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[chapter:序章]Before the end.
[chapter:序章]Before the end.
奪え、
奪え、
奪え、
奪え、
根こそぎすべて、
ただ唯一の、
命を奪え。
死神ならば、
きたるべき時に鎌を振り上げよ。
きたるべき時に鎌を振り落とせ。
かくあるべし。
かくたるべし。
生命の歯車を止めるのだ。
『魂』という鍵を奪うのだ。
――……。
――だが、
だが、私は、思うのだ。
これが、なぜ、死神の仕事なのかと。
なぜ、私は、死神なのかと。
なぜ、私は、あなたを――……
「泣かないでよ」
「泣いていません」
ふふふ、と小さく笑われる。
「そうだね」
わずかに頭を動かすと、さらりと薄い茶色の髪が揺れた。紫にもみえる瞳を細めて、穏やかに笑うと、苦しげに咳をした。
何もできない。
何もできない。
何もできない。
――いいや、違う。
己の反証に、大鎌を持った腕がびくりと震える。
――ひとつだけある。
――いいや駄目だ。
葛藤と逡巡がその死神をあざ笑う。
そして、
――……選択の時がきた。