表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/19

4.王妃様主催のお茶会

「いいか。スイーツではなく、王子殿下と交流を持つんだぞ」


 王宮に向かう馬車の中、聞き飽きるほど何度も何度も同じ事をお父様が注意してくる。


 神妙な面持ちで頷いているのに、お父様ったら全く信用していないって顔をするんだから。間違ってはないけどね!


「ブライアン、頼んだぞ」

「はい」


 げぇ。お兄様にまでお願いしだした。2歳しか変わらない、なんなら私の精神年齢の方がずっと上にも関わらず、お兄様ってしっかりしてるのよね。本当に9歳?


 ま、王子様達に挨拶だけしっかりしておけばいいでしょう。


「わぁ~! あれが王城ですか!? お城みたいっ!!」

「何を言っているの。お城よ、クラウディアちゃん」


 違うんだってお母様。上手く言えないけど……前世の世界中に現存していた古城が全盛期の姿でそこにある、そんな感じがしてちょっと感動しちゃったの。ま、実物は見たことないんだけどね。


 よくよく考えると、私は領地と王都の伯爵家の敷地内しか知らない。だからいつか行きたいと思っていた、ヨーロッパの町並みが目の前に広がっていて……素敵でしかない!



 感動しっぱなしのまま、気が付くとお茶会会場に到着していた。よしっ。王族の皆様が来るまでの間は、人間観察を楽しむことにしよう。


 バッチリ化粧の子に本物の宝石をふんだんに使っている子。フリフリドレスの子に……上位貴族って髪の毛を縦ロールにしないといけない法律でもあるの?


「王族の皆様が到着されるよ。クラウディア、しゃんとしてね」

「えっ? はい、お兄様」


 お父様に頼まれたお兄様、意気揚々と私に注意してくるんだけど。


「わぁお! ……ごめんなさい」


 思わず声を出してしまった私を、視線で黙らせるお母様。


 でも仕方ないと思うの。国王陛下はハリウッド俳優にしか見えないし、王妃様はパリコレモデルって感じだし。側妃様に至っては本当にアラサー? どう見てもプリンセス。歌とか歌い出しそうなんだよ?


 その後に続いた第一王子と第三王子はめっちゃ可愛い。あれは確実にイケメンになるわ。


 第二王子はぽっちゃり……いや、ちょっと太り過ぎ? でも子供特有の可愛さはあるし、ハリウッド俳優とプリンセスの息子って考えると、痩せたらイケメンになると思うのよね。



「残念王子は来なくていいのに」


 どこからともなく聞こえてきた悪口。


「お兄様……」

「ダメだよ」


 いやいや、私は言わないよ? ただ、残念王子って第二王子のことだよね? きっと体型を見て言っているんだろうけど、これはいつものことなのか、聞きたかっただけ。でもこの場で聞くことじゃなかったわね。帰ってから尋ねることにしましょう。



 そんなことよりもよ。誰? 王妃様と側妃様の仲が悪いとか言ったのは。


 ……私ね。悪いどころかめちゃくちゃ仲良さそうじゃない。


 いや~でも理解できないわ。前世を思い出したせいなのか、夫を共有するとか普通に無理。いくら仲の良い相手とでも絶対にい・や!


 この国は一夫多妻も一妻多夫もオッケー。だから決して悪いことをしているわけじゃないけど……王様引くわ~。


 だってさ、側妃様が産んだ第二王子と王妃様が産んだ第三王子、2人共私と同い年で誕生日が2ヶ月しか変わらないのよ? 二股じゃん。


 子宝に恵まれず側妃を娶る、なら血を繋げるためだと一応理解できる。でも私の2歳上に、お兄様と同じ年の第一王子がいるわけで。


 側妃、いる? 


 王妃様と側妃様だって今は仲良くても、自分の息子を王に! って将来的に喧嘩する可能性だってあるわけで。そうなった時は冗談抜きで暗殺とかありそうだし。想像するだけでも怖いわ。



 ちなみに第一王子殿下は銀髪青目のクリスハルト殿下。第二王子殿下は黒髪青目のウィルハルト殿下。第三王子殿下は金髪青目のラインハルト殿下。


 ウィルハルト殿下の色合いは懐かしさを感じるし、一番落ち着くかも。



「お初にお目にかかります。メープル伯爵家が長女、クラウディア・メープルと申します。以後、お見知りおきを」


 私達の挨拶の番が回ってきて、お父様に促されて挨拶。流石に緊張したけど、中々上出来だったんじゃない?


 完璧なカーテシーを披露でき、少し満足気にしてしまったのは……7歳だからということで大目に見てほしい。


 王族への挨拶後は両親と別れ、子供は子供だけで交流する時間に。と言っても親は少し離れた場所にいるから……お母様の監視から逃げ出すことは叶わない。


「ディア。僕は殿下に挨拶に行くけど……」

「行ってらっしゃいませ。お兄様」 


 私も付いてくるようにとお兄様が言葉を発する前に、送り出しの言葉を贈る。そして私はメインであるスイーツを食べに、いざっ!



 それにしても……王様って忙しいんじゃないの? そりゃあ休息も必要だけど、子供メインのお茶会なんだからお仕事しよう? イケメンだからって何しても許されるわけじゃないんだからね!


 ……って、いくら二股男だからって偏見はダメよね。事前に仕事を終わらせているのかもしれないし。子煩悩な良い父親なのかもしれないし。


 大人達の思惑は私を第二王子の婚約者にしたいんだろう。でも……父親は平気で二股するような男よ? 御免被りたい。まっ、第二王子って明確に言われたわけじゃないし、当初の予定通り花より団子作戦でいくけど。


 王子殿下達の周りに集まるご令嬢達……すっごいな。私は、あの中に行く勇気を持ち合わせていない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ