Weapon2
Weapon2
一瞬視界がシャットアウトしたと思ったら、直ぐに白い空間に飛ばされて、虹色の迷彩模様が反響して、様々な開発や関係している会社のロゴが現れて直ぐに止んだ。
そして何も無い空間でプレイヤーキャラを作成するエディタが開始される。
プレイヤーキャラ名をどうしますかと聞かれた。
俺は自身の本名である強夜と同じ名前キョウヤとした。
種族を決めろとメッセージウインドウに出た。
種族は最初から選べるのは人間、エルフ、獣人、妖精、ドワーフの五種類。
俺は特に深い考えも無く、普通に人間にした。
次は職業を決めて下さいと出た。
さっきもそうだが、様々なイラストが出ていて、色々な職業がある。
俺はなんとなく、剣士を選んだ。
特に理由は無いが、二刀流に憧れているという所為である。
いつになるかわからないが、二刀流と言うユニークスキルが存在するのだこのゲームには。
通常武器はこのゲームだと一つしか持てないが、この二刀流と言うユニークスキルを取得したら、武器を二つ持てるという物凄く強力なスキルである。 だが、如何せんユニークスキルなので誰でも取得できるわけではないらしい。
先発的に既に持っているプレイヤーがいる中、後発的に物凄い果てしないほど難しいミッションをこなして、レベルを上げて、苦労して手に入るということもあるとか。
俺はどういうふうでもこの二刀流の剣士を憧れていた。
だが、もう一つ憧れているのもある。
うちの同じマンションに住む、白髪のお兄さんが実は凄いゲーマーでこのゲームをしていた。
そして俺がこのゲームをやり始めるきっかけとなった人だ。
その人は上位職の大剣士で大剣と呼ばれる巨大な剣を持ち、凄まじい攻撃力で敵を粉砕する攻撃職の中でも群を抜いて殲滅力がある職業だ。
俺はその大剣士でもいいかなと思っていたが、お兄さんは「僕の真似はしないことをお勧めするよ」と言っていた。
俺は事前にお兄さんが戦っているところを少しだけ見せてもらったが、なかなかのものだった。
そんなこともいいとして大剣士か二刀流の剣士のどちらかに決めかねていたがどちらにしても大剣士になるには剣士のままレベルを30まで上げて、サーマ神殿に行き転職の儀式を受けなければいけないのだ。
『それでは武器をこの中から選んでくれ』
何もない空間から声が発せられる。
そしてズラッと様々な剣のイラストが並べられている。
最初に選べる剣は全部で8種類か。
ビギナーソード。フレイムソード。アクアソード。大地剣。微風剣。少闇剣。少光剣。面白い剣。
俺は考える。そして少闇剣にすることに決めた。
なにせ闇属性の剣とかとにかくかっこいいと考えたのである。
剣のステータスも見たが、なかなかである。
攻撃力が25もあるし、耐久値が500もあり、リーチがDで剣の中でも高いほうだ。
成長するのだからこれでいいのである。
最後にステータスの割り振りである。
ステータスはHP、MP、力、守、器用、敏捷、体力、知能、運それに共鳴があるが、共鳴以外のステータスに割り振る。
一応初期値が設定されているが、剣士の職業の特徴は完全にバランス型であり、初期値だとHPがやや高く、MPはほどほどにあり、力がまあまあ高く、守は並で、器用も並で、敏捷が少し高く、体力は結構高く、知能は並以下で運はそれなりである。
共鳴は職業に関係なく、その人の個性というかVRMMOゲームの適性値みたいなものである。
共鳴はそれらの数値が高いほどVRMMOの現実での肉体と仮想空間での肉体のシンクロ率が高いことを表すのだ。
やはりゲームの上手い人ほどこの共鳴の数値は高くなるようだ。
実際前世代にはやっていた、コントロールを手で操作するアナログなゲームでもコントロールの操作性が上手い人ほどゲームが得意であった。
特に格闘ゲームのようなコマンドを入力するゲームなどはそれに伴う操作性が上手な人ほどゲームとのシンクロ率が高いと言えるだろう。
さて、ステータスの割り振りである。
割り振れるポイントは100だ。俺は考える。HPやMPにはもったいない。力だとのうきんになる、守は盾とか鎧でなんとかなる、器用は命中率とクリティカル率にも影響を及ぼす数値であるが――まあやめておこう。
だとすると――やはり敏捷か俺はこのゲームで一番はっきりと実感できる数値は敏捷だと考える。
なぜならトップ職業――人気の職業ではなく、ランキング上位のプレイヤーが座席するのはなんと盗賊という職業の中でも敏捷に重点を置いた速さが売りの職業が多いのである。
盗賊は敏捷と知能が高く、器用もそれなりに高い、だがその分HPと力が低く、守に至っては通称紙と呼ばれる数値で成長率は最も低く設定されている。なので敵からの重い威力のある攻撃を受けてしまったら大ダメージは覚悟しないといけない。だからなのか盗賊は敵からの攻撃を全て避けてしまうことに重点を置いた職業であるのだ。
それほどこのゲームでは敏捷という数値が重要視されているのだ。
だから最初にしかできないステータスポイントの割り振りでは敏捷極振りが奨励されている。その次に人気なのは盗賊の紙の防御力を補うために盗賊限定の振り方で守に極振りというやり方である。
他にも体力が低い職業――例えば魔法使いの体力を補うために体力極振りとか奨励されている。
もしくはその職業の良いところ――利点を伸ばす振り方でもいい。
バランス振りは何故か奨励されていない、まあといってもそれでも振り方は千差万別だ。
結局のところ自分のやり方で決める方がいいと俺は思う。
さてどう振るか――ステータスポイントの割り振りはこれ以降だと転職のときか、転生の時に行えるボーナスポイントの割り振りのときだけである。
たまにステータスポイントをイベントとかで貰える時があるとwikiには書いてあるが、このwikiあまりそういう詳しいイベントのとことかミッションのこととかは書いてない。
有志で作るwikiなのにそこらへんは不親切だ。
まあみんなヘビーユーザーほどこのゲームをしているのでその間はヘッドギアをしているわけであるので、wikiを編集する時間すら無いのも頷ける。
俺は熟考する。そして敏捷に70ポイント、知能に30ポイントというよくわからないがまあややバランス振りにする結果となった。
敏捷は言わずもかな、知能に振ったのはこのゲームでは知能も実は敏捷と同じくらい重要な位置づけにあるという点だ。
知能は本来その人の頭の良さなどを表すための性質をもつが、このゲームでは少し違う、それは魔法の威力に補正する数値でもあり、魔法や技このゲームでは武器技を使用する際の魔法や武器技の発動展開速度に関する数値でもあるからだ。
どんな魔法や技でも発動して展開して技が放たれるまでのラグが存在する。
そのラグをどれだけ早めることが出来るかが、この知能のという数値で決められる。
もちろん魔法や技の中にはその技の中でも単一の限界発動展開速度が決めらているものもあるが、中には限界が無いものもある。
そんな中で発動して技を展開して放たれるまでの時間が極端に遅いものが存在するのだ。
ウェポンスキルのなかで、レベルが高くなるほど覚えるスキルの中では発動まで長い時間を要するウェポンスキルもある。
例えば上位職業の重戦士について例を挙げると、この職業の特徴は文字通り、HPがかなり高く、守も高く、力もあり、体力が並々ならないほど高い利点を揚げると物凄く強そうであるのだが、その分器用が低く、敏捷なんて無きに等しく、知能も低いし運もあまり無いというデメリットがある。
この職業が覚えるウェポンスキルはどれも発動展開速度に時間がかかるものばかりという特徴がある。
中にもこの重戦士で一番早いウェポンスキルでも発動展開速度がなんと5秒もかかるという代物である。
長いのだと16秒もかかるものがある。
だが、その分威力が激高に設定されているが、そう簡単に当たるとは思えない。
敵がAIで設定されているモンスターとかモブプレイヤーとかなら当たるだろうが、AIのレベルが高く設定されている裏ダンや隠しダンジョンの敵とかだと容易に躱されるし、特に中の人がいるプレイヤーとかならなおのことだ。
そんな中ここで出てくるのが知能と言う数値。
この数値が高ければ高いほどなんと技や魔法の発動展開速度を速められる。
技によっては早められる時間自体が決められているものもあるが、中には限界が無い。
よって先ほど紹介した重戦士が例えば重戦士の平均レベル30だと知能が70ほどしかないだと、発動展開まで16秒かかる超必殺武器技【デストロイクラッシュ】すらも知能の数値を1000ほどまで上昇させると、あら不思議発動展開まで1.5秒ほどになる。
それほど知能という項目は重要なのだ。
もちろん敏捷のほうが重要だと俺は考える。
敏捷は移動速度や通常攻撃の速度や敵の攻撃を回避する回避速度に影響する。
知能は技や魔法の発動展開速度に影響する。
どちらも重要だが、両方高い職業はあまりない。
俺はステータスポイントを割り振り、自身のステータスを確認した。
プレイヤー名:キョウヤ
種族:人間
職業:闇魔剣士(特殊)
年齢:13歳
ステータス
レベル1
攻撃力:183
防御力:180
HP:325/325
MP:60/60
力:158
守:100
器用:76
敏捷:200
体力:180
知能:180
運:180
共鳴:2000
WBP:1000
ん? 職業は剣士にしたが、闇魔剣士になっている? しかも(特殊)ってなんだ?
まあいいやたぶん武器を闇属性の剣にしたからだろうと俺は納得した。
そしてチュートリアルを完了させた。
最初にWeapon Battle Point通称WBPを1000プレゼントされた。
実はこのポイント現実のお金に変えることができるのだ。
実際このゲームがでたことによりいわゆるゲームで稼いで生活するネオニートまで出てきたぐらいだ。
そんなやつは都市伝説だと言われているが……
俺はそこからチュートリアルを完了させて、異次元の狭間から景色が虹色の閃光を浴びて、また変容した世界が――
いつの間にか俺は中世の街並みのようなこの世界オルタリアの要塞都市で始まりの街である、《ガントレイシア》に地面に足をつけて立っていた。
街は賑わい、発熱した蒸気機関車を沸騰させる喧騒の中で、店には様々な物が溢れていた。
「ここが始まりの街ガントレイシアか……」
俺が降り立って発した一言だ。
さてここからどうしよう。特に目的が無いのがVRMMORPGの醍醐味だ。しいて言うなら強くなり最強を目指す、どのゲームでも存在することである。
とりあえず――フィールドに出るとするか。
俺はモンスターを相手するためにフィールドに赴いた。