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Weapon11

第11階層、俺は額から滲み出る汗を拭いながら、右手に剣を持ち、左手に刀を持ち、戦っていた。

 光に照らされて、僅かな軌跡を描いて、剣の閃光は眩いほどに輝いていた。

 対する、リザードマングランドは重く、岩石を切り出したかのような大岩を加工して作りだしたかのような、岩の斧を背負い、これまた重そうな岩の鎧を身に纏い、岩石の兜を被り仁王立ちしていた。

 その眼光は鋭く高い知能を伺わせる、爬虫類型モンスターは頭が良いようだ。

 俺は刹那、足に力を入れて、地面を蹴る、そしてリザードマングランドの虚をつくように右手後方から旋廻する。

 右手の片手直剣に相当する、重闇剣を揮う。

 その剣の軌跡は重々しいが、軽やかで厚く闇の塊が中に溜まっている、そんな剣を俺はただ敵に渾身の力を込めて、振る。

 リザードマングランドは岩斧でそれを嘲笑うように受け止める。

 剣は押されて、岩斧の持ち手が若干押している。

 しかし俺にはまだ左手がある、黒刃刀クロガネ――黒い刀身を持ち、重闇剣と違って軽そうな刃をしていて、だが、刀身は意外と太い、その緩やかに打たれたのであろう黒く輝く、異形なる刀は全ての敵を斬りさく鋭さを持っているだろう。

 そんなクロガネがリザードマングランドに揮われた。

 鋼の一撃、黒の重圧的な刀によるだが、それでいて素早く振られた刀は鋭く致命的な傷をリザードマングランドに与えた。

 リザードマングランドは悲鳴をあげて、口から赤い液体を吐き出す。

 そして刀が通った場所には抉られたように傷が付き、赤く黒く変色した液体がまだ流れている。

 リザードマングランドは片膝をついた、俺はそれを見逃すような男ではなかった。

 そのまま勢いに任せて、右手の重闇剣を揮い、左手のクロガネをまた揮い、止めをさした。

 リザードマングランドは俺に殺られると、体を構成している、粒子が分解されて、白っぽく輝く銀色のジクソーパズルのように分離して、この世界から消えた。

 

「微妙だな……」

 俺は少しだけ後悔するように溜息を吐きながら呟いた。

 リザードマングランドはEクラスのモンスターだ。

 経験値はまあまあおいしいのだが、金が少ない。

 それにドロップアイテムがリザードマン系は全て蜥蜴の尻尾という、戦闘から逃げやすくなるアイテムというのがまた使い道があまりない典型的な例だ。

 先ほど中ボスで戦ったリザードマングレイトはDクラスのモンスターだが、強さが圧倒的に違ったというほどではなかった。

 力が少し強くなる程度と敏捷が低級のリザードマンに比べてかなり高い程度の存在だ。

 だが、リザードマンの亜種は知能が高いので、技の発動速度が速いのが扱いにくい点だ。


 第12階層はリザードマンフロウという風属性のリザードマンが出た。

 強さ的にはリザードマングランドより力が落ちる代わりに速さが高い程度のモンスターで強さは同じくらいだ。

 この階層もあまり旨味が無い。金もあまり稼げないし、経験値も少ないと来た。解せない。

 

 

 

 第16階層までやって来た。ここまでリザードマンファントム、リザードマンクロス、リザードマンダークなどの亜種が出てきたがどれも経験値以外は美味しくない。

 現在のレベルは24で少し上がったが、まあ想定内だ。

 このまま強くなっていく自分を無謀にも鍛えていくのも悪くないと俺は考えていた。

 第17階層はリザードマンの数が見た目に見ても増えてきた。

 一度に出てくる量が1.5倍から2倍ぐらいになっているのである。

 これでは前に進むのが困難だ。


 鬼夜叉モードで一掃する。

 レベルが27にまで上がって、さらにスキル鬼夜叉が進化した。

 闇鬼夜叉と変化している。

 スキルはかなり効果が変わった。

 闇鬼夜叉……任意発動型スキル。力に+500、器用に+300、敏捷に+100、体力に+200。自身の力をランダムで0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、4倍、6倍、12倍、25倍のどれかにする。この効果は戦闘終了まで続く。経験値が常時3倍になる。取得ソルが0.4倍になる。稀に闇属性のドロップアイテムをモンスターが落とすかもしれない。


 なかなか強くなったのかな? まあ謎の効果が付いたが、闇属性のアイテムとはなんだろうか。

 そして新たなスキルも覚えた。

 暗黒の破面……任意発動型スキル。顔を任意の人物の状態に変化させる効果を持つ。暗黒の力により自身のステータスを上昇させる。敏捷を2.5倍にする。知能を5倍にする。共鳴シンクロを+1000する。発動時MPを最大MPの四分の一使用する。効果は3時間続く。


 なんだこれ、強すぎだろチートじゃないか。

 俺の持つスキルがチートなのは今に始まったことではないけどな。

 まあでもMPを最大MPの四分の一使うのは大きいか。

 MP自体もう1000近いので逆に困るなこのスキルはなんかいい方法ないかな。


 顔を任意の人物の状態に変化させるって……これはなんか犯罪に使用できそうだしヤバいだろ。

 まあゲームの世界だから犯罪もくそもないか。


 

 第20階層に来た。だいたいは絶対君主と闇鬼夜叉のコンボでブチ倒してきた。

 中ボスみたいなやつが出てきた。

 リザードマングレートバーサーカーフェンリルナイトというやつだ。

 狂戦士の名は伊達じゃない、複雑な軌道で接近してきて、俺を翻弄してきた。


 俺は力重視の戦い方からスピード重視の戦法スタイルチェンジした。

 ただの感覚変化と言う名の思い込みだ。

 ただこのゲームは思い込みで新たな技を使えたり、スキルを覚えるなど思い込みは重要なことだ。

 思い込みで麻痺状態なのに体が動くようになるなど、想定外の裏技もある。


 俺は宇宙一速い戦士だと思い込むことで、このリザードマンを圧倒した。

 後ろに回り込み、速い一撃で俊足の十二連撃の斬撃を繰り出した。

 リザードマンはそれでも捨て身の一撃を喰らわせて来ようとしてきた。

 口を大きく開けて砲撃の火炎弾を放つ。

 巨大な火の玉を俺は二刀の剣でクロス型に切り刻んだ。


「迎え撃つぞ……必殺……スターレイドメテオブラスター!!!」


 俺は光速の速さでリザードマンに迫り、数多の斬撃を喰らわした。

 リザードマングレートバーサーカーフェンリルナイトは細切れになり、なかなかの経験値を得た。

 ドロップアイテムも結構な物を貰えた。

 狂戦士の証……持っているだけで力と敏捷に少しの補正(8パーセント)。

 持っているだけで効果があるのはいいな。

 俺はその後怒涛の速さで階層を攻略していき、ついに最終階層の30階層に到達した。


 そこには一人佇む、謎のミステリアスな可憐な少女がいた。


 振り返る少女は、俺を見ると品定めするように観察したら、近づいてきて俺にこう言った。


「あなた、強い? なら私と戦ってくれる……ここは一時的にパーティを組みましょう」

 

 

 

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