第1話 転生している件
暗闇の世界に、光が現れてから最初に見た光景というのは、いつまで経っても安定しない、ぼやてよく見えない世界だった。
(なんだこれは…………目が見えん)
いやそんな事よりも、カリア、カリアの事だ。
彼女が俺に言ったあの言葉……その意味と、俺にかけたであろう魔法的なものの正体を問いかけねば!!
そう思い立った俺は、すぐさま声を発そうと口を動かそうとした。
『カリア、居るんだろ。さっきのあれは一体なんだったんだ?』と言葉を発そうとした。
しかし――。
「あうあ…………あう?」
俺の口から出る言葉は、まるで活舌が発達していないかのように、言葉になっていない言葉しか発さなかった。
(おい、一体これはどういう事なんだ……!?)
全く持って理解を得れない状況に困惑していたその時。
「あらゼスカ、目が覚めたのね?」
お淑やかで、優しい女性の声が私の耳に入り込んできた。
ゼスカ……?一体誰の事を言っているんだろうか。
というより、今この空間にゼスカという名前の人間が居るのか……?ここは俺の家のはずなのに?え?だれなのそれ。
俺の知り合いにこんな優しくお淑やかな声のヤツも、ゼスカなんて名前の知り合いも居ない筈なんだが……。
困惑しながらも、この状況に対して思考を巡らせていた最中――突然、俺の体が宙に浮いた。
「あぅ!?」
――否。浮いたのではない。
「ほ~らゼスカ、ママの抱っこですよ~~」
俺は今――――抱きかかえられている!!
「あなたは本当に可愛いわね~ゼスカ」
猫撫で声で、女性が言う。
(……まさか!!)
――あり得ない話だが、そうとしか考えられない。
俺の母親はこのような声の女性ではなかった。
故に、過去にタイムスリップしてしまったなどと言う事は考えられない。
そして、ゼスカという名前の者がもし俺自身であるとするのならば、答えは一つ。
俺、赤ちゃんになっとる。
抱きかかえられとる。
記憶持ったまま転生しとる。




