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36.お助けキャラ

 ノエルの状況はお兄様がクリスハルト殿下に報告した。そしてブラック侯爵を捕らえる証拠を集めるため、ノエルは王家の間者となることが決まったそう。


 王城から帰って来たお兄様にそう言われ動揺を隠せない。


「ノエルを心配する必要はないぞ」

「え?」

「家を守るためだと、やる気だった」


 確かに危険性は変わらないし、暗殺者かスパイならスパイの方がいいか。


「お兄様、干し果物は全てが解決してからですか?」

「いや、先行してかまわない」

「いいのですか?」

「あぁ。ウィルハルト殿下の管轄で動くことになったからな」


 なるほどね。さすがに王族が関わっているとブラック侯爵も横暴な態度を取れないもんね。でも一応、何を言われてもウィル様の許可が必要だと言うようにって子爵に伝えておこう。



 間者となったノエルは、何も知らないブラック家の嫡男をこちら側に引き込み、驚く速さで仕事を終わらせた。


 『親族を王妃にする』


 これは元々前ブラック侯爵の野望だったみたい。


 サブリナの母——前侯爵の娘は当時の第一王子、現国王陛下の婚約者候補だった。しかし最終選考まで残っていたにも関わらず、婚約者に決まったのは現王妃様。


 前侯爵は娘がだめなら孫を! と王妃となるに相応しい家に娘を嫁がせた。


 サブリナがクリスハルト殿下の婚約者に名乗りを上げていたのは、母親の指示だったのだ。サブリナ父は最終決定権は自分にあるからと、全てを知っていた上で夫人の好きなようにさせていたそう。


 そんなサブリナ母も暗殺に関しては何も知らされておらず、自身の父と兄の罪を知り体調を崩してしまった。


 私ね、ブラック侯爵はあえて教えなかったんだと思ってるの。血の繋がりがあっても別の家だから……最悪の状況まで予測し、何があっても処罰されないようにしたんじゃないかな。


 子孫を王妃にするために。


 あっ、ノエルも何も知らなかったよ。自身の状況と謎のお茶会から推測し、実行犯にさせられるかもって思ったみたいだから。



 捕まったブラック侯爵・前侯爵は、裁判後に公開処刑された。


 未遂であったこと、また嫡男の働きを評価し二人の夫人は修道院へ、子供たちは平民に落とすだけに留まった。


 これにより建国時からの由緒正しい家が潰れた。


 長い年月をかけ、男爵から侯爵まで陞爵するほど王家への貢献度が高かった家が。


 そしてブラック侯爵領は王家の直轄領となった。処刑後も多くの領民が侯爵の無実を訴え続けているそう。きっと領主としては素晴らしかったのね。


 こんなに領民に愛されていたのに……『王妃』これは全てをかけるほどのものだった?



✽.。.:*・現在・*:.。.✽



 この時、働きが評価されたのとドライフルーツのこともあって、ノエルがウィル様の侍従になったのよね。


「懐かしいな」

「はい。クラウディア様があんずに興味を持ってくださったおかげです」

「それを言うならノエル、あなたのお母様が側妃様にあんずを渡したおかげよ」


 ちなみにハービー子爵家の借金は、王家ではなく平民となった従兄弟へと返済済み。領民の税からではなく、個人資産から貸していたとしっかり帳簿に載っていたからね。


 本当、バカだよねぇ。


「実はお二人に報告したいことがあります」

「「もしかしてっ」」

「はい。昨日より正式にノエルとなりました」

「「っ!!」」


 嬉しさのあまり、ウィル様に勢いよく抱きついてしまった。もちろんしっかり抱きとめてくれたわ。


 貴族籍に届けられている名前は当主の許可があれば変更可能。ただ、正当な理由であるか戸籍管理部の調査が入るため時間を要するの。


 ハービー子爵は目の上のたんこぶがなくなってすぐ変更届を出したけど、ブラック侯爵家が潰れ、いろんな部署が忙しく……学園入学までに変更が間に合わなくって、ノエルはノアールのまま入学するしかなかったのよね。


「それにしても時間かかり過ぎじゃない?」

「ブラック侯爵家から派生した家なので、通常より審査に時間がかかったそうです」

「そっかぁ。なんにせよ無事に変更できてよかったわね」

「はい。ありがとうございます」


 それにノアールだったからこそ、ローズに見つからずに済んだし。


 ……ん? ドライフルーツがなかったらノエルって学費はどうしたんだろう? ローズが何か言っていたような……?


「フラワー男爵の支援で学園に通うと、あの女が言っていたよな」


 そうだったわ! ウィル様のその言葉で思い出した。


「それなんですが、没落後に私はフラワー男爵領へ行くそうです」

「えっと……なぜ?」

「ブラック侯爵領から離れているから、だそうです」

「なるほど?」


 ゲームではブラック侯爵は罪に問われていないの?


 流れ的にノエルの罪でハービー子爵家が没落したんだと思っていたけど……。でもノエルの性格を考えると、例え未遂であっても人に手をかけたあと普通に生活するとは思えない。 


 そもそもゲームでは暗殺って成功したの?


「ねぇ、ノエル。この際色々知っている謎は置いておいて、ローズが知っているノエルの過去を確認してもらえない?」

「承知しました」


 勘だけど……それを知ればラインハルト殿下の攻略の鍵が分かる気がする。



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