言わないよ。でも、リリーって意外と大胆なんだね。それともリリーの家ではあれが普通?」
「い、いえ、その、(マードリア様だけです)」
「ごめん、最後の方良く聞こえなかった」
「もう、私のことはいいじゃないですか! 今はマードリア様のことです!」
リリーのその一言のおかげで、せっかく頑張って逸らしていた話の主軸が元に戻ってしまった。
まだまだ長いお話しが待っている……。
おっと、うっかり作者の声が混じってしまいました。
お説教こんなに長くなるとは思わなかったので2分割(もしかしたら3分割)になります。
次話 2月11日