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ギター演奏が難しくなっちゃいました!

 あれから約二週間が経った。明日は演奏会当日ということで、いつもより早く起きて最後の追い込みをしている。

お兄様も今日は大人しく楽器の練習を──


「リア! セッションしよ!」


しているわけがない。


お兄様はゲームの攻略対象じゃないから、第一王子様(ビケット王子様)のライバル役としか情報ない。だからあまり知らなかったが、実はかなり多才だ。

それも、王子様(ビケット王子様)のライバル役ですって聞いて納得するぐらいには。


 お兄様はころころと演奏する楽器を変えていた。

最終的に、私がギターを弾くので、それに似たヴァイオリンを選んだのだ。

しかし、お兄様はヴァイオリンを今まで一度も演奏してこなかった。

なのにもう完璧に弾けるようになっている。

正直なところ、私はお兄様と違って凡人なのでセッションは遠慮したい。


「申し訳ありませんお兄様、私はお兄様と違ってまだ全然上手くないので一人で練習したいのです」

「大丈夫! リアはもう上手いから! これ以上上手くなったらリアの魅力でみんながリアを取り合ってしまう。そんなの僕が許さない!」


上手く弾けるのと魅力は違うと思うけど……。

でも、これでお兄様は引き下がらないということが分かったから、今回も折れますか。


「一回だけですよ。せめて私が発表する曲でお願いします」

「ありがとうリア! さすが僕の妹だ!」


 お兄様は嬉々としてヴァイオリンをケースから出して、私の横に立った。


私が弾き始めると、お兄様はギターの音色を引き立たせるようヴァイオリンを弾く。

唯一の観客であるジェリーは、とても幸せそうに耳を音楽に傾けている。


「リア、楽しかったね」

「そうですね。私の力不足を感じてしまいますが、やはり二人で良い音を出すというのは、一人ではできないのでとても楽しいです」

「もう一曲やる?」

「いえ、それは結構です。私もそろそろ練習に取り組みたいので」

「リアは本当に上手だよ。初めて見る楽器を誰にも教わらずにこんなに弾けるんだから」


違うんですよお兄様。私、前世で趣味程度に弾いてたんですよ。だから弾けないとダメなんですよ。


「お、お兄様には劣ります」


心苦しい。お兄様がまた私を褒めだす前に、ギターの練習を再開する。


 お兄様はじっと私の手の動きを見る。


「リアはここの弦を全て抑えてからすぐに手を動かして、上の弦を抑えるところで少し間が空いちゃうね」

「そうなんです。ここがどうしても上手くいかないのです」

「リアは一度手を大きく離して移動させてるから、あまり離さずそのまま手を動かすことを意識したらうまくいくんと思うよ。実際、リアは上から下に動かす時はそうしてるよね」

「上から下は弦の場所が見えるからいいのですが、下から上ですとよく見えないので、音がずれてしまう時があるのです」


前世の私ならばそうしたが、今の私は体が小さく、ギターの弦の上の方がよく見えないのだ。

だから、下から上の移動がとても下手になっている。


「大丈夫だよリア。べつに目で見なくてもいいんだ、指が場所を教えてくれる。リアの指が弦の場所を覚えててくれる。それに、べつに失敗してもいいんだ。

なにより大切なのは、リアが楽しむことなんだから」


このお兄様は本当に、たまにシスコンから立派なお兄様になる。


◇◆◇◆◇


 指から血が出てきたので、二人は大慌てで包帯やら何やら持ってきた。

大袈裟だなぁと思いつつも、私もギターで血が出てきたことはないので少し驚いた。


少し皮がめくれたり、血が包帯に滲むくらい練習したところで安定して音が出せるようになった。

初めてミスなく弾き終えることができた。


「完璧だね。だからリア、もうやめよう。これ以上指がボロボロになったら明日の演奏にも響くよ」


本当はあともうちょっとやりたいが、お兄様の言うことも一理あるので、今日はやめて明日早く起きて練習することにした。


「そうですね。それじゃあお兄様、そろそろ夕飯の時間ですし一緒に食堂に行きましょう」

「もちろんだよリア! 行こう!」


シスコンお兄様はいつものように私の手を取って食堂に向かった。

下手したら言うことなくなってネタバレする可能性もあるので後書きでのコメントは無くします。ですが、補足的な物が必要な時は書きます。


次話 本日中

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