B1-2 最初の教育プログラム
「おはよう。金太郎!」
儀式の翌朝、母体のお腹に向かって話しかける。
儀式前の呼びかけに応じてくれたモノには感謝しなければな。
早速、名前を付けて愛情を注いでいく。
聖書の一つ『MONSTER』にてミハイル・イワーノヴィチ・ペドロフが唱えていたではないか。
社会が要求する人間を、作り上げることが教育だと。
そして、人間の闇(憎悪、虚無、破壊衝動)に負けないためには、愛情を注いで育てる必要があると。
もちろん親が子に向ける…ごく普通の…自然なことだ…(Byヴォルフガング・グリマー )
これから10か月(280日)。毎日の声かけが基本だな。
「ははは!そんな昨日の今日で(笑。」
妻は軽く笑っているが冗談ではない。
「もう居るのが分からないのか?本当に居るぞ?」
本気にしてなさそうなので何度も言うのは辞めた。
毎朝と毎晩、オハヨー金太郎・オヤスミー金太郎と声かけて行くにつれ
そうなのかな…と考え始める妻。
2週間後…
「病院のエコーで映ったよ~。でも聞いて、おめでとうございます!も無いんだよ。」
俺の話を疑って病院にも行ったようだ。
まあ着床直後の段階でどうなるか分からないから、医者はおめでとうなんて言えんな。
暫く、ハーブティーやコーヒーは控えた方が良いと言ってエコーを見せて貰う。
こりゃ…確かに言えないな。豆粒だし。
愛情を注ぐ。これが基本で最初の教育プログラムだ。