Weapon3
モンスター。この世界でも存在する敵。
様態は色々だが、ドットで構成されていた時代よりも前世代のゲームのポリゴンを数百倍綿密にした、リアルな繊細なグラフィックからくるものは最初のVRMMOゲームが出たころから日々進化してて、現在ではそのあまりにもリアルな様態により、といってもこれはゲームにより異なり、中にはデフォルメされてモンスターといってもマスコットみたいに可愛く描写されたゲームもある。
だが、このゲーム【Weapon Battle Game】ではそんな優しくない。
リアルVRMMORPGを自称するのだから、モンスターの描写はよりリアルにされている。
中にはスライム系のモンスターのようにデフォルメされたものもあるが、基本リアルである。
中でも初期に出てくるフィールドにも出てくる雑魚モンスター【ゴブリン】はその緑色の肌をしていて、醜悪な顔で、ぼさぼさの髪で、知能のある証拠なのか布の腰巻があり、棍棒や小剣などが握られている。
なお小剣を持っているゴブリンはゴブリンソルジャーという名称になる。
若干だが普通のゴブリンより強い。
そんなゴブリンですら恐怖を覚えるプレイヤーがいる。
やはり仮想現実とはいえ、目の前にモンスターと呼ばれる物体が出現するのだ。
それにそいつらが武器を持って、襲い掛かってくるのである。
恐怖を覚えないやつはむしろ頭の螺子が飛んでいるかもしれない。
それにこのゲームでは相手から攻撃を受けた場合いわゆる旧ゲームに搭載されていたバイブ機能と呼ばれる名残からかダメージ受容を想起させる。
といっても本当に現実の痛みとは違う――あくまでもゲームのバイブ機能みたいなものでダメージを受けた部分に軽い電気ショックのような痛みが走る程度である。
これはゲームのプレイモードをキッズモードに変えれば起きなくなるので子供は安心してプレイできるが、その分課金要素やリアルマネートレードが出来なくなるというデメリットもある。
なお俺は13歳だが、キッズモードではなく、プロフェッショナルモードでのプレイを行っている。
モードはキッズモード、スタンダードモード、プロフェッショナルモードの三種類しかない。スタンダードは無課金プレイヤーならこれでいいが、あまり重度の課金が出来なくなるし、リアルマネートレードも額が大きくできなくなる。
よって俺は月額500円(税込)年額だと5000円と大分安くなるプロフェッショナルモードでプレイにした。
しかもこのモードだと取得できるスキルとかかなり増えるのだ。
しかもイベントやミッションなどもプロフェッショナルモードだけの特典もあるのだ。
さっそくプロフェッショナルモードの得点で俺は装飾品【経験値1.2倍の腕輪】を装備した。レア度はRであるが、初期で貰えるアイテム中では優秀な方だ。
経験値上昇系のアイテムはなかなか手に入らない。
中盤ぐらいになると塔とかで宝箱をあけるとごくまれに【経験値1.5倍の腕輪】とか【経験値1.8倍の首飾り】とかが手に入るかもしれないが、出てくる宝箱も銀からとかで、かなり希少なやつだ。
塔とか洞窟とかなどのダンジョンで手に入る宝箱と言うものがある。
宝箱から出るものは基本的に消費アイテムが殆どであり、稀にアイテム(装飾品)が出るが稀であるし、武器や防具とかになると殆どでない。
武器や防具とかは基本的にダンジョンとかに出てくるボスやイベントの時に出てくるレイドボスとかがドロップする。
しかも確定ドロップじゃないし、戦闘に参加した全てのプレイヤーがゲットできるわけではなく、最後に止めをさしたプレイヤーだけである。
ただ序盤のダンジョンとかに出てくるボスとかだと殆ど確定ドロップなので、かなりの競争率になる。
しかもあるダンジョンの特定のボスが稀にドロップするレア中のレア武器それをスーパーレア武器と呼ぶのだが、それを獲得するために日夜同じボスを倒すやつらが後を絶たない。
一人だと倒せないので仲間をつどり、挑戦する奴らが多いが、やはりラストアタックを狙う奴らが多い。
そんなことで仲間割れを起こすパーティもいるとか。
まあこのゲームは基本的にソロ奨励の理由があるのだが――
なぜなら、このゲームはプレイヤーキル(プレイヤーを攻撃してHPをゼロにすること)が出来るゲームでしかもそれを奨励している。
なぜならこのゲームでは倒したプレイヤーの持っているWeapon Battle Point通称WBPを全て倒したプレイヤーが奪えるシステムを有している。
当初この仕様は大ブーイングだったが、運営側は頑固としてそれを改善しなかった。
だが、プロフェッショナルモードと呼ばれるモードをサービス開始から1年後に開始させてから、それだとプレイヤーキルされたときのWBPを半分まで補てんするプレミアムサービスがあるとしれたとたんユーザーは手のひらを返したように鞍替えした。
ただ、普通のプロフェッショナルモードだと月に3回までしか補てんはされない。
それ以降だとプレミアムサービスの一つ、死亡保険(完全全損対応)だと3000円でなんとプレイヤーキルされたときのペナルティを無効にできるというサービスを開始した。
これはスタンダードモードでプレイしていた人にも利用できたので、たっぷり溜めこんでいたプレイヤーをにんまりさせた。
実際このゲームで月にお小遣い程度稼ぐ奴がいる中、10万円、いや30万中には俺は100万月に稼いでいると自慢する者までいた。
もちろんだいたいは誇張で実際は100万以上稼げているプレイヤーは殆どいなかったが。
俺はまだ学生で、小遣いも月に5000円ほどしかもらってない。
だから、まだプロフェッショナルモードだけで個別課金はしないつもりだ。
だがWBPが溜まってきたらそれも考える。
より強い武器や防具とかスキルとかを課金で手に入るのでそれはかなり楽になる。
さてと、モンスターを探すか、フィールドにはモンスターはうようよいるということはなく、歩かないとなかなか出会えない。
もちろんモンスターが突然沢山出現する、繁殖時期や時間があり、例えば始まりの街から北に少し行ったところにある、ウェルダーンの森には夜11時~0時まではモンスターの出現率とくにG、F級が多い中、E級やD級などの出現率が大幅に増える時間帯が存在する。
G級とかF級とかいうのはモンスターのランクだ。
EX S A B C D E F Gのランク分けがある。
EXが最強のモンスターでGが最弱である。
といってもEX級のモンスターは雑魚には存在せず、裏ダンのボスにも今のところ見たことのあるやつはいないという。
設定だけされている項目というものはどのゲームにも存在するのである。
そしてフィールドを歩く中、最弱に位置するG級のモンスターで初心者でも難なく倒せる敵――マシュマロンが現れた。
ふわふわした白いまさにマシュマロみたいなモンスター。
攻撃力はかなり低く、守も低く、敏捷も殆どない、精々運がいいだけ。
運はバッドステータスにかかる割合に関係する。
他にも器用もそうだが、クリティカル率の割合にも影響する。
そしてとても可愛らしいクリンとしたお目目をしてかわいらしい牙も生えてない口を開いて「マシューーー!」叫びながら俺に向かってきた。
悪いがマスコット的なキャラでも俺は容赦しないからな。
俺は少闇剣を鞘から抜いて右手で構える。
左手には腕に取り付けるタイプの小盾が備えられていて。
鎧はビギナーメイルを着ていて、兜はしておらず、装飾品の経験値1.2倍の腕輪があるだけだ。
一応靴もあるのだが、敏捷を上げる効果しかないので、初期装備には無い。
あとで始まりの街にある靴屋に行けば売っている。
中には特殊な効果の靴もあるのだが、まだゲームを始めたばかりの俺には買えるわけがない。
なおだからといって靴を履いてないわけではなく、アバタ―では何の効果もない運動靴を履いていることになっている。
この世界の通貨はソルで現在俺は10000ソル持っている。
HPを回復させる宿とかに泊るにも必要でその際1000ソルほど必要だ。
まあモンスターを倒せば、必ず嫌というほど手に入るものだ。
なお店売りの商品はソルを使うが、プレイヤーキャラが売っているものはWBPを使用する。
つまり実質的なリアルマネートレードが既にゲーム内で行われているのだ。
中にもスーパーレアな武器とか防具とかは高値で取引されている。
――マシュマロンはふわふわと浮遊しながら俺に飛びかかる。
俺はそれを流すような体勢で、横に薙ぎ払う感じで剣を揮った。
剣がマシュマロンにヒットする。ヒットの瞬間ダメージを与えた証拠にポップアップウインドウとして、モンスターのところから吹き出しアイコンのように30と数字が表れて、マシュマロンが少しだけ赤く点滅した。
そしてボンッという音と同時に白煙が現れて、マシュマロンが光の粒子となってこのフィールドから存在が消失した。
メッセージウインドウには【1の経験値を取得。10ソル手に入れた。ドロップアイテム『マシュマロ』を手に入れた。】と出た。
お金はまあこんなもの、経験値は小数点以下は切り捨てのようだ。ドロップアイテムはマシュマロン独自のもので、50パーセントの確率でドロップするように設定されていると書いてあった。
消費アイテムで、食べると甘くて美味しくてお腹が少しだけ満たされると説明に書いてある。
しかも――ほんの少しだけ運がよくなると書いてあった。
なんかよくわからないアイテムだ。
ほんのすこしだけ運が良くなるとはどういうことだろうか?
なおステータスに変動はしなかった。
試に食べてみたが、確かに甘くてふわふわとしてていて、それでいていくらでもいけそうなお菓子の定番と言える味だ。
焼いても美味しいと来たもんだ。
試しにマシュマロンをもう一体探して一撃で倒して、運よくマシュマロをゲットする。
そしてその辺の木片を探して集めて初期アイテムのライターを使用して、火を起こす。
串が何故か入っていたので、それにマシュマロを刺してたき火でマシュマロを焼く。
美味い! とろけるような口当たりが俺の舌に刺激を与える。
これがマシュマロの美味さか。
そして俺は少一時間ほどマシュマロンを狩りまくった。
全部で30体ほど狩れたが取得したマシュマロは25個だった。
どうやら結構な確率で取れるようだ。
それとも運がほんの少し上がっているからであるからか。
とにかくマシュマロを食いまくり飽きるまで堪能した。