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第三話「入学」

前回からの、あらすじ。

家族関係ドーン!両親殉職バーン!

 ヴァルカニア領主館襲撃事件から、既に一ヶ月が、経過していた。

この一件を期に、レーティラウト分離独立派反乱組織は、完膚なきまでに粉砕された。


 第十四、十五王国の、旧王族は、組織の首脳陣と合わせて、軒並み逮捕され、処刑された。

現地民は、同化政策の成功により、既にロイエンベルク王家に恭順しており、組織が期待したような、決起は起きなかった。


 レーティラウト分離独立派反乱組織は、所詮は旧王族によるエゴでしか無く、その支持基盤は、既に崩壊していたのである。


 一方で、ミハイルとアダルガーの勉強は、非常に難航していた。

というのも、これまで勉強してきたのは、文官となる為の、専門教育であり、武官となる為の教育は、殆ど受けて来なかったのである。


 更には、男爵として、そして、男爵の副官としての業務が、ミハイルとアダルガーに、重くのしかかっていた。


 とは言え、軍学校か、王立大学に入学してしまえば、執務を肩代わりしてくれる、国家公務員である、特別執務官の、一時的任命権が与えられるため、幾分か楽になる筈だった。


 だが、しかし、それまでは、一切の援助なしで、自力で努力する他、無かったのである。

ミハイルと、アダルガーは、時に呻き、時に苦しみ、時に答えを見つけながら、共に歩んでいくのだ。



 それから、約半年。

ロイエンベルク歴302年、2月10日。

ミハイル達は、ロイエンベルク王立軍学校に出向き、試験を受けていた。


 試験は、腹筋、腕立て、長距離走、武術からなる、実技試験に始まり、日をまたいで、

算数推論、一般知識、単語知識、文章理解、数学的知識、魔導知識、魔導車両知識、機械的理解、物体識別、最後に、戦略理論という、全10科目からなる、学術試験を行う。


 その総科目数は、14科目にもなり、非常に過酷なものであった。

特に、ミハイルは戦略理論、アダルガーは機械的理解と、魔導知識を苦手としていた。


 なにはともあれ、初日は実技、ミハイルとアダルガーは、他の受験者と共に、体力試験を敢行。

半年ほどの、付け焼き刃ではあったが、これまでも、健康の為に、運動を行なっており、それによって得た基礎体力を活かし、何とか完遂。


 翌日は、学術試験、今年は、特に難易度が高く、周囲からは、鉛筆の走る音の他に、微かながら、受験生のうめき声が混じっていた。


 合間合間の、休憩時間には、しっかりと休みつつ、直前まで勉強する。

アダルガーと、ミハイルは別々の部屋であったが、お互いの試験の完遂と、合格を信じて、各々の苦手な分野も、何とか完遂。


 こうして、2日間に及ぶ入学試験は終了した。

ミハイルとアダルガーは、帰ってからは、溜まった執務をこなしつつ、学術試験の見直しを行なっていた。

一先ず、見直しをした範囲では、致命的な間違いは、特には見つからなかった。


 合否結果は、2週間後に発表される。

ロイエンベルク王国新聞と、軍学校の校門にも掲載され、各家庭に、郵送で結果が送られる。

ミハイルとアダルガーは、今回の入学試験に、全精力を注いでおり、王立大学の入学試験は受けていない為、後がなかった。


 2人は、祈るような気持ちで、郵送を待つ。

執務が立て込んでおり、軍学校まで見に行くような余裕が、無かったのである。

王国新聞に掲載されるのも、しばらく先の話である為、郵送を待つ他、無かった。


 朝の郵便が終了し、家臣が、郵送された合否結果を持ってくる。

ミハイルとアダルガーは、それぞれの合否結果を受け取り、しばらく、目をつむり、精神を落ち着かせる。


 どちらからとも無く、封筒のボタンを開け、封を開く。

封筒に刻まれた、魔術刻印が光り、それが、初の開封である事を、2人に報せる。


 少しの間、2人は動きを止め、深呼吸する。

そして、ほぼ同時に、一気に合否確認を行う。

そこにある文字は…


 「…合格、合格だ!アダルガー、君は、君はどうだ!?」


 「…やりました、やりましたよ!ミハイル様。合格です!!」


 2人は、思わず抱き合い、笑いながら喜び合う。

しばらく、抱き合った後に、互いを離し、力が抜けたように、座り込む。

半年に及ぶ、過酷な受験勉強が、終わりを告げた瞬間であった。


 ミハイルが、口を開く。


 「今日は、祝いだな。家中を挙げて、合格祝いのパーティーを開催しよう。

特別執務官の、申請届も出さねばなるまい。」


 アダルガーが、微笑みながら、答える。


 「えぇ、今日くらい、祝ったって、それは正当な対価というものです。

入学は一月後、それに備えて、準備も整えばなりませんが、一先ず、今日は祝いましょう。

私達は、軍人への切符を、掴んだのですから!」


 その後、ディルゲン家の邸宅では、家中総出でパーティーが開催された。

ミハイルは、十数人の使用人たちと共に、楽しい時間を過ごし、暫しの安息を、味わう事になる。

本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。大体週一〜週三ペースで投稿しているので、よろしくお願いします!

他の作品も、是非読んでください!

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