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称賛と悪罵

「すごいね。やっぱり良純さんは、すごいよ。」


 山口は猫のような目を子供の様に煌かせて、谷矢部家に仕掛けられていたカメラの映像を眺めている。

この大捕り物を画策して、捕らえたばかりか殺し方の分からない生き物を滅ぼすことまで成功させたのであれば、良純和尚が称賛を受けるのは当たり前だろう。


 どんな奴らが襲撃してくるのかわからないのであれば、人の手が触れないような方法で捕えてしまえばいいだろうという投げやりな思考と、計画を練るのが面倒だと古来からの間違えようのない落とし穴を設置すると声をあげただけなのに、泥まみれで重労働をさせられた鑑識班どころか、モニターを鑑賞しているそこいらじゅうの警官達からの拍手喝さいを浴びているのだ。


 炎の中で化け物であった人に経を読み上げる姿など、全身の刀剣を刺されても崩れ落ちずに義経を守ろうと立ったまま亡くなったとされる弁慶をも彷彿とさせる、威風堂々どころか鬼気迫る佇まいだ。

 今回ろくでなしと罵られるだけの僕と、称賛されるだけの彼はどこで間違えたのだろうかと僕は首をかしげる。


「クロトも頑張って来たよね。怪我は無い?」


 山口は僕が彼の足元に突然現れて驚くどころか、やさしい眼つきで僕を見下ろしてくれた。

 僕は嬉しさに僕をもっと彼の足元に貼り付き、そんな僕を彼は僕の頭から背中を撫でおろすや、その手を背中から除けるどころかぐいっと僕を彼の方へと惹き付けたのである。


「ふふ。」


 僕は彼の長い足に喜んでしがみ付く。

 僕は良純和尚の元に行くはずが、楊を探せとの良純和尚のメールを受けて再び獣道へと飛び込む羽目になったのだが、少々疲れていた事と恋人のそばにいたい事もあって、谷矢部家近くで監視行動をしていた山口が乗り込んでいる大型バンに潜り込んでいるのである。

 行けと言われた楊の元に行かないのは、楊が心配かそうでないかというよりも、心配をしているが心配は今のところいらない、ということがわかっているからだ。


 なぜ断定できるのかは、楊は僕のオコジョを盗み取っており、盗み取られたというか自ら楊の元に行ってしまった三匹のオコジョは、僕のオコジョ達とも交信している。


 つまり、僕は楊がどこにいようが大体わかり、楊は獣道で気を緩めると僕のオコジョ達によって僕の元に連れてこられるというペナルティも背負っているのだ。

 まぁ、ペナルティというか、馬鹿なオコジョ達の副作用と言うべきか。

 僕のオコジョ達は僕という主人よりも楊が好きすぎて、楊の隙あらば楊を取り込もうと画策しているというだけの話だ。


「ねぇ、君の従兄の所は大丈夫なの?なんだか凄い映像が見えたんだけど。」


 山口は、僕の見えたものが僕に触れれば僕が見えたとおりに見える、という能力を持っている。

 僕は山口を安心させようとして顔を見上げたのに、なんと彼の方は警察官らしい硬い表情と厳しい眼で僕を見ていたのである。


「どうしたの?淳平君。」


「いいの?戻らなくて。君の為に君と一緒にそこに行った長柄警備の人達もいるんでしょう。」


 僕は大きく舌打ちをすると、楊の所へと姿を消した。

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