発覚 6
リーシンが部屋から去っていき、一人になったわたしは、寝台に横になりながら、あることに思いを馳せていた。
それは、フェイロンがわたしを連れ出すために後宮へと潜り込んできたときのことだ。
フェイロンは、あのときわたしに一緒に逃げようと言っていた。
しかし、そこでともに逃げていたとしたら、父親の仇を討つという彼の目的は達せられなかったはずだ。それなのに、彼は一度ならず二度までもわたしに会いに来てくれた。そして、わたしとともに逃げようと言った。
それはなぜなのか。
もしかするとそれは、彼自身の中にも迷いがあったということなのではないだろうか。
親の仇を討ちたいという強い気持ちがありながらも、どこかでそのことから逃げたい、恐ろしいという感情が彼の中にあったのではないだろうか。
だからわたしにあんなことを言った。
もしわたしがあのとき一緒に逃げていたなら、彼は仇を討つことなどやめて、どこかで平和に暮らす道を選んだのかもしれない。わたしとともに、細々と貧しいながらも平凡な暮らしをしていたのかもしれない。
だとすれば、彼に仇を討つ決意をさせたのは、他でもないわたしだったのかもしれない。
きっとそうだ。
わたしが彼を突き放したせいで、彼はあんなことをしてしまった。
そして今、その罪で裁かれようとしている。
わたしのせいだ。
彼を追いつめてしまったのは、わたしだ。
どうにかして、彼を助けてあげないと。
わたしはそんな思いにかられ、寝台から身を起こすと、そのまま部屋をそっと抜け出していた。




