表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王様とわたしの秘密の賭け事  作者: 美汐
第八章 発覚
52/59

発覚 6

 リーシンが部屋から去っていき、一人になったわたしは、寝台に横になりながら、あることに思いを馳せていた。

 それは、フェイロンがわたしを連れ出すために後宮へと潜り込んできたときのことだ。


 フェイロンは、あのときわたしに一緒に逃げようと言っていた。

 しかし、そこでともに逃げていたとしたら、父親の仇を討つという彼の目的は達せられなかったはずだ。それなのに、彼は一度ならず二度までもわたしに会いに来てくれた。そして、わたしとともに逃げようと言った。


 それはなぜなのか。

 もしかするとそれは、彼自身の中にも迷いがあったということなのではないだろうか。

 親の仇を討ちたいという強い気持ちがありながらも、どこかでそのことから逃げたい、恐ろしいという感情が彼の中にあったのではないだろうか。

 だからわたしにあんなことを言った。


 もしわたしがあのとき一緒に逃げていたなら、彼は仇を討つことなどやめて、どこかで平和に暮らす道を選んだのかもしれない。わたしとともに、細々と貧しいながらも平凡な暮らしをしていたのかもしれない。


 だとすれば、彼に仇を討つ決意をさせたのは、他でもないわたしだったのかもしれない。


 きっとそうだ。

 わたしが彼を突き放したせいで、彼はあんなことをしてしまった。

 そして今、その罪で裁かれようとしている。


 わたしのせいだ。

 彼を追いつめてしまったのは、わたしだ。

 どうにかして、彼を助けてあげないと。


 わたしはそんな思いにかられ、寝台から身を起こすと、そのまま部屋をそっと抜け出していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ