Weapon1
Weapon1
《Weapon Battle Game》
通称≪WBG≫。サービス開始は2038年7月28日となる。プレイヤーは自分だけの武器を使役して、極めて、頂点を目指し、戦うゲームという謳い文句で開始されたリアルVRMMORPGらしい。
リアルという名称がついていることから本当にリアルなVRMMOらしいのだ。
空気、質感、重さ、奥行きのある世界、落ちている石ころ一つまでリアルな状態を再現しているという。
まさにもう一つの世界を再現するために開発されたゲームとも言われている。
このゲームはサービス開始からそろそろ丸3年も経とうとしている。
現日付時刻2041年7月21日午後1時ぐらい。
昼飯を食べ終えて、自室のベットの上に横になり、そのまま専用のダイビングヘッドギア通称【アイル】を装着したままにする。
このヘッドギアは現在新型の第三世代型のヘッドギアで、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を全て制御する最新型のヘッドギアだ。
これまでの2035年~2039年ぐらいまで主流だった第二世代型のヘッドギアは視覚、聴覚、嗅覚触覚まではサポートされていたが肝心の味覚がまだ未搭載だった。
しかも現実味有るレベルの息にまで達してない不完全なVRゲームだった。
現実の食べ物を再現した嗅覚情報となりえる神経伝達分子の匂い情報は人間が知覚できるものでは300までと呼ばれていたが、最近の研究ではその10倍3000もの匂い物質を人間は認識していると言われているということがわかった。
それらの中でも複雑な匂い物質を神経伝達分子に運搬して知覚させて、疑似的に現実の匂いを再現させるシステム構築を容易にさせたのは、人工知能『オリビア』によるものだった。
彼もしくは彼女は2030年ごろに作られて自律進化を遂げていく中、さまざまなものを解明していく。
ガンのメカニズムから浮遊半重力エネルギーの理論までさまざまだ。これにより長らく謎だった嗅覚の神経伝達分子のメカニズムを解明した。
それまで人間の解明したのは全体の6割程度だったが、オリビアは完全に解明したのである。
そしてそれらの技術をVRMMOに組み込んだ第二世代型ヘッドギアを開発されて、始動したのが2035年10月5日である。
しかし3年後に再び開発されたのが、味覚情報を再現した、新型の第三世代型VRMMOの誕生だった。
それまで味覚情報は複雑怪奇で研究者も匙を投げていた。だが、オリビアにより進行度82パーセントまでは解明されいたが、そこからが謎だった。
例えば、同じ料理でも別の人が作ったら、味が絶妙に変化するその状態を再現するのが困難を極めた。なんでも料理工程の配分をプログラムにインプットする過程で何故かバグが生じてなんだがよくわからない変な味になってしまうことが多かった。
そのバグを解消して、味覚の疑似再現性の論文を発表した人物がいた。
名を加儀原正義という。若干2037年にして16歳の少年であり、マルドフォーンウェイ大学(有名なイギリスにあるノールド賞を排出するものを多く出す大学)に飛び級で入学して、首席で卒業したが発表した論文だ。
なお彼はその後リアルVRMMORPGを開発する会社を立ち上げた。
SSBSSeigiCorporationであり、彼が開発したゲームは《Weapon Battle Game》のことである。
彼自身が一流のプログラマーでもあり、研究者でもある。
彼は独自のプログラムによりWeapon Battle Gameを完成させた。
開発期間は本人のインタビューにより、2年半と回答している。
2038年7月28日その日にWeapon Battle Gameはサービス開始された。
当初、VRMMO市場は過熱して、新規立ち上げが多い中、クソゲーと呼ばれるものまであったのでユーザーは慎重を期していた。
だが、Weapon Battle Gameは当時最先端を行っていた味覚情報を再現したコンソールを秘蔵した、第三世代型ヘッドギア【アイル】を完璧にふんだんに生かしたゲームだった。
しかも独自のプログラムにより現実との境目を感じさせないほどのレベルのグラフィックを作り出して、空気の質感や大地の重量など、自然の自然らしさを重視して世界を構築した。
これにより目新しさを生み、サービス開始から3か月あまりで、登録ユーザー数が100万人を突破した史上初の最速記録を撃ち出したVRMMORPGとして記憶に残ったユーザーも多いだろう。
それから約3年の月日が流れて、今に至る。
俺はそんな期待しかないVRMMORPGをいまといまとプレイしたいと待っていた。
現時刻午前10時くらいで、ついにVRMMORPGの《Weapon Battle Game》が俺の元に届く。
Aruzonのお急ぎ便を頼んだから二時間ぐらいで来たよ。
ヘッドギアは事前にリアル店舗で買っといた。
今にもプレイしたいのはやまやまだが、俺は母親にゲームする前に宿題をあらかた片づけておきなさいと念押しされている。
よって俺は夏休みの宿題をここ3日間でほとんど終わらせた。
あとは最後の仕上げに日記をつけるぐらいだ。
俺はゲームのプレイ日記をつけることにする。
そして少しばかり睡眠をとり、昼ご飯を食べて、午後1時になりついにVRMMORPGをプレイする時が来た。
俺はヘッドギアを装着する。
そのままベッドに横になり、ヘッドギアの電源をオンにして、あるゲーム開始コマンドを発する。
「シンクロスタート!!」
俺の意識は電子の海に溶け込んでいった――
そして電子の世界は俺のこれまでの生き方を変えるほど素晴らしいものであった。