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お説教ユージェリス

約束したら早速です。

「ユージェ!」


メグ様の声がしたので振り返る。

…なんでメグ様仁王立ちなんだろ。

折角の衣装が台無しになっちゃいますよ?

言わないけど。


「メグ様、どうかなさいましたか?」

「…母上が呼んでいるのじゃ。こちらへ参れ」

「承知致しました。それじゃみんな、ちょっと行ってくるね」

「はいはーい、行ってらっしゃい。また後でねぇ」

「遅れるなよ?」

「ユージェ、また後でね〜」


3人に別れを告げて、メグ様の前に駆け寄る。

…うーん、やっぱり機嫌悪そうだなぁ。


「…後で、とはなんじゃ。もうすぐここも終わるぞ」

「みんなと会う約束をしているので。それより、ベティ様はどうして私を?」

「それは聞かされておらんが…のぅ、みんなで会うなら、妾も…行きたい…」


いやぁ、それはちょっとなぁ…

さっきレオとルーファスが言ってたように、メグ様と外出はリスクが高い。

それにその喋り方と態度が高圧的で貴族なのがすぐにバレそうだし…

もしみんなと逸れる事があったら、いくら僕でも全員守れるか、やった事ないからわかんないし…

というか、デビューしたての王女様がお忍びなんてしていいのか?

出来ればまだ、メグ様には王城で大人しくしててほしい。

みんなで出かけるのは、メグ様がそれなりに自衛出来るようになってからだな。

レオとルーファスがちゃんと戦えるようになれば尚良し。

今はみんなで出かけるより、2人きりで出かける方がマシだ。

先に王都について把握しておけば、1人の守りに徹する方が確実だし。

でもそれで依存されても困るんだよなぁ…

僕は友達とは対等でいたい。


「…っ何故じゃ?!妾もみんなと遊びたいぞ!何故ユージェは良くて妾はダメなのじゃ?!妾は王女じゃぞ?!」


メグ様が僕の服を掴み、大声で怒鳴る。

でもその表情は悲しげで、今にも泣き出してしまいそうだった。

周りがこちらを注目する。

しまった、考えるだけじゃなくてきちんと説明すればよかった。

沈黙の時間が、メグ様を不安にさせてしまったようだ。

しっかりしてるとは言え、メグ様はまだ7歳。

感情的になってしまう事だってあるんだ。


「…メグ様、確かに私は愛し子という特別な存在です。ですが、その愛し子としての力があります」

「力…?」

「メグ様は愛し子について、どこまでご存知ですか?」

「…愛し子様は、特別な力を持ち、普通の人よりも魔力が強くて…発言力がある分、あまり政治に関わってはいけない、精霊様の御使いの方で…だから王命に従う必要もなくて、出来る王命も限定されてて…精霊のように、拘束を許さない自由な者…?」

「えぇ、概ねその通りです。つまり、それなりに強いんですよ、天災級の魔物を倒せるくらいには」

「「「「天災級?!」」」」


周りが驚きの声を上げる。

おや?知らない人の方が多かったのか。

まぁ言っても問題ないでしょ。


「…ならば、ユージェが妾を守れば良いではないか。天災級よりも人間の方がずっと弱いのだから。何か不都合でもあるわけじゃあるまいし」


目に涙を溜めながら、僕の目を見て訴えかける。

うーん、その言い方、さすが王女様ってところか。

僕的には不合格だね。

さっきもベティ様に上から目線でモノを言うなと言われてたのになぁ…

…悪いところは陛下似かな?

ちょいちょい『王族だぞ!』感が否めない。

いや、王族だから間違ってないけど、それが相手を不快にさせる事だってある。

そこから関係が綻び、謀反を起こされても困っちゃうじゃないか。

よく小説とかでいたぞ、高圧的に言われた事で自分のプライドを傷付けられて、そこから仲違いしていった人とか…

陛下には常にベティ様がいて制裁を加えてくれるけど、メグ様はそうじゃない。

ここは僕が言わないといけないよなぁ…

さっき、そんな感じの約束したし。


「…メグ様、それは命令ですか?」

「え、あ、いや…そうではないが…」

「先程メグ様がおっしゃったように、私に命令は出来ません。まず命令してくるのは友達じゃない」

「…妾は、友達ではないのか…?」

「現状では、従兄弟でもある王女様という認識です。私は自分に依存してくるような友達はいらない」


僕のキツイ言い方に、メグ様の目から涙が零れ落ちた。

…泣かせたいわけじゃないけど、ここははっきり言わせてもらう。


「…友達とは、対等であるべきだと思っています。まだ出会ったばかりだけど、レオやルーファス、ニコラは私を特別視せず、擦り寄ってきたり頼ってきたり、そういう事はしなかった。遊びに行くという話になった時も、私の身を案じてくれて、尚且つ私を守るつもりでいてくれた。けどメグ様はそうではないでしょう?貴女は友達に自身への攻撃を防ぐ盾となれと言うお方だ」

「…そうではない、違う…違うのじゃ…友達とは、対等なものだと、妾も思う…もしユージェが友達だったなら、さっきの発言はとても失礼なものじゃった…」


ポロポロと涙を零し、自分の発言を振り返るメグ様。

…うん、言い過ぎた、かなり罪悪感。

最近キツイ言い方をする事が多くなったなぁ…

僕ってこんな性格だったっけ?

気をつけよう、うん。


「…先程も言いましたが、振る舞いについてはこれから学べばいいのです。自身の防衛方法だって、これから身に付ければいい。まだみんなで遊びに行く事は出来ませんが、後日でよければ私がメグ様をお連れしますよ」

「ほ、本当か?!いいのか?!」

「えぇ。メグ様1人をお守りするくらいなら、問題ありませんよ。泣かせてしまったお詫びに、勝手な行動をしないのであれば、その日だけは必ず貴女をお守りするとお約束致しましょう。また出かけたければ、きちんとお勉強も頑張って、防衛術を身に付けて下さいね?」

「うぬ!妾は頑張るぞ!本当にすまなかった、ユージェ!」


嬉しそうに笑うメグ様からは、涙も消えていた。

反省が出来たようなので、ちゃんと約束通り頭を撫でる。


「いいえ、お気になさらず。メグ様も陛下とそういうところは似てるようなので、気をつけないとベティ様に制裁喰らいますよ?」

「うっ…!!ち、父上に似てるのは嫌じゃ…あれはみっともないと思う…」


そこまで言わなくても…

そんなに好きじゃないのか?

いや、あれか?

『パパのパンツと一緒に洗わないで!』っていう、例の…


…陛下、本気で真面目にならないとヤバイかもですよ…

次回からはお忍び編です〜

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