4.現状確認
光に包まれてあまりのまぶしさにマコトは思わず目をつむってしまう。再び開けてみると先ほどまでいた場所とは景色が変わった。
「ここが異世界かぁ!」
日本では見慣れない景色にマコトは興奮する。それも仕方ない。誰しもが一度は体験してみたいと思われる異世界転生を体験することができたのだから。早速この街を探索をしてみたい気持ちはあるが確認せねばならないことがある。
「"ステータス"」
そう唱えると目の前に半透明な板が現われ浮かんでいる。そこには俺のことが書かれていた。
名前:荒木 マコト
年齢:二十八歳
スキル:教師▷
魔力:0
マコトはステータスを見て絶句した。
(ちょっと待て。確かスキルはその人の才能が出るんだよな?生前の俺が見たら喜ぶかもしれないが今の俺はうれしくない。運命は俺に異世界に来てまで教鞭をとれってか?馬鹿にしてんのか。しかも、魔力0って何だ、絶対魔法使えないだろ!魔力0でスキルが教師でどうやって異世界生き残れってんだよ)
興奮していた気持ちは急速に冷める。
どうしたものかと頭を抱えたくなるが、転生してしまった以上どうしようにもならない。
(ん?なんだこれ?)
俺が改めてステータスをみるとスキル:教師の横に矢印があることに気が付いた。そこに意識を向けると文字が浮かび始めた。
スキル:教師▷全知・・・この世界の事象をすべて網羅する。
指南・・・対象を教え導く。
識別・・・対象の種類や性質を見極める。
(これは教師としての能力か?しかし、大雑把に書かれているなぁ~)
能力が出てきたはいいが見ただけではどんなことができるのかわからなかった。これは色々と調べる必要がありそうだな。
一つ一つ確かめたところ分かったことがある。
『全知』とは全ての知識を持つ能力だった。魔法って何だろう?って考えたらとすぐにその回答が頭の中で浮かんできた。その人の考えていることや現状起きていることを知れるわけではなく、あくまでも知識として存在することのみ知っている能力だった。
『識別』は対象を知る能力といえばいいのだろうか。人に対して使ってみるとその人のステータスを見ることができた。また、その人の力量についてもある程度わかる。ものに対して使うと名称や素材などが分かった。ちなみにこの能力を試しているときにこの世界特有の木材を見つけ、「なんだこれ?」って疑問に思ったときに全知の能力が発動して使い方が分かった。
『指南』に関してはまず教える人物がいないので試せない。というか、全知があれば大概のことは教えられるのでこの能力の使い方がわからない。
ここまで説明してわかったと思うが俺に戦闘能力は全くない。つまり、異世界での定番である冒険者になって冒険をするみたいなファンタジーにあふれることをすることができない。
マコトの異世界転生は前途多難であった。