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私の婚約者は6人目の攻略対象者でした  作者: みかん桜
本編

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33/68

31.チョコレート*3年前

「美味しい!」

「これはブラウニーって名付けました」

「ブラウニー?」

「はい。ブラウニーって感じがしたので」


 うちの料理人達と、お祖父様から貰ったチョコレートを使って焼き菓子を1つずつ再現していくつもりなの。その第一弾がこのブラウニー。


 完成まで大変だったなぁ……砂糖が足りなくて。なんせカカオ100%ですから。前より手に入りやすくなったとはいえ、希望通りの味にするのに必要な砂糖を使うことが出来なかった。


 チョコさえあれば簡単に再現できると思っていたんだけどな。ビターすぎるブラウニーを美味しく食べられるよう改良に改良を重ね、ようやくできたの。


「混ぜてある果物、いつも食べるものより硬いね」

「実は乾燥させた果物なんです」


 そう、私、ドライフルーツも作りました。ちなみに干し果物として今後販売予定。


「ディアも一緒に食べよう」

「はいっ」


 テーブルの上にはホットチョコにチョコブラウニー。そして深皿にも溶かしたチョコが用意されている。


 よしっ! ホットチョコに入れたいから、今度マシュマロを作ってこよう。


「チョコレートづくしですね」 

「そうだ! ディア、はい」

「?? いちご……?」


 フォークに刺したいちごをウィル様に手渡され、首を掲げてしまう。果物は口直しというか、チョコに飽きた時用なのかなって思っていたけど……?


「ふふ。あのね、いちごにチョコレートをかけてみて」

「っ!!」


 盲点だった!


 早速いちごにチョコレートをかける。


「ん~! おいひい」

「でしょ」


 私ったら、どうして忘れていられたのよ。ドライフルーツは思い出せたのに。


「ウィル様っ、バナナにも合うはずです」

「んふふ~」

「あっ! その反応、ウィル様はもう試したんですね」

「うん。ごめんね?」


 全く悪いと思っていない、ニコニコと謝るウィル様。全く怒ってないからいいんだけどね。

 前に、にっがーいチョコレートを食べちゃったし、そのままチョコが嫌いにならず、好きになってもらえてむしろ嬉しいくらい。


「他にはどれがお勧めですか?」

「実はね、シュークリームにかけても美味しかったよ」

「っ!! それはっ」


 エクレアではないか!


「食べてみたいです」

「次回用意しておくね」

「はいっ!」



「ディア、そろそろ移動しようか」

「はい!」


 チョコレートを一通り楽しんだところで、本日のメインイベント。カカオを城へと持ち込み、チョコレート製作をスタートさせるのだ。


 側妃宮ではなく城で行うのは、最終的に逆輸出できるようにしたいから。現状カカオの原産国との貿易がなく、色々と大人の事情が絡んできたの。その辺私は外交官になるわけでも、王太子妃になるわけでもないからノータッチ。


 あっ、王太子はクリスハルト殿下になる予定よ。まだ正式には発表されてないけど、これでも一応王子妃になるから、先に知ってるの。


「わぁ。たくさん持ってきたね」

「はい! 全部持ってきました」

「全部!?」


 地下の貯蔵庫だって王城の方が広いし、分けて持ってくる意味ないしね。


 それに新しい食材って料理人なら気になるでしょ? 私達が帰った後も作業を進めてくれていいって伝えたら、どんどんやってくれそうじゃん。正直チョコレートにする工程、大変そうだし。


「準備万端ですね」

「本当だ」


 王城の調理場の裏に到着すると、料理人達が勢揃いしていた。ふふ、予想通りみんなカカオに興味津々みたい。


 ウィル様が工程を説明すると、我先にと率先して作業を進めてくれる。


「殿下、クラウディア様。ここは危険ですので、後は我々にお任せください」

「「あっ、はい」」


 確かに固いカカオを割る工程は危険よね。包丁すら危険だと、触らせてもらえないくらいだし。


「ウィル様、この工程まではお任せすることにしましょう」

「そ、そうだね」


 私が望んでいるチョコレートはもちろん、同時に今はまだないホワイトチョコレートにココア、カカオ茶も作ろうと思っているから、その工程から参加しよう。


「そうだ。兄上とラインにもカカオを分けてもいい?」

「もちろんです。せっかくなのでお届けにいきましょう」


 やることもなくなっちゃったしね。


 数個ずつカカオを手に持ち、王妃宮へと向かう。


「あの人……」


 馬車を降りてすぐ、足を止めたウィル様。


「どうかされました?」

「勘違いだといいんだけど……あそこにいる使用人、なんだか怪しい気がして」


 ウィル様の視線の先を追うと、私達とそう変わらない年齢の少年がいた。


「確かに、少し若すぎる気がしますね」

「そうだよね」


 王城、王宮で働く使用人のほとんどが王立学園の卒業生。もちろん料理人や庭師とか、卒業生じゃない使用人もいるけど、その場合は実績が必要。だから同年代が働いているはずがない。


「ディア、ディアは一旦馬車に戻って」

「嫌です」

「お願い」

「ウィル様も一緒なら戻ります」


 私を危ない目に合わせたくないんだろうけど、それは私だって同じなんだからね。


「僕はあの使用人の様子をもう少し確認したいんだ」

「ご一緒します」

「危険人物かもしれないんだよ」

「尚の事です」


 ウィル様に付いて一緒に物陰に隠れる。


 年齢以外に怪しいところはなさそう。でもどうにか用意したであろう制服が、彼のサイズに合っていない。


「ディア、危険なことはしないでね」

「ウィル様もですよ」

「……ポーラ、頼んだよ」

「承知しております」


 言外に余計なことをするなって言われた気がする。心配しなくても、無茶はしないよ?



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