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ハイドゥインの地下室~騎士学院の落ちこぼれ、調合師にて最強!(キリアム①初期原稿)  作者: 酒とゾンビ/蒸留ロメロ


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第27話 ディートハルト・ベフェルシュタイン

 それは予期しない、懐かしい再会だった。


「キリアム。レアーナ。……あ、ミーナ」

「ディート!」


 ミーナのアイデアに従って、この間と同じ経路で城下町――中央広場の近くを歩いていた。

 ついこの間のことだというのに随分の復興が進んでいると感心しながら町を眺めている時だった。

 知らない声に名を呼ばれ、顔を上げた。


「……まさかお前、ディートか?」


 ディートハルト・ベフェルシュタイン――俺たちの幼馴染がそこにいた。


「みんな久しぶり」

「ディート……戻ってきてたの」とレアーナはその以前とは明らかに違う風貌に緊張気味だった。

「さっきついたばかりだよ。そしたら懐かしい面影をみつけて、きっとみんなだって思って」

「そうか……」


 言葉にならなかった。不意打ちだ。


 まだ僕らが歳も一桁で小さかった頃の話だ。

 同い年であるけど、ディートはよく僕に調合術を教えてとせがむ、人懐っこい奴だった。

 僕はいつもせがまれ、ちょっとした調合や、クリーチャーを見かけては解説する。

 するとディートは目を輝かせ、「流石キリアムだ」と称賛する。

 ディートにとって僕は憧れの存在だったのだと、過去を振り返れば今でそう思う。

 でも今のディートは……。


「レアーナ、綺麗になったね。見違えたと」

「ちょ、ちょっと……からかわないで」

「からかってないよ! 本心さ、綺麗過ぎて最初、誰だか分からなかった」


 ブロンド――金色の髪にしみ一つない透き通った肌。

 目鼻立ちのよさと、同い年であるはずが僕らより身長も高い。

 同じ男とは思えない美しさ。

 フィートくんは結局のところ女性だったけど、ディートは本物の美男子。


「キリアム、この人は?」

「え。ああ……ディートだよ。よく小さい頃に遊んだんだ。でも親の都合で、ディートはこの国に離れなくちゃならなくなって」

「ふ~ん……」


 フィートくんはなぜか僕の顔をまじまじと見つめていた。

 何かを見透かされたように感覚を一瞬覚え、直ぐに目を逸らす。

 フィートくんとディートは互いに挨拶をしていた。


「ところでディート、戻ってきたってことは――」

「ああ当分はここにいるよ。でも戻ってきたってことでもないんだ」

「どういうこと?」とレアーナ。

「色々聞きたいこともあるし、とりあえずレストランに入らない?」

「じゃあ、そうしよう。それより気になってたんだけど、それってミニークンクだろ?」

「ニックって言うんだ。僕らの家族だよ」

「クリーチャーがかい? へえ~……やっぱり、キリアムは凄いな」


 僕は苦笑いするしかなかった。




 ▽




(ずい)の学院!?――」


 レアーナは椅子から立ち上がるほどに驚いていた。


「って、確か最高学府の名前よ?」

「実はそうなんだ。あれから色々あって、僕は(ずい)で魔法を学んだんだよ」

「ってことは魔法使いってこと?」

「うん。そういうこと」


 魔法使いとは騎士以上に希少である。

 それは決して数が劣るという意味じゃない。


 ピンキリだけど、ディートのように最高学府で基礎から学んだような由緒正しい魔法使いはそうそういない。

 髄の魔法使いは髄にしかいない。

 もちろんウォールハーデンの騎士だってウォールハーデンにしかいない。

 でもウォールハーデンの場合、過去に引き抜きがあったりもしたし――


「髄って、確か門外不出だったよね?」

「うん。髄で学んだ者は死ぬまで髄さ。でも、だからこそ悪用される心配がない。まあ漏れたところで高等魔法だしそう簡単に使えるもんじゃないけど、事故になったりはするからね。キリアムは今なにをしているの?」

「僕は……ウォールハーデンで」

「やっぱりそうだ! 騎士でしょ? そうだよねえ?」

「え……うん。一応」


 髄の魔法使いを前に、誇れるようなものじゃない。

 それに僕には魔力がない。

 ディートはそれを知らずに他所へ行ったから、まさか僕に魔力がないなんて思いもしないだろう。


「でも髄ってそう簡単に入れるようなところじゃないわよね?」とレアーナはディートに興味深々だ。

「まあ、そうだね。僕の場合は運が良かったんだよ。町に偶々、髄の人が訪問してて、そしたら僕には才能があるとかどうとか言われて、なんか両親もそれを鵜呑みにしちゃってさ、考える間もなく髄に向かわされたよ」

「じゃあ今は髄の学生ってことね」

「いや、僕はもう卒業したよ」

「え」

「今は髄で教授をやってるんだ」

「教授!?」とレアーナはまた椅子を立ち上がった。

「うん。キリアムなら知ってるかもしれないけど、レアーナは髄の神官って言葉を知ってる?」

「知らないわ、キリアムは?」

「僕も知らない」


 髄については本で調べたことがある。

 大抵、人は騎士か魔法使いに夢を見る。

 騎士ならウォールハーデン。

 魔法使いなら(ずい)だ。


「髄は秘密主義だからね」

「確か、髄は完全に独立した機関だって、本で呼んだことがある。教育機関はだいだいどこかの国の所有物だけど、髄だけは違って、学府でありながら領土まで持ってるって」

「そうだね。およそそんな感じだよ。と言ってもこれはあまり話していいことでもないんだけど。僕は今、神官をやってるんだ」

「神官?」とレアーナ。

「髄にも序列があるんだ。完全実力主義で17歳でも関係ない。一番上に長老がいて、その下に4人の神官がいる。そのうちの一人が僕だ」

「え!?」とレアーナは流石にもう椅子から立たなかった。


 つまりディートはこう言いたいんだ。

 自分は髄の学院において、5本の指に入る魔法使いだと。

 ふいに顔を上げると、ディートはまたレアーナの容姿を褒めていた。

 レアーナもまんざらでもない感じだ。


「ディートはその、戻ってきた訳じゃないって言うなら、この国に何をしにきたの?」

「クリーチャーの大量発生だよ」

「ああ、そういうことか」

「各国でも多発してるんだ。でもその中心部はウォールハーデンだということが最近分かってね」

「それで神官が呼び出されたってことか」

「って訳でもないんだけど」

「え?」

「髄の神官はそのくらいのことじゃ呼び出されないし呼べない」

「……なるほど。じゃあ、何?」

「この国に一人、魔法使いがいる」

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