表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/363

再会の約束

ルーファスのブローチを少し手直しした後、姉妹()に別れを告げて、僕達はまた広場に戻ってきていた。

ちなみにレオはめちゃくちゃ引き止められた。

肩と腰に抱きつかれて、スリスリされてた。

それを振り払って力の限り激走したレオを、多分もう見る事はないだろうな。

しょうがないので僕達も走って追いかけた。

ニコラは走れたけど、生粋のお嬢様なナタリーには無理だったので、ルーファスがおぶってレオを追いかけたよね。

あの時のナタリーの悲鳴も、多分2度と聞けないと思う。

なんたって顔を真っ赤にして、お嬢様らしからぬ声だったもん。

そして殿(しんがり)は僕。


「…もう、あの店には絶対に行かない…!!」

「えー?いい人達だったのにー」

「あぁ、変わった人達ではあったが、悪い人ではなかったぞ。…ナタリー、大丈夫か?」

「だ、だ、大丈夫ですわ…お気になさらず…」

「大丈夫って顔じゃないけど…僕が持った方が良かった?体格的にルーファスが1番いいと思ったんだけど…」

「そういう問題ではないのですが、ユズ君…」


…まぁ、ちょっと悪かったかなとは思ってる。

強引に背中に乗せたしね。

でもまだ7歳だし、思春期でもなければ気にしないかと思ったんだけどなぁ…


「はぁ…そろそろ暗くなるし、僕達も帰ろうかぁ。次にニコラに会えるのは、いつになるのかなぁ?他の3人にはそれなりに会えそうだけど」


レオの言葉に、ニコラが思案顔になる。

この中で1番遠いのはニコラで、今まで来た事がなかったという王都。

これから頻繁にってわけではないだろうなぁ…


「うーん…でもお父さんが王都にいるし、学院入学まで全く来ないってわけじゃないと思うよ?」

「じゃあ来る時は連絡してね、またみんなで遊びたいし」

「うん!手紙も書くね!あ、魔法覚えて『レター』にしようかな!」

「私も頑張って勉強しますわ」

「じゃあ僕も頑張ろっとぉ」

「俺は『レター』なら使えるが、きちんと勉強も怠らないようにしよう」

「僕は…まぁ、それなりに頑張るね」

「…ユーちゃんは規格外だもんねぇ」


レオが乾いた笑いと共に、ポツリと呟いた。

知ってるよ、規格外な事くらい。

だからそれなりって言ったんじゃないか。

まぁ手加減スキルあるし、なんとでもなるんだけどねー。


「じゃあ、ニコラは俺が送っていこう」

「ルーファス、ありがとー」

「じゃあナタリーは僕が送るよぉ」

「よろしくお願いします」

「僕だけ方向違うしなぁ、1人寂しく帰ります」

「大丈夫か?変な奴に付いていくなよ?」

「行かないってば!」


失礼な奴だな!

僕がそんなに危なっかしく見えるのか?

こちとら27+7歳だぞ?

危機管理能力くらい備わってますとも。

寧ろ怪しい奴がいたら捕縛してやらぁ!

…いや、それがいけないのか、危ないよね。

現行犯じゃなければ、一旦スルーします、はい。

怪しいだけなら鑑定スキルさん使うくらいにしとこう。


「また遊ぶ時は、このブローチ付けようね!」

「さすがに俺達が街で付けてたら目立たないか?まだ浸透してないんだし…」

「いっそ普段から3人が付けて、社交界で流行らせればいいんじゃないの?そしたら平民でも流行ってくかもしれないよ?」

「ユーちゃんみたいに目立つ存在ならすぐ流行らせられそうだよねぇ」

「人を歩く広告塔みたいに言うなよ」


まぁ確かに僕は目立つだろうけどさ…

2人だって顔はいいし、ルーファスに至っては公爵子息だ。

宰相さんにも付けてもらえば一発だと思うけどなぁ。


「まぁ気に入ってるから、普段から付けるつもりだけどね。2人も付けてよ?」

「勿論だ、俺も手直ししてもらったこれ、気に入ってるからな」

「僕も気に入ってるから付けるよぉ」


よし、言質はとった。

…あ、そうだ。


「まぁナタリーとニコラも、出来れば普段から付けててくれる?」

「勿論です、ニコラちゃんとお揃いのリボンだって使いますわ」

「えへへ、あたしもー」

「じゃあ、まぁ…《このブローチ達がみんなを守ってくれますように》」


僕の言葉に、各ブローチのラインストーンが一瞬キラリと輝く。

その輝きは小さく、周囲の人にはわからなかったようだった。

でも4人には見えていたらしく、少し驚いたような表情をする。


「…今の、何…?」

「…ユーちゃん、なんかやった?ブローチから不思議な力を感じるようなぁ…?」

「んー?何の事かな?僕は言霊も詠唱も、何もしてなかったでしょ?」

「確かにしてなかったが…」

「なんだか、ちょっと恐れ多いものになりましたよね…?」

「気のせい、気のせい」


はっはっは、またみんなで楽しく遊ぶためのものだから、気にしない気にしない。


「じゃあ、みんな、またね!『レター』待ってるよー!」


さーて、聞かれる前に逃げろー!

僕は屋敷の方へ走り出した。


「…言い逃げされた感じが否めないが…またな!」

「よくわかんないけど、ありがとう!またねー!」

「親父殿には言えないよなぁ…また連絡するねぇ!」

「私も一旦秘密にしておきますわ、ご機嫌よう!」


背中から4人の声が聞こえたので、振り返らずに手だけ振った。

あぁ、今日は楽しかったなぁ!

またみんなで遊べるといいなぁ!

…あ、でもその前にメグ様案内しなきゃいけなかったんだ。

どうしようかなぁ、あの口調って特徴的でバレやすいし…

基本的に黙っててもらえばいっか。

いやでも、陛下の悪いとこが出てくると危ないよな…


…で、陛下はどうしたんだろう…

後でベティ様に『レター』するか、父様に聞いてみるかな…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ