初恋
子供の頃、仲の良い友達もおらず、いつも一人で過ごしていた。
多少は、寂しい気持ちもあったが、慣れてしまって辛くはなかった。
いつものように、近所の神社に行くと、その日は、女の子が一人いた。
髪を大きめのリボンで結んだ女の子だ。
私に気付くと、ニッコリ笑って、「一緒にあそぼう」と誘ってくれた。
最初は恥ずかしがったが、追いかけっこや、かくれんぼ、他愛もないおしゃべりが楽しかった。
ある日、近所の人が家にやってきて、家族に伝えた。「神社を通ったら、お宅のお子さんが、遊んでいたんだけど、様子がおかしい…」
それを聞いた姉は、次の日に、こっそり神社を見に行ってみた。
私が遊んでいるのだが、まるで、目の前に誰かが、いるような振る舞いである。
怖くなった姉は、思わず声をかけた。
「そろそろ帰るよ」
名残惜しそうに、振り返って、手を振る弟…
この子は、何を見ているんだろう…
不安になり家族に相談した結果、信心深い祖母の知り合いの住職にお願いする事になった。
相談を受けた住職は、例の神社に訪れた。
リボンをつけた女の子が視えた…
「あれは、いかんなあ…」
次の日、私が神社でリボンの女の子と遊んでいると、住職が、ゆっくりと近づいてきた。
普段は、ニコニコ笑っている彼女の顔が険しくなっている。
住職は、私の頭を撫でながら、
「この子は、この世の者ではない。このまま一緒にいては取り込まれてしまう。今日でお別れしよう」
いつのまにか姉が側にいて、私の肩を握っていた。
今度は、女の子に住職が、話している。
険しい顔をしていた彼女も、段々と穏やかな顔になっていった。
「最期のお別れわしなさい」
住職さんに言われ、彼女に言った。
「今まで、ありがとう。楽しかったよ」
涙が自然と溢れた。
彼女も泣いていた…
住職が念仏を唱えると、彼女は、光に包まれて、ゆっくりと消えていった…
「使われなくなった神社には、時々、ああいった者が現れる、ゆっくり忘れなさい」
あれから、10年以上経つが、今でも神社巡りは好きである。そして、無意識に彼女を探してしまう。もう、会えないのは分かっているのに…




