第0話「屋敷の少女」
登場人物~
橘桜
屋敷に住む少女
恐怖はいつだって自分に纏わり付く、
まるでそれが脅威では無いかのように
第0話
19○○年7月24日
少女は汗を大量にかきながら目を覚ました。目覚めがとても悪いーーーそれはジメジメして暑いからではない。まるで心臓を悪魔に掴まれたかのような、そんな嫌な汗であった。
今年で16歳になる橘桜は目覚めたとき今まで感じたことのない悪寒が走った
桜は自分の部屋を見回した。桜の家は森の奥深くに建ってる古いお屋敷であり、部屋は12畳分の広さはあるだろう。
外はとても暗く雨が降っていた。果たして私は何時眠りに着いたのか?ーーー鍵を開け部屋を出た少女はいつもの廊下を見回した
桜は父親のいる書斎へ向かった
「お父様?」ーーー返事は無い
父は書斎には居なかった。いつも仕事で書斎に籠る父親が居ないのはとても珍しいことだった
父親はバイオテクノロジーの会社で働いてる。父の仕事熱心な姿には母親も困らせるほどであり、細菌に関することになると我を忘れて熱弁していた。
私は父親の背中姿に憧れを懐いていた。いつか私も科学の道に進みたいと考えたが、父は女性が科学者になるのは難しいと反対した。それでも夢を諦めたくない私は科学の勉強し、論文すら書き上げた。その功績を父は誉めてくれた、人生で初めて父に誉められた瞬間であった
私はキッチンに向かった。今は何時なのだろうか?ーーー今日は時計を一切見ていなかった。「お母様?」
キッチンに人の気配は無い
リビングだろうか?図書室だろうか?浴室だろうか?
とにかく私は無性に誰かに会いたかった。この嫌な胸騒ぎを払拭したかったからだ。
桜が住む屋敷は4階建てで広かったが、使う部屋は限られてたため親を探し出すのは苦労しないと考えていたが、どの部屋を探し回っても親が居ないどころが人の気配すらなかった。
今まで夜間に人が家に居なかったことは無い。
父は仕事で家を空けることはあったが、母が今まで夜間に外出することはなかった。
感じた不安が一気に高まり、呼吸が荒くなる
桜は屋敷の部屋を片っ端から調べた。部屋を覗けぞ覗けぞ得るものは不安の欠片であった。このまま調べ尽くした時には不安が巨大な塊となり我が身に降り掛かることだろう
少女はドアノブに手を掛けた。ドアは堅く閉じられていたーーーこの部屋は私が昔使っていた子供部屋だった、子供部屋なので鍵は付いていないはずだ。桜はドアが何かで引っ掛かってると感じた
桜は体をドアに思い切り叩きつけたーーーやはりドアには何かがこびりついているのか少しドアが開いた
もう少し…
もう一度ドアを叩きつけようとしたとき、少し開いた隙間からこの世の物とは思えぬ悪臭が彼女を襲ったーーーそれでも彼女はドアを叩きつけた。自分に纏わり付く不安感を払拭するためなら悪臭など気にならなかったのだ
ドアが完全に開いた時、彼女は目の前の母親の無惨な死体を目にし不安感が恐怖へと変わり顔が青ざめた
母親はまるで獣に襲われたかのようにグチャグチャ引き裂かれ、部屋中が赤く血で染まっていた。よく見れば家政婦もそこに居たーーーもちろん説明するまでも無い
彼女は悲鳴を上げず、まるで人形のように感情が無くし部屋を抜け廊下を歩き出た。
ただひたすら長い廊下を訳も無く歩くーーーその目には涙を流していた。「さくら…さくら?」
後ろから声が聴こえた。父の優しい声がーーー桜は後ろを振り向いた
「さくら…さくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくらさくら」
それは父ではない、父の形をした化け物だった
目は腫れ上がり大きく膨れ充血し、人間とは思えぬ牙を持ち、頭には角が生えていた。
化け物は私に向かって走りだし私を突き飛ばした
気がつくと化け物は私のすぐ目の前でヨダレを垂らしていた
きっと喰われる。これが最後なのだ
「喰う…グヒッ!ケケケケケッ」
自然と恐怖は無くなった。いや違う…
これも恐怖なのだ。今までとは比べ物にならないほど静かで大人しい恐怖だ
誰もが最後に体験する、それを私は体感している
人間は一生の内、沢山の感情に晒されるが
誰もが最後に体験するものーーーそれは恐怖なのだ
初めて小説を書きます
小説は色々と読みますが、文章力はあまり期待しないでください
この作品はラノベより映画に近い小説のつもりです
今後は気分次第で上げていくつもりです
投稿ペースは遅かったり早かったりしますが、気にしないでください
プライベートでは漫画家の卵なので、小説より漫画を優先していくつもりです