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迷子になっちゃいました……

 さて、早速ですが問おう。私は今、一体どこにいるでしょうか。

答えは、青い光なんて一切ない、真っ暗な洞窟内のどこかです。

一体なぜこんな事になってしまったのか、それは床を見て歩いていたからです。


 最初は青い光を見ながら歩いていた。

だけど、ずっと上を向いて歩いていたら、何かに(つまず)いて転んでしまったのだ。

転んだ場所がゴツゴツとしたところなので、ものすごく痛い。

だから、もう転ばないようにと下を見て歩いていた。


「で、結果が迷子って洒落になんないよ」


 目の前すらも見えない。どっちから来たかなんて分かるはずもない。

大声で助けを呼んだが、誰も来ることはなかった。

だから、助けが来るまで地べたに座って待っている。


「しかし、暇だ。それにまた、アイリーン様達に怒られる。でも、別に私だけが悪いわけじゃないし。そもそも部屋から出た後の案内人くらいいてもいいじゃん」


段々と不安が押し寄せてくる。当たり前だ。

目が慣れて少し見えるようになったからといって、周りが真っ暗なのは変わらない。

魔法はお兄様が使っているのを見ていたから、呪文は分かる。けど、どれほどの負荷がかかるか分からない現状、安易に使うわけにもいかない。


「でも、一人だと流石にこの状況は……」


お化け屋敷とかそういう類は苦手だ。行ったことないけど。

元々ホラー系がダメなので、行く以前に体が拒絶反応を起こす。


「ああ、ダメかもしれない。本当に無理かもしれない」


もう目を開けていると見たらいけないものが見えるんじゃないかと思い始めたので、目を瞑る。


「…………」

「泣き声⁉︎ 私以外にも迷子になった子がいるんだ」


ここから動くのは怖い。でも、一人でいるのはもっと怖い。この泣き声が人とは限らないかもしれない。だけど、人かもしれない。

私は震える体を起こして、泣き声を頼りに進んで行く。


「うわぁぁぁぁぁぁん!」


 人がいる。座って泣いているのは間違いなく女の子だ!

よく見えないけど、微妙なシルエットで分かる!


「だ、大丈夫?」


声をかけると、女の子の泣き声が止まった。


「ひ、人?」

「うん、人の女の子だよ」


女の子の隣に座ってそう答える。


「どうしてここにいるの?」

「あ、のね、石に躓いて転んでね、それでね、私、最後尾だったから、気づかれずに先に行かれちゃったの」


それでみんなを見失ったってところだろう。

迷子になった経緯は私と似通っている。


「私も似たようなものだよ。ねえ、たぶんここにいても中々助けは来ないと思うんだ。私が迷子になって二時間くらい経過してるから間違いないよ」

「ど、どうしよう〜」


声からしてまた泣き出しそうだ。


「私がついているから一緒に探そう。ここにいるよりかは全然良いと思うよ」


本当はこういう時、大人しくしているのが正しいのだと思うけど、こんな恐ろしいところでじっとしているのはメンタル的に無理。


「すごい、強いね」


私が差し出した手を取ると、彼女は立ち上がった。


「私全然強くないよ」


 手を繋いだまま二人で歩き出す。だが、いくら歩いても、出口や元の道は見当たらない。

彼女は小さい声で泣いている。


「泣きたいなら遠慮しないで泣いていいよ」

「でも、迷惑に、なっちゃう」

「いいんだよ。泣いた分だけ強くなれるって言葉があるの。今はいっぱい泣いても良い。それは未来の強さに繋がっているから。

そういうわけだから、我慢しなくていいよ。ハンカチもあげるから」


彼女はハンカチを受け取ると、大きな声で泣き出した。

次話 2月2日


pv 1万越えありがとうございます!

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