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異世界だろうが教師の在り方は変わらない  作者: 物語 紡
6時間目 それぞれの話1
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60/160

10.訓練とは地味で辛いもの5

 それからというもの二人は訓練により一層身が入っていた。

 自分の成長を目のあたりしたのが良かったのだろう。ただ、頑張りすぎてぶっ倒れないかが心配だが。

 訓練自体はそれほど変わらず、魔力を体に纏う訓練に走り込み、筋トレ、組手を主としてたまに魔力感知や魔弾合戦なども行ってみる。

 魔力を体に纏うのだけはかなり難しいらしくメアはともかく魔力コントロールが得意なステインすらも苦戦していた。



 それもそのはず、本来この訓練は学生がやるようなものではない。学校を卒業し、魔法師になってからやるものだ。この訓練は見た目が地味な割にきつくて難易度が高いのだ。

 これは強化魔法の一種に当たる。全身に纏えば筋力や瞬発力の増強、皮膚の硬化、環境適応などが出来る。強化魔法ではパワーを上げる、スピードを上げるなどの大雑把な強化しかできないが、この方法だと部位の限定と筋力と瞬発力などの複数同時に強化、劣悪な環境下でもいつも通り動くことができる。また、魔力の量を増やせばその分効果も増す。



 これだけ聞くといいことづくめに聞こえるが欠点もある。燃費が悪いのだ。

 強化魔法は発動時にのみ魔力を使う。しかし、これは常に魔力を使い続けている。わかりやすくいうと強化魔法は百の魔力で一時間効果を発揮するのに対してこれは百の魔力を秒単位で消費していくのだ。もちろんこれは極端な例にしか過ぎないが強化魔法よりも燃費が悪いのは確かだ。

 なのでこれは魔法師には強化魔法の劣化版と言われている。

 まぁ、戦闘には使えずとも魔力コントロールの訓練としては最適なのでこの方法は伝えられているわけだが。



 話がそれたがつまりこの訓練は非常に難しい。理想は薄皮一枚分の厚さだが簡単に出来るものではない。もっというと教える側、つまりマコトに魔力がないため実演することもできない。メア達は成功の形が分からないまま訓練しているわけだ。

「あの子たちと同じことすればいいのよね?」

「あぁ、手本代わりに見してやってくれ」

 そんなわけで凄腕の魔法師にやってもらった。



(あの子たちって子ども扱いしているけど歳は同じくらいだからな?)

 そんな疑問が少し出てくるが、和気藹々とした雰囲気に水を差すのもあれなので黙っておく。

 クオリアの魔力コントロールはかなりのもので薄皮一枚とは言えないが服一枚分の厚さと言ったところだ。これならどれだけ難しい魔法でも扱えることだろう。



 後でクオリアにこっそり聞くと

「私の属性は失敗すると国すらも滅ぼしてしまうのよ。だから、いやがおうにも魔力コントロールを完璧に身に付ける必要があったし、この訓練もかなりの量をこなしたわ」

 魔力量が多くて、闇魔法なんて攻撃的な属性を持つと大変なんだなとより一層思った。

 手本を見た後の二人は必死にクオリアと同じように頑張っているが、簡単に出来るものではない。



 レオンはというと同じ訓練を黙々と続けていた。

 レオンの訓練のつらいところは簡単に訓練の成果を確認することが出来ないことだ。少し訓練したところでいきなりパワーアップするわけでもないので地道にコツコツと頑張るしかない。

 持ち前の忍耐力と根性で日々の身になっているか確認ができない訓練をひたすらこなしていく。それを見ていると二人ももっと頑張ろうと思うらしい。



 そうこうしているうちに夏休みが終わろうとしていた。

 二人は門の外で馬車に荷物を積んでいる。と言っても持ってきた荷物がかばん一つに収まるぐらいなので積み込む必要はないのだが。

 来るときは商人の馬車に乗せてもらったらしいが、今回はクオリアが手配したので二人専用だ。



「「訓練ありがとうございました!」」

「おぉ、国に戻ってもサボらず励めよ」

「「はい!」」

 二人とも訓練で疲れているはずだが元気に挨拶をしてくる。



「いつでもいらっしゃい」

「いつでもお待ちしております」

「私は出かけることが多くてあまり一緒にいれなかったので、今度はおしゃべりしましょう!」

「また一緒に先生の訓練を受けましょう」

「いやレオン、君は魔力無いんだから彼らとは訓練別でしょ?」

「共にいることに意味があると思います」

「そういうものかなぁ~」

 クオリア達も思い思い別れの言葉を告げる。



 そして、二人とも馬車に乗り込んだ。

「それでは皆さんお元気でー‼」

 メアは元気に手を振りながら、ステインは軽く会釈しながら去っていった。

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