表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/27

5 俺の転落人生

 

 魔力0(ゼロ)を宣告された俺には、魔力を得るべく厳しい訓練が行われた。



 まずは魔法を覚える基本として体内の魔力感知を行うのだが、俺の場合そもそも魔力がないのである。ないものを感じることなどできない。



 さらに、レベルを上げるためにモンスターの討伐にも参加した。モンスター討伐は通常であれば魔法が使えるようになってからである。

 だが、ステータス上昇による魔力の取得に一縷の望みをかけ、たくさんの護衛を動員して、俺のレベルを上げていった。





 魔力がなく魔法も使えない俺の攻撃方法は、剣で叩ききるだけだった。


 魔法の跋扈するこの世界において、魔法の付与されていない武器を使うことは、この上ない恥とされていた。魔法こそが人間を人間たらしめる証であり、ゴブリンやオークなどの魔法を使えないモンスターたちは下等種族なのだ。



 俺のレベル上げは決して明るみに出ないよう、いつも真夜中に行われた。




 母エリザベスは顔を会わせるたびに無能な俺を口汚く罵った。



 護衛たちは俺を嘲笑し、メイドたちは俺に見向きもしなくなった。洗濯されていない汚い服を着て、使用人たちの残飯を食べさせられた。



 俺は新しい世界でも弱者であり、孤独だった。幸せになれなかった。

 神はどこまで残酷なのか。











 そしてついに魔力がないまま俺のレベルは5に達した。



 8歳の誕生日を迎えて半年ほどたったある日、父エドに呼び出された。






 父に促され部屋に入ると、そこには俺と同じくらいの年格好の少年がいた。

 少年はおどおどと自信なさげに下を向いている。


 髪の色は俺と同じ銀、目の色も俺と同じ青。



 背中に汗がじわりとにじむ。嫌な予感がする。






 そして、父は冷たく言いはなった。

「魔法が使えないお前はスチュアート家を継ぐことはできない。この子は分家からとった養子だ。水魔法に素晴らしい適性がある。

 彼をアルド・スチュアートとして、我が家の後継者にすることに決めた。」



「そんな……。と、父さん、俺は、俺はどうなるのですか……?」


「今日からお前はもう我が息子ではない。スチュアート領を出て、生涯名を隠して惨めに生きるか、ここで潔く死ぬか。最後の情けだ。選ばせてやろう。」





 数分の沈黙と熟考ののち、泣きそうになりながら俺は答える。

「……俺はまだ死にたくありません……。」

 俺は惨めでも生きていたかった。





「そうか。では二度と我がスチュアート家の名を名乗るな。今すぐに出ていきたまえ。」



 俺は二度目の人生でもうまくいかなかった。

 5歳にして神に魔法と尊厳を奪われた。

 そして8歳にして父と母を失い、名前すらも奪われてしまった。



 主人公のステータス

 ―――――――――――




(名無し)


 レベル 5


 生命力 85


 魔力 0


 攻撃力 30


 防御力 28


 敏捷 20


 知力 20


 天運 10


 適性魔法 水 風


 固有スキル 超筋力




 ―――――――――――



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ