学園生活再スタートです!
ついに、この日がきた。テスト結果の発表日。
休み明け最初はテストからだ。ガーラもあれから抜け殻になりながらも頑張って、一人で問題をすらすら解けるようになっていた。
チコは一緒にいても愛想笑いを浮かべるだけで、口を開くことはない。
それは、今も同じ。
「それでは、これより上位三十名の成績を張り出す」
先生が紙を広げている間、私の心臓は飛び出そうなくらい動いている。
自分の成績よりも他人の成績の方を気にするなんて滅多にない。
「リリーとアイリーン様は不動ですね」
「今回もリリーさんに勝てなかったわね」
「今回はマードリア様とチコ様に負けてしまいましたね」
「…………」
リリー、アイリーン様、私、チコ、レンちゃん、そして──
「良かった、六位だ」
ガーラのその声はものすごく落ち着いているが、顔はとても嬉しそうで目に涙を溜めている。
チコもほっと胸を撫で下ろしている。
これでチコの縁談も阻止することができて私達も安心だ。あとは、二人が仲直りしてもらえれば、もう何も心配することもない。
「この調子なら来年も私達のペアは変わらないわね」
「そうですね。あ、科目別も張り出されていますよ」
私はチコとガーラの手を取って移動する。
こうしなければ二人は離れてしまう。お兄様からのアドバイスだ。
「魔法実技はやはりマードリア様が一位ですね」
「私の得意科目だからね。でも、他の科目で何か一つでも落としたらチコに順位を抜かされてたよ」
「惜しかった……」
「もし今回がそうだったとして、もし次の試験からも順位に変化なしの場合、私がチコ様のペアになるのですか?」
あ、そこまで考えていなかった……。
「たしかそうだった気がします」
「あたしは、レンちゃんがペアでも全然いいよ……」
チコは少々引きつった笑顔を見せる。
本当はガーラがいいくせに、分かりやすい嘘なんかついて。
それに、私もガーラよりレンちゃんの方が良いし。ガーラはなんというか、お隣さんって感じの方がいい。
「だめ、レンちゃんは渡さない」
「マードリア様⁉︎」
流石にバックハグに今のセリフはくさかったかな?
少々遅れて羞恥心が芽生えてきた。
「ボ、ボクも、世話をするのはマードリアより、チコが、良い……」
まだ仲直りしていないのにそのセリフを言うのは、とても勇気のいることだと、私は思う。
実際、ガーラの声は震え、今も不安そうな表情を浮かべている。
「そう。ごめんね、あたしそろそろ部屋に戻るね」
「え、あ、チコ!」
チコはそのまま部屋へと向かっていく。
「ガーラ、部屋ではチコとどんな感じ?」
「必要最低限の挨拶をするだけ。たまにボクが話しかけてもさっきみたいに相槌を返すだけ」
「あなたはチコとどう接すればいいのか、しっかりと考えたの?」
「考えたけど、チコになんて声をかければいいのか分からない」
本当に、ガーラは不器用だ。前世から変わらないな〜。
……前世、か。
「ガーラ、二人で話そっか」
「……うん」
「ということで、私とガーラは先に行くね」
私達はあまり人のこない、学校の裏庭に移った。
「私ね、思い出したんだよ」
「何を?」
「ガーラ、ううん、ゆうちゃんと喧嘩みたいなことをしたの」
「引っ越しの時の?」
「うん。私ね、なんとなくあの時のゆうちゃんと今のチコは似ていると思うんだ」
「どこが?」
「二人とも、一番側にいてほしい人を突き放してるところ」
ガーラは体育座りをして、スカートに顔を埋める。
「ガーラなら分かるんじゃない? 今のチコに投げかけるべき言葉が。チコのこと、大事でしょう。なら、チコも同じくらいガーラのことを大切に思っているよ。本当、二人とも意地っ張りで寂しがり屋なんだから」
ガーラは少しムスッとしてこちらを睨む。
「何か文句でも?」
「別に。ただ、どうしてボクはあの時あんなことを言ったのか、今分かった気がする」
「教えてくれる?」
ガーラは立ち上がって、自然な笑顔を見せる。
「答えを知る人は二人だけでいい」
ガーラはそのまま走って寮に向かった。
頑張れと、遠のく背中に心の中から送る。
次話 本日中(予定)
あと2話で一年生編完結しそうです。
申し訳ないのですが、最終話だけ文章量多くなるので、最終話投稿は遅れそうです。
代わりに番外編を投稿します。
ちなみに作品分けることにしました!




