1 俺の異世界譚の始まり
人生ではじめて小説を書いてみました。
最初の方は無双チート少なめです。
たぶん設定も頭いい方が読んだらガバガバです。
至らぬ点も多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
―――――下らない人生だった。これまでいいことなど一つもなかった。
俺は薄れ行く意識のなか、真っ白な病室の天井を眺める。
生まれたときから俺は病弱だった。常に水中にいるように息苦しく、手術の後は全身が鈍く傷んだ。
そして弱々しい俺はいじめの格好の的だった。筆箱も教科書も上履きも体操着も、いつもボロボロだった。俺が入院から帰ってきたときには、机の上に仏花が供えられていたこともあった。
父は俺が生まれてまもなく女と逃げた。母は精神を病み、酒を飲んでは俺を責めた。俺の額にはひどい傷跡があるが、それは母にガラスのコップを投げつけられてできたものだ。
入院してから俺を見舞いに来てくれた人など一人もいなかった。
ーーー本当に下らない人生だった。つらい記憶ばかりが脳内を巡る。
もはや体を蝕む鈍い痛みも無くなり、全身の感覚は失われつつあった。
生まれ変われるなら、次こそは幸せになりたい。病気じゃなくて、孤独じゃなくて、そしていじめられないほど、搾取されないほど強くありたい。
そんなことを思いながら俺の一度目の人生は終了した。
深い眠りから目を覚ますと、そこは豪華な部屋だった。ベッドサイドには豪奢なドレスを纏った美しい女性が俺を眺めて微笑んでいる。金の巻き毛は腰の辺りまで伸びていて、目は海の底のような青。つり目で蛇のような印象の女性だ。
「あら、目を覚ましたのね。かわいい私の赤ちゃん。」
徐々に意識がはっきりしていく。体はまだうまく動かない。
金髪の美しい女性に頬を触れられた感覚から、俺は確信した。
どうやらこれは夢ではない! なんということだろうか……。俺は生まれ変わってしまったのだ。前世の記憶を引き継いだままで。
アルド・スチュアート。これが俺の新しい名前のようだ。白銀の髪に青い目。容姿は悪くない方だろう。美しい金髪青目の女性はエリザベス・スチュアート、俺の母であった。父親はエド・スチュアート、彼は公爵家当主である。
すなわち俺は有力貴族家に生まれたのだ。
俺の新しい第2の人生、もしかして勝ち組なのではないか。