転送前日の夢 その行為の意味 60億の未来
直人が家に戻って塾に行く前の話…。
直人の右手に握られている剣は、少しでも気を抜いてしまえば、魂ごと地の底まで引き摺り込むほどに、重く感じられた。
剣の刃は大量の血を啜り、ぬめぬめとした妖しい光沢を携えている。
直人の目の前には女が立っている。女は掌を見せて、両手を下方向へと少し広げている。
顔はぼんやりと霞んではっきりとは確認はできないが、雰囲気から直人と同い年ぐらいだろう。
髪の色は明るく、肩よりも長いストレート。女は何故か一糸も纏っておらず、完全な裸体だ。
僅かな光がその女の白い肌を照らし、艶めかしく光る。骨格は華奢で細身、ほどよく肉付いたな胸。
全体的に女性特有の丸みを少し帯びたその柔らかい肌は、水風船のように直人の剣で容易く貫くことができるだろう。
直人が躊躇して動けずにいると、女は右手をゆっくりと上げて、人指し指を直人の方に向けて、銃を形造った。
そのしなやかな細い指先の爪の辺りから放たれたのは、一瞬の鋭く細い光。
バタンと後方で倒れ込む音につられ、直人は振り向く。美優??
力を失い仰向けに倒れこんだ美優の身体から、錆びた厚い鉄板の床へと血が拡がっていく。
ズキン、ズキンと激しい頭痛が胸の鼓動よりも早く、直人を襲う。
直人は大声をあげて怒り狂い、剣を血が滲むほどの力で握り締め、鉄板の床を割れるほどに踏み込むと、既に右手を下ろして銃を解き、再び掌をこちらへと向けている女へと剣を突き出した。
直人はそこで目を覚ます。大量の汗をぐっしょりとかいていた。
変な夢だ。テストの結果が分かる日だからだろうか。かなりストレスを感じているらしい。