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ねぇ、フィンランドさん

作者: P4rn0s
掲載日:2026/03/11

夜中、夜食を食べながらスマートフォンを眺めていた。

指を少しだけ動かすと、画面の中で時間が逆流する。


少し前の投稿。

北欧の国会議員たちが並んでいる写真。

なぜか笑っている人がいる。


よく見ると写真の中の人物たちは、

指で目尻を引き上げていた。


コメント欄はもう炎上していた。

説明の必要もないポーズ。

昔から何度も見てきた、あの顔。


「少し前の写真らしい」


誰かがそう書いていた。


指を止める。

そして、もう一度スクロールする。


次に出てきたのは、三日前の投稿だった。


今日は国際女性デー。

この国の平等は百年以上、小さな石を積み上げるように努力を重ねて築かれてきた。

制度改革、歴史、象徴的な出来事。


文章は落ち着いている。

まるで長い冬の国の、静かな図書館みたいな言葉だった。


思わず笑ってしまう。


過去の写真。

今の宣言。


百年積み上げてきた平等。


石を積むみたいに。


世界はきっと、いろんな場所で真面目に何かを積み上げてきたんだろう。

制度とか、理念とか、権利とか。


それはたぶん嘘じゃない。


でも、ふと思う。


百年積み上げた石の塔の途中に、

誰かの顔を真似して笑っていた時間があるなら。

その塔は、ちゃんとまっすぐなんだろうか。


ふと目の前にある窓を見ると、自分の顔が映る。


黒い髪。

少し眠そうな目。


世界のどこかで冗談にされる顔。


平等って言葉は、たぶんすごく立派なものだ。

歴史の本に載るような言葉。


でも本当は、もっと小さいものなんじゃないかと思う。


百年かけて積む石よりも前に、

目の前の人間の顔をわざわざ歪めて笑わない、

その程度の話だ。

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