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宵闇の妖怪vs夜の帝王②

「それにしても……、 隙間妖怪みたいね、 あの裂け目。 なんなのかしらあの黒い霧」


レミリアは上からルーミアの様子を見ていた。

その視線の先にはルーミアによって作られた裂け目から漏れ出す黒い霧のようなもの。


「……っていうか、 別に待ってやる必要ないわね」


そう言ってレミリアは彼女のもつ吸血鬼元来の、 銃弾と同等のスピードでルーミアを後ろに回り込む。


「避けてみなさい」


岩を砕くパワーを持つ拳を、 弾丸レベルのスピードでルーミアに向けて放つ。

だがその拳はルーミアに届くことはなかった。

いや、厳密には通り抜けたのだ。


「……これは」


驚きの声を隠せず思わず口からこぼれる。

確かに目の前にルーミアがいる。

だが攻撃をするとまるで光が歪んでいるかのようにルーミアの形が崩れた。


(私みたいに霧になってるわけじゃなさそうね……どちらかと言えば、 光が屈折しているような……!!)


何かに気づくレミリア。


「そう言うこと……、 貴女、 重力それ

で光を歪めてるわね?」


その問いかけに答える物はいない。

レミリアは言葉を続ける。


「大方“闇”を操るっていうより……“黒”を操るって感じかしら? しかも、 実際の色に関係なく。 イメージさえ黒なら重力だって操れるものね」


別に答え合わせをする必要はなかった。

レミリアは自分の考えが間違っているとも思っていないし、 間違っていてもどうでもいい。

要は自分

レミリア

が勝てばいいだけだ。

彼女は運命を操る程度の能力を要しているが、 明確にこれが使われたことはない。

とういうより、 使えないといったほうが正しいのか。


強大すぎて彼女にも強弱がつけられず、 暴走してしまうからだ。


もちろん彼女はその力を使うつもりはない、 そんな“程度”の能力、 所詮おまけにしか考えていない。


「1つ、 教えてあげる。」


空中を散歩するように歩くレミリア。


「4秒後、 貴女は負けるわ」


彼女は運命を操ることはしない。

でも、 そこにいるだけで運命を曲げることはできる、 というより曲がる。レミリアの意思に関係なく、だ。


そして、 その運命を見ることができる。


レミリアにはそれが必然なのか、自分がいる結果からなのかわからなかったが、 見えたのだ。



自分がルーミアの槍に貫かれるビジョンが。


「1……」


カウントダウンを始めるレミリア。


「2……」


その時は刻一刻と迫り、


「3……」


残り一秒となる。

そして、


「4!!!」


真後ろに振り向き拳を振り抜く!!!

レミリアは見えていた、 ルーミアが自分の後ろに現れてその手に持つ槍で自分を貫く様子が。

なら自分がその瞬間を狙ってやればいい、 運命は操るものじゃない、 壊して自分で作り替えるものだ。


……と、 レミリアは考えていた。

が、


「…………え?」


キョトン、 と、 何が起きたのかわからないといった表情で汗を額ににじませるレミリア。


「バーカ」


瞬間、 真上から声が聞こえた。


「がっ……う!?」


即座に腕をクロスし、 防御しようとするレミリアだったが、 呆気なく吹き飛ばされてしまう。

紅魔館の一部を巻き込む形で壁に叩きつけられるレミリア。


ぐったりと力なく、 人形のようになった彼女に対しルーミアはとても冷たい目でこう言った。



「貴女は運命を操る。 それ以外に予知まで出来ると聞くわ……、 だったら、 それをこっちも操れば簡単な話。 無理じゃないわよ? 貴女も言ってたじゃない、 私は“黒”のイメージさえあれば好き勝手に設定を変えられる。 貴女が予知した『夜においての私との戦闘』その内容を適当にいじらせてもらったわ。」


レミリアに意識があるのかは定かではないが、 一応説明という名の冥土の土産を聞かせるルーミア。



「閻魔様へ土産の肴にでもしなさい。 夜が闇に勝てると思ったのが悪いのよ……、 ね? 帝王……さん」


意趣がえしのつもりなのか、 目はそのままに嘲笑の表情を見せるルーミア。

そして、


「あいつの生死は関係ない、私の……私の友達を 利用しようとしたこと、 後悔させてあげる」


蒼槍が、 漆黒に代わる。

赤い模様も混じっているのが見えた。


「これは【紅血槍フルンティングロッド】、 刺されば血を吸い尽くすまで抜けることはない、 紅の名がつく、 貴女の最後に相応しい剣……」


槍を構えるルーミア。


「死になさい」


小さい体だった時と変わらぬ赤い目を見開き、 闇を周囲に展開させ、 槍を放つ。


そして、

そして、

そして、

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