愛について
愛について
人混みの中の後ろ姿
森の中の一本の木
真っ白な砂浜に埋められた一つの桜貝
気が遠くなるほどある星の中の一つ
わたしは一人なのだと
気がつく瞬間
わたしは何億何兆と光り瞬きそして消えていく星を
昼間の青い底知れない空に見る
一人公園のベンチに座る
一人図書館で本を探す
一人喫茶店でコーヒーを飲む
一人街を彷徨う
暖かな手が肩に触れる
振り向かなくても
わたしにはわかる
その温もりが誰のものなのか
天の下で手の中にきつく握る
愛という難しい存在
暖かな光をいっぱいに浴びて美しく咲く
それでも花びらは散る
朽ちなければ救うことのできない
愛という尊い実を育てるために
人は生まれてくる
ただ・・・それだけのために試されている
肩に触れた温かな手は
人混みの中に 森の中に 砂浜に 何億何兆の星の中
私を探し当てる
それが命という大切なものだから