第5話 五年後
第1章 後半スタートしました。
見ていただけると幸いです。
ここはとある村
何の変哲もないように見えるが、確かに違うのが
1人を除いて全員男だという事だ。
今回は男だらけの村のたった1人の女の子の話である。
「株畑のおじさん、米畑のおじさんからお米貰ってきましたよ。」
少女は元気な声で畑仕事をする男に米を渡す。
「すまないねぇ宇佐美ちゃん、お礼に採れたての株を挙げよう」
と拳二つ分あるのではと言うくらいの株を少女に渡す。
「すみません、いつもありがとうございます!」
そう言って手を振り株畑のおじさんと別れる少女
美月 宇佐美
そんな、宇佐美は毎日のように畑という畑を周りみんなの手伝いをしていた。
そしてある日の事だった、よくわからない集団が村に訪れる。
すると、村で1番のお年寄り、正しく長老ともいえる人がその集団の前に立つ
「どちら様かな?こんな何も無い村に」
とすると、集団のリーダーぽい人が
「この村の食料を全部よこせ」
と食料を渡せと要求してきたが、長老はそれは出来ぬ、と答えた。
勿論集団も納得が言ってないようで
「おいジジイ!俺達が盗賊だって分かっていってんのか?」
と横の下っ端ぽい奴が長老に向かって叫んだ。
だが長老は
「それとこれとは別だ、誰でも苦労して物を手にするのが当たり前だ、お前達みたいな苦労もせず人の者を奪うものには何もやれんよ」
と長老は盗賊達にはっきりと言う、すると盗賊のリーダーは
「そうかい?それがお前の答えだな」
と長老を睨みながら言うが長老は後ずさりもせずにらみ返していた。
「お前達まずこの爺さんから殺すぞ」
と命令し長老に襲いかかる
長老も杖を上手く使い回転しながら避ける。
「おい!爺さん本当に爺さんなのか?」
とつい口に出てしまうほど疑う光景に
「ワシは、いかなる時も戦いを止めんことにしておるんじゃよ」
と回転を利用して盗賊の1人を蹴り飛ばす。
「ちっ!爺さんごときに、お前ら技とスキルも使って殺っちまえ!」
と、盗賊達はスキルを使った。
1人は怪力レベル20
1人はナイフ技レベル12
1人は騙し討ちレベル22
どれも低レベルだが、束で来られては普通の老人だったら一溜りもない、だがこの長老は違った
相手がスキルを使い始めた途端
すぐに回り込み、盗賊達の背後から攻撃
衝撃波を発動近距離からの衝撃波は1人にぶつかったら周りも巻き込んで吹き飛んでいく
「何者だジジイ」
盗賊のリーダーが長老に近寄ってくる
長老も余裕そうな顔で
「ワシはただの老人、長老と呼ばれているだけの老人じゃよ」
と答えると、その答えが気に入らなかったのか長老の胸ぐらを掴み
「ただのジジイがこんな強いわけねーだろ!」
と怒鳴り込むが、その瞬間、胸ぐらを掴んだ手が緩まり、白目を向きながら倒れ込む。
「ご老人、大丈夫ですか?」
と盗賊のリーダーの背後から現れた青年に声をかけられる
「ありがとうよ、こんな老いぼれのために」
と老人は笑顔で答える
「そうですか、それではこれで」
と青年が立ち去ろうとすると
「旅のものよ、良ければお礼をしたい」
と言うと、青年はたまたま通りかかっただけだからと言うが長老はそう言わずにと半無理矢理、青年を村に連れていく。
「それでは、村を救ってくれた旅のものにカンパーイ」
と大声に合わせ大勢の男達がカンパーイと叫びお酒を口に運ぶ。
その中にその青年が苦笑いでいた。
「そう言えば旅のものよ名をまだ聞いておらんかったな」
と長老が青年に名前を尋ねる
「僕は犬塚 謙と申します」
とケンは答えた
長老もそれに合わせ名を名乗る
「ワシは石と言う名じゃ、変な名前じゃろ」
と長老は笑いながら言うが
「いえ、お強い長老によく会う素晴らしい名前ですよ」
とケンは長老に言った、すると長老の顔色も変わり
「やはりたまたまでは無く、あの現場にいたんじゃな」
と長老がケンに言うと
「すみません、すぐに助けようと思ったんですが、長老さんがあまりにも凄くて」
と答えると、長老は
「謝ることは無いよ、むしろピンチの時に助けに来たのだから」
とケンに言って、ケンもほっとする。
そんな歓迎会の中、ケンは不意に男の中にいる1人の少女に目がいった。
その少女を見た瞬間、ケンは急に立ち上がる。
それに驚いた周りの人達はどうかしたかと言うが、ケンはそのまま少女に向かって歩いていく。
それに気づいた少女も近づいてくるケンの顔を見て怖いものを見たかのように驚き固まる。
「お前は宇佐美か?」
とケンがそう言うと
「何で私の名前を知ってるの」
と宇佐美は答える。するとケンはダガーナイフを腰から出し
「見つけたぞ卯月 宇佐美!!」
と切りかかって来て、宇佐美も咄嗟に近くにあったお盆でガードする。
周りも、ケンを抑えに行く。
「君!人違いじゃないか!」
と1人が言うが、ケンは人違いじゃない!言いと暴れ出す。すると長老が
「一旦落ち着かんか!」
と怒鳴り周りが静まり返る、ケンも静かに座り込み
「すみません」と小さく言った。
宿の1室にケンは泊まった。
その部屋でケンは暗い顔をしてベットの、上に座っていた。
「どうなってるんだ・・・アイツは宇佐美・・・確に顔も同じ」
そう独り言を呟きながらダガーナイフを見つめて言う。
すると、ドアをノックする音が聞こえる。
ケンはドアに向かってどちら様ですかと尋ねると返事が帰ってきてノックしていたのは長老だと分かった。
ケンはドアまで足を運び
「今開けます」
ドアを開けると長老の後ろに宇佐美も一緒にいた。
ケンは持っていたダガーナイフを構えるが、長老がケンを睨みながら
「何があったか知らないが、もう少し落ち着いたらどうだ?まだ頭が冷えんか?それともバカの一つ覚えとはこの事かな?」
その長老の言葉にケンは渋々ナイフをしまい2人を部屋にあげる。
3人は小机を囲み2対1に向かい合って座る形になった。
そしてケンは
「長老、その宇佐美って子の名字を伺えっても」
と言った。
長老は宇佐美に自己紹介をさせる。
「美月 宇佐美です、犬塚 謙さんですよね・・・、私の事卯月って人と間違えたみたいでその・・・」
後半言葉が詰まってくる宇佐美、無理もないケンは2人を部屋にあげたが、宇佐美の事をまだ疑っておりずっと睨んでいのだから
長老もその様子を見てどうしたものかと頭を抱える。
「ケン、君が言っている卯月とやらはそんなに宇佐美に似ておるかえ?」
と聞いた、ケンは直ぐに似ていますと答える。
「その卯月とは何があったか知らないが、ここにいる宇佐美は正真正銘、この村で育った子だ、君はきっと洗脳だとかそう考えているであろうが、今回は信じて貰えないだろうか」
と長老はケンの近くに歩み寄り土下座をした、それに驚いたケンは慌てて、頭を上げてくださいと言う
「長老がそこまで言うなら、今回は信じて見ます。」
とまだ半分納得がいかないというのが顔に出ていたケンだが、長老はその言葉を聞いて
「そう言って貰えてよかったよ」
そう言って、立ち上がり2人は部屋を後にした。
次の日の朝、ケンは高台に座って村の景色を眺めながら考え事をしているようだ。
昨日の事だ。
どうしても宇佐美は卯月宇佐美としか思えない、そう思うと騙された事を思い出し地面を叩く。
すると、後ろから気配を感じたのか
「誰だ!そこにいるのは!」
と感情がそのまま言葉に混ざったかのように怒鳴る。
するとそこには涙目で座り込む美月宇佐美の姿があった。
「何のようだ、やはりお前は卯月なのか?」
とまだ疑うかのように突き放す言葉を吐く。
すると
「私はあなたとは昨日初めて会ったの!これは事実だけど・・・」
と曖昧な終わり方にケンは
「やはり騙したのか俺を」
と言うと宇佐美は違う!と叫び
「何でか分からないけど生まれる前の記憶・・・前世って言うのかな?そこにあなたと同じ感じの動物と一緒にいる様子が見えたの」
と思いもよらない答えにケンは、つい、俺は犬じゃない!と叫ぶ
すると
「ごめん、でも私はまだ一言も犬とは言ってないよ・・・やっぱり前世の私の大事な家族って事でいいのかな」
そんな言葉にケンは迷っていた、これは罠かそれとも本当にそうなのか
混乱したケンはその場を走り去ってしまう。
私の前世の記憶
それはこの村の村長に拾われた幼い私に突如、流れ出すように見える記憶
続きは、また話そうかだって今は
美月宇佐美のお話だから
続く
読んでいただきありがとうございます。
次回は美月の方の宇佐美の過去編です。