表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/18

Weapon13

 残像の走る瞬間、疾風のごとき影風はさっそうと流れていく。引き金を引く瞬間黒き弾丸は魔物を蹂躙する。乱列する銃の応酬は重ねがけする圧力を放つ。輝く無形の壊れ物を作り出す覇業の暴人はそこを後にする。

 Sランクプレイヤー銃真王マグネスは裏残骸の塔を攻略していた。


「やれやれだぜ……ハクトのやつは今頃どこで何をやっているんだろうな」


 そのハクトと言うと……


 無幻の神魔界で悪魔神ジョロティアを相手に死闘を繰り広げていた。

 悪魔神ジョロティアは討伐奨励レベルは150ほど。ハクトはレベル127だ。ハクトはそれでも持ち前のプレイ技術を駆使して悪魔王ジョロティアを追い詰めていく。

 この場合戦慄を感じていたのはジョロティアのほうだった。


「なんだこのプレイヤーは今までの奴らと骨が……いや格が違う…………」


「悪魔王とか言うくせに大したことないですね」


「五月蠅い! お前が出鱈目なのだ。まあいい私を倒してもその上の邪神バルガンディア様や無幻神ウルギアラザム様がいるぞ!」


「遠吠えはいいですよ、じゃあ止めですね」


 ハクトはウェポンスキルを使用した。使ったスキルは『神力の覇斬』

 悪魔タイプに対して200倍の一撃を喰らわせる悪魔殺しのスキルだ。

 予め、覇道拘束を使用してバインドを行っているので躱されることはない。

 悪魔王ジョロティアは敗れた。

 ハクトはだが不満そうだ。


「ふ~弱すぎる。この程度の相手しかいないのか裏ダンジョンのくせに難易度大したことないな」


 なおこのハクトは副垢でメイン垢のほうが物凄い強さだ。

 ハクトはメイン垢に戻るためにアカウントを切り替えた。



 一方キョウヤのほうは……


――贓物を喰らい尽くす化け物のいる戦慄の走る暗いダンジョンで俺は激戦を繰り広げていた。魂喰のダンジョン。レベル無制限の初心者向けとは言えないダンジョンに不意に潜ってしまった。

 フィールドを歩いていたら塔の一番上が光っていた。そこがこの地獄のダンジョンの入り口とは思えなかったが、それが始まりだった。

 魂喰のダンジョンは入った瞬間全てのスキルが無効化されるダンジョンだ。これにより俺の全てのスキルが使えない。そのかわり相手の強さはあまり強くない。アイテムは使えるからそれにより回復することはできる。


 制限ダンジョンのようなものだが、まああまりそれはどうでもいい。

 重要なことは俺の戦闘スタイルがどこまで通用するかだ。なんでも俺はスピードタイプの剣士だ。敵を圧倒するスピードで戦うタイプだ。現在のレベルは40で、レベルアップ時のボーナスポイントも全て力と敏捷にふってある。クエストを熟したときに貰えるボーナスポイントもあらゆる場合に備えてバランスよくふってある。

 大抵のモンスターは今ではワンキルで倒せる。

 たまにHPの高いモンスターには苦戦する時もあるが。


 出てくるモンスターは全て魂喰いと言うモンスター。

 亡霊のようなモンスターで顔が霊魂で歪な感じだ、実態は無いが打撃は何故か通る。

 こいつはゆらりゆらりと俺の攻撃を躱してくる。

 全ての攻撃はスキルを頼れないならば直感と今までの戦闘スタイルを信じて戦うしかない。

 魂喰いが怪光線を放ってきた。俺は咄嗟に躱す。そのまま迂回しながら近づく。そして重闇剣を構えて、放つ。あえて今は剣は片手の一本だ。黒刃刀クロガネはしまっている。

 何故かと言うといざという時の保険と俺がどれだけ通常の状態で戦えるかの実験だ。

 まあある意味修行みたいなもんだとしか言えない。

 

 

 ダンジョンを長く歩いているとそこかしこにギミックがある。落とし穴や矢が飛んでくるなどの罠が多彩だ。

 だが、全て運よく回避する。この極限状態の中で養われた野生の直感のような何かが俺の中に生まれているのかもしれない。


 そしてついにボス部屋にたどり着いた。


 そこは魂を喰らうだけの化け物がいた。

 ソウルイーターという化け物だ。猿と熊を足して二で割ったみたいな姿だ。だが俺を見つけると物凄いスピードで近づいてきた。


 俺はすぐさま横に跳んだ。そして体勢を立て直す。そのまま剣を持ち、後ろから近付く、剣を横に振り上げ、振り回すように放つ。


 ソウルイーターは敏捷にふっている俺の動きについて来れないのか、俺の攻撃を回避できなかった。

 そのまま仰け反り、俺の攻撃を受け続ける。だが、それは必死に耐えている獣の防御行動であり、反撃のチャンスをうかがっていることは目に見えていた。

 俺は連続で攻撃を仕掛けて反撃を許さなかった。

 

 反撃の時が来た。俺は反撃と同時に剣を引き、奴の反撃に合わせて剣を揮った。

 ソウルイーターは不意をつかれたのか頭からかち割れた。


 あっけないな……俺が強すぎたのか……?


『撃破ボーナスとして、スキルを取得できます。お選びください』


 おっ? なんだ初めての展開だな。

 どうやら階層主を倒したらスキルを得ることが出来るらしい。

 そんなこともあるのか。

 実際ここまでダイジェスト風だが実際には五時間ぐらいかかってるからな。


 選べるスキルは全部で三つあった。

 一騎当千……一人で敵を複数相手する時全ステータスを3倍にする。

 瞬間移動……一度行った場所に転移する。一回でMPを50消費する。

 法則無視……敵の全ての補助効果などを打ち消して法則を無視して攻撃できる。


 ううむ迷うがここは面白そうなスキルの法則無視だな。

 俺は法則無視を選んだ。

 これで強くなればいいのだが。


 俺はその後外に飛ばされた。

 みると名も無き塔の上だった。

 光は消えていて、そこにあったダンジョンの入口は消えていた。

「なんだったんだいったい……まあいいか」

 俺は次の狩場を求めて彷徨うのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ