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私の婚約者は6人目の攻略対象者でした  作者: みかん桜
本編

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28.公爵令息との恋愛フラグ

✽.。.:*・現在・*:.。.✽



「結局毒が原因だったんですか?」

「そうだ」


 公爵が調べた結果、主犯は案の定侍女頭だった。手先だったのはメイドと侍従の2人だけ。少ない人数で公爵家の3人もの人間を毒殺しようとしたなんて……でも犯人が少なかったからこそ、他の使用人に怪しまれることもなかったのよね。


 理由は侍女頭が公爵に横恋慕したから。


 まずは一番邪魔な公爵夫人を毒殺する。そして後妻になった後、自身が産んだ子を公爵家の跡継ぎにするため、デイビット様にも毒を盛ったそう。


 自己中極まりないわね。


 ちなみにナタリー様は王族の婚約者だし、侍女頭は生かしておくつもりだった。でも……まぁ公爵令嬢だしね? それなりに我儘な部分はあるわけで。たまたま手先のメイドにキツく当たってしまい、メイドが独断で毒を盛ってしまったのだとか。


 運が悪すぎる。でもナタリー様も自分の行いを省みたそうだし、そのお陰で私達も気付けたから……怪我の功名ってやつなのかもね。


「あの時、私とウィル様が気付かなかったら手紙のようになっていたのでしょうか」

「可能性はあっただろうね」



 ローズの手紙をまとめるとこうだ。


 公爵に横恋慕した子爵家出身の侍女が公爵夫人を毒殺。……これは侍女頭の証言通り。もちろん現実では未遂で済んだ。


 そして夫人を亡くした公爵が弱っているところに付け込み後妻となる。……侍女頭の望みと同じね。


 後妻が産んだ子を公爵家の跡継ぎにするため、デイビット様をムチで虐待。……これは毒とムチとが違うだけ。


 デイビット様は虐待され続けたことがトラウマとなる。……確かに一時期食事をとるのが怖いと仰っていた。でも何故か先に完全回復した公爵夫人の献身的な看病で、無事克服している。


 そして家に帰りたくないデイビット様が図書館で時間を潰している時、ヒロインと出会う。……これはローズの妄想でしかない。だってデイビット様は問題なく家に帰っているから。

 といっても完全回復した後ウィル様の側近になったから、ゲームよりも家に帰る時間は遅いかもしれないけどね。


 図書館で同じ本を取ろうとしたことをきっかけに交流を持つようで、トラウマの克服が交流の鍵らしい。


「あり得たかもしれない未来を潰せてよかったです」

「本当、お二人のおかげですよ。感謝してもしきれません」


 私達がしたのはきっかけでしかない。でも助けることが出来て、本当によかった。


「公爵家でこのような事件があったとは知りませんでした」

「箝口令は敷いていないが、秘匿していたからな」


 上位貴族ならまだしもノエルは子爵家だし、知らなくてもおかしくない。混乱を避ける為に隠していたから。


 理由は使用された毒が治療薬としても使われている薬草だったから。混ぜ合わせる物によって薬にも毒にもなる、そういった薬草だとこの時まで誰も知らなかった。だから多くの医師が診断しても原因不明だったんだけど。


 他にも同じように危険となってしまう薬草がないかそっちの確認のほうが重要で、公爵家内の事件は知る人ぞ知る事件になったのよね。


「念の為、今度会った時に情報元を確認してみます」

「頼んだぞ」


 うーん、ローズは夢って言いそうな予感。侍女の噂話で知ったって言わないと怪しまれるよ~。まぁ、私が気にすることじゃないか。



 何にせよローズ、私はまたあなたの恋愛フラグを折っちゃってたわ。



「なんで母親が生きてるのよ!」


 たまたま教員棟に用事があり、その帰りに通った中庭で誰かの叫ぶ声が聞こえた。


「嫌な予感」


 というものは当たるもので、案の定、叫んでいたのはローズだった。放課後で周りに人がいないとはいえ、発言には十分注意すべきだよ。


 どうしよう……。


 こんなところからさっさと移動すべきなのは分かっている。でもなぜか足が固まっちゃって。きっとあんな風に怒りを露わにし、大声を出す人が近くにいないから……想像以上に驚いてしまったのかも。


「なんでデイビットが虐待されてないの!? ムチで叩かれたトラウマがあるはずなのに!!」


 ……何となくそうかなとは思ってたけどやっぱりか。さっき言ってた母親、デイビット様のお母様のことだったのね。


 先週末ノエルと会い、公爵家の現状を聞いての発言なんだろうけど……生きてちゃダメみたいな発言に虐待を望んでいるかのような発言。恐ろしすぎる。


 攻略するためなら相手の過去に傷つけられた経験があってもいいってこと? そんなヒロイン嫌なんだけど。


 その後も何度か地団駄を踏みながら愚痴をこぼしたローズ。聞けば聞くほど恐ろしい思考回路ね。


 一通り吐き出してスッキリしたのか、ドスドスと足音を立てて中庭を去って行った。よかった、私に気付くことなく出ていってくれて。



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