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ベティ様の牽制

お出かけしてたので更新遅れました…

僕達は全員で店の外に出た。

おぉ、他の家や店からも人が出てきてる。

結構人は多いのに、誰も騒いでいなくて静かだった。

やっぱり王族からの放送は静かにするもんなんだなぁ。


『今年も無事に建国記念日を迎えられたのは、偏に王国民の皆さんのおかげです。皆さんが働き、学び、育んできた日々によって、この国は成り立っています。本当にありがとうございます』


…なんだろう、ベティ様の素を知ってるせいか、素敵な王妃様って感じに違和感が半端ない。

誰これ別人?


『そして、先程も少し申し上げましたが、本日、私と同じ愛し子がデビューを果たしました。その件につきまして、皆さんにご報告します』


あ、ついに僕の事かぁ。

なんか不思議な感じだな、ちょっと気恥ずかしいというか。


『新たな愛し子の名は…ユージェリス=アイゼンファルド。宮廷魔術師長であるルートレール=アイゼンファルド侯爵のご子息であり、血の繋がりはありませんが、私の大切な甥です。今年デビューしたばかりの7歳で、ここ最近の愛し子とは違い、学院にも入っていない年齢の子供です。彼は聡明で、簡単に騙されるような事はないと思いますが…もし彼を害する事があれば、私を敵に回すと心得ていただければと思います。彼共々この国から去るような事態にならない事を祈ります』


いやいや、何さらっと問題発言ぶっ込んでんの?

王妃様が脅迫なんてしちゃダメでしょ!


「まぁ…王妃様はお優しい方ねぇ…甥である愛し子様の味方だとこの場で公言なさるなんて…」

「それだけ大切な甥御様をお守りしたいのねぇ…」


うん?意外と受け入れられてんの?!

…いや、愛し子を籠絡しようとしたりしようとしてるのは、基本的に貴族だもんな。

平民の人にはそんな考えなんてないのか、会う事自体ないんだし。

しかもベティ様の普段を知らないわけで。

ただの甥が心配な叔母っていう構図になるだけなのか…

…あ、ルーファスとレオは遠い目してる。

ナタリーは目線を合わせてくれない。

ニコラはあんまりわかってなさそうだな。

ベティ様についてロイドさんから聞いた事ないんだろう。


『私は彼の意思を尊重したいと思っております。彼にしたい事があれば、させてあげられる環境を整えてあげたい、彼の望まない事は阻止していきたい…例えそれが誰であれ、ね』


こーわーいー!!

それ絶対陛下の事言ってるよねぇー?!

だから陛下いないんだよねぇー?!

本当に陛下はどこにいったのぉー?!

あ、ルーファスとレオの顔色が悪い。

察してしまったか、誰の事を言ってるのかを。


『また、貴族や商家の皆さんへの通達となりますが、彼宛の釣書全般や、必要以上の彼のご兄妹への釣書などは不要です。婚姻関係を結んで精霊の恩恵を受けようとか、彼が幼いから自分の好きなように操ろうとか、そんな馬鹿げた事を考える方はいらっしゃらないと思ってはいますが…念のため、ね』


あ、釣書の事、ベティ様に言うの忘れてたのに…

母様が伝えてくれてたのかな?

これは助かる、例え脅しが入っていたとしても。


『長くなってしまいましたが、私から愛し子に関しての話は以上です。また来年も素晴らしい建国記念日を迎えられるよう、皆さんのご協力をよろしくお願いします。最後に、善良な皆さんに精霊様のご加護がありますように、《ブレッシング》』


ベティ様の言霊に反応して、人々の体がキラキラと輝く。

あれ?あそこに光ってない人がいるみたい…?

…あ、なるほど。

ベティ様は『善良な皆さん』に祝福を与えたわけだから、光ってない人は善良ではないわけで…


「うわっ!」

「やっぱりアンタ…」

「いや、違うんだ!お、俺も光ってただろ?!」

「いーや、見てないね。お前は王妃様からの祝福を受けれなかった」

「王妃様は愛し子様だ。そのお方の魔法が間違えるはずがない!」

「やっぱりお前、アレに手を出してたんだな?!詳しく話せ!」

「くそっ…!!」

「逃げたぞ、追えー!!」


…なんかちょっと騒動になってる。

大丈夫かなぁ?

とりあえず、あの逃げた男の動きは止めておくか。

僕はカーディガンのポケットに手を突っ込み、見えないように指を鳴らした。

その瞬間、男は走っていた体勢のまま固まって止まる。

『ストップ』の魔法使ってみたんだよねぇ。

この魔法は意外と使い勝手がいい。

対人だとしても、対物だとしても、発動者が認識しているものを止める事が出来る。

対人だと、相手との魔力差によって止められる時間が変わるんだよね。

対物なら重さとか大きさとか。

あの男と僕の魔力差なんてきっと天と地ほど違うわけだから、絶対に動けません!


「なんだ?!アイツ止まったぞ!」

「きっと精霊様のおかげだ!今のうちに捕まえるぞ!!」


周りの人達が男を捕縛する。

十分身動きが取れないほど縛られている事を確認してから、『ストップ』の魔法を解除した。

なんか男が喚いてるけど、知ーらないっ!


「…ユズ、なんかしたぁ?」

「足止めはしたかな」

「…もしかして、今の無詠唱じゃ…?」

「無詠唱ってわけでもないけど、まぁ僕やベティ様しか出来ないと思っておいて。秘密だよ?」

「…なんだかとんでもない事を聞いてしまったみたいですわ…」

「そうだった、ユズってそういう立場の人だった…」


おいおい、また忘れてたのか、ニコラ。

忘れて誰かにポロっと話さないようにね?

もちろん全員小声で話してたので、姉妹()には聞こえなかった模様。


「あらあら、変な人がフラついてたのねぇ」

「あの人、うちにも押し売りに来たりしてた人よぉ、やっぱり悪い人だったの…」

「え?うちにも来てたの?やだぁ!」


ディッキーさんはなんとなく気付いていたみたい。

ティッキーさんは会ってなかったのか。

あ、さり気なくレオに擦り寄ってる。

そしてレオの顔色が悪くなる、と。

そろそろ慣れればいいのになぁ、レオも。


そういえば結局、陛下はいずこ…?

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