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宵闇の妖怪vs夜の帝王

「あら、 何かご用かしら、 宵闇の妖怪さん?」


ルーミアの眼前にいる相手は【レミリア・スカーレット】紅魔館の主であり、 運命を操る程度の能力を持つ、 500歳を越える吸血鬼だ。


ルーミアや妖精からすれば、 実は500歳など大した年齢ではない、 妖精に関しては年齢という概念そのものがないうえ、 ルーミアと同様にいつ生まれていつから幻想郷にいるのかすらわからないくらいである。


彼女はルーミアを待ち受けるかのように、 日傘をさして門の上を飛んでいる。


「……チルノを、 どうするきなのだ?」


ふよふよと浮かびながら、 静かに尋ねた。


「それを貴女に教える必要、 あるかしら? もう彼女から聞いてるのでしょう?」


不敵に笑うレミリア。

そして、


「まぁ、 生死は別としてね」

「………………そーなの、かー」


と、 答えになっていない返答を返すルーミア。


「……ごめん、 多分、 ここが“使わなきゃいけない場面”だから……、 『出す』のだ」


誰に対していっているのかわからないが、うつ向きながら 一人で呟くルーミア。

レミリアが細目で彼女を睨む。


「たかだか“闇”を操る程度の妖怪が、 私に歯向かう気かしら?」

「……そーなのだー」


そう答え、自分の髪を結んでいたリボンを、 右スルリと取り外した。



“何かが壊れる音が響いた”


パキパキパキ、 と、 枯れ木を踏んだときのような音ににている。

だが、 それはそんな軽いものを壊しているようには聞こえなかった。

音源は、 ルーミア。


内部からか、 外側からなのかはわからない、 だが、 ルーミアの、 彼女の鎖のような何かが壊れていくようにレミリアは感じていた。


ほどなくして、 ほどいたリボンが青く発光した。

ルーミア本人は黒い闇に包まれている。


だんだんと発光が弱まる。

それと共に、 “夜”が現れた。


「……へぇ、 思ったより強そうじゃないの」


レミリアの前には、 白黒の洋服を着た自分より幼くみえた少女はいない。

代わりに、 赤と白黒の入り交じったドレスを着た漆黒の翼を持った女性が浮かんでいた。

そして右手には蒼い槍

ロッド


「ふふっ……、 随分とカラフルになったわね、 宵闇の妖怪」

「…………『私』は、 」


静かに、 告げる。


「“闇”の支配者」


音は、 無かった。

だが、


「っ……!?」


レミリアを引き寄せるかのような力が働いた。

よくみるとルーミアが槍の先に何か黒い塊を出している。


「……なるほど、 ね。 闇どころか宇宙でも操ろうってのかしら?」


その問いかけにルーミアは答えない。

元より、 レミリアも答えなど求めていない。


ただ、

二人の表情には、 笑みがあった。


「いいわ、 面白い。 貴女の力……見てあげる」

「…………あ、」


そして、


「あハははハハハはハ!!!」


ルーミアの笑い声と共に青黒い発光が現れる。


「“幻符”【ブルーシング幻想曲イマジネーション】」


それは巨大な塊だった。

しかし、 次々と分裂して行き、 最終的にビー玉程度の大きさがある発光体、 恐らく弾幕とそれに囲まれた、 中央にはレミリアと同じくらいのでかさの発光がある。


スピードはとても鈍いがだんだんとレミリアに迫ってくる。

だが黙ってやられるようなカリスマ吸血鬼ではない。


「“紅符”【スカーレットマイスタ】!」


とても密度の高い弾幕が現れる。

それは小さいものとそれより少し大きめの弾で構成され、 それぞれ時計回りと反時計回りで回っていた。


ルーミアの弾幕よりさらに圧倒的に見えるその弾幕。 だが、


「……なにが、 起きたの?」


だがあっさりと消え去ってしまった。

レミリアの弾幕が、 突然ルーミアのそれに引き寄せられたかと思うと、 次の瞬間消滅してしまったのだ。


(恐らく、 相討ち……ではなさそうね、 向こうの弾幕が1つも消えてない)


レミリアは少し動じたもののすぐに思考し始める。

ルーミアは動く様子はない、 弾幕も遅いためある程度考える時間があった。


(こんなの旋回しとけば簡単に避けられるけど……)


「それをしたら私の名が汚れちゃうものね、 見てなさい。 正面から受けてあげるわ」


そう言って、 一歩一歩、 空中を歩むレミリア。

だがしかし、


「…………っ、これは!」


レミリアの体が突然硬直した。

いや、 拘束された。

鎖とか、 見えるものにではなく、 見えないものにだ。


「……やっぱり、 貴女、 重力を操ってるわね」


自分の考えを吐露するレミリア。


「その小さい弾幕1つ1つが大きな重力をもつ弾。 それで入ってきた……もしくは近づいた敵をとらえて中央の巨大な弾で押し潰すって魂胆かしら?」


推理を披露する間にも中央に引き寄せられるレミリア。 彼女は、 まだ笑っていた。


「いいこと? “闇”の支配者だかヤブ医者だか知らないけど……私は夜の帝王。 王が敗北することなど絶対にないわ」


「ほざくな! 吸血鬼の分際で!!!」


初めてルーミアが激昂する。

そして、 レミリアが中央の蒼光に触れた瞬間、


無音の爆発があった。


黒煙がルーミアをも包み視界が失われる。

手応えはあった。

弾幕ごっこといいつつも、 当たれば痛いし普通に死ぬことだってある。

でも、 だけど、


「…………」

「あら、 不服そうね」


今は不要物となっている日傘をさしてルーミアの目の前に浮かぶ、 夜の帝王の姿が、 そこにあった。

その身には焦げ目1つない。


「知らなかった? 吸血鬼って結構頑丈なのよ。 ……こんなものかしら? “闇”の支配者さん」


「……………………死ね」


レミリアの挑発に反応したルーミア、 槍を横に凪ぎ払う。

すると空間に裂け目が現れた。

そして、


「もう弾幕ごっこは終わりってことね……、 久しぶりに楽しめそうだわ」

「永遠に“楽”しませてやるよ」


夜と闇が、激突する。

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