恥ずかしい自覚《side ナタリー》
更新遅くなりました…
間違えて書いてたものを消す事、2回。
ちょっとやる気が削がれて支部の夢小説に逃げてました。
気持ちは満たされたのでまた頑張ります!
「やぁ、ナタリー、おはよう」
「…おはよう、ございます…?」
着替えを済ませて朝食を頂くために食堂へ向かうと、そこには私の婚約者様が優雅に紅茶を飲みながら微笑んでいました。
私に気付くと挨拶をして下さいましたが…とてつもない違和感。
そこに気付けないほど、私も愚かではありませんが。
「ユージェ君…その頬はどうされたんですか…?」
「…えーっと、自業自得というか…まぁ、気になるようなら魔法で隠すから」
「気になると言うか、なんと言うか…愛し子様のご尊顔にそんな目立つ紅葉があれば、誰でも見てしまうと思いますけど…『ヒール』しないので?」
「戒めだからなぁ。とりあえずは自然治癒で治すつもりなんだぁ」
あはは~、と笑うユージェ君。
…一体、何があったんでしょうか。
聞いちゃダメな事かしら…?
…ハッ!もしかして…!!
「…そうですか、そうですね、それなら仕方ありませんね」
「ん?ナタリー?」
「だってユージェ君ですもの、その可能性はありますわね」
「んん?」
「きっと無意識に女の子を口説いてしまって…あ、もしかして意識的に?それでポロリと婚約者がいると言ってしまって、涙を溜めた女の子に『バカぁ!!』と言われてそれで…」
「人聞きの悪い事言わないでくれるかなぁ?!それだったらナタリーにバレないようにコッソリ治す…じゃなくて、そんな事しないから!!最近では言動に気を付けてるんだから!!そりゃレオ曰く女の子に甘い僕だけど、ナタリーがいるのに思わせぶりな態度なんてもう取ったりしないからね?!」
勢い良く立ち上がったユージェ君は私の肩を掴んで、物凄い剣幕で弁解をしています。
あら…違ったのかしら?
この前読んだドロドロ四角関係愛執劇の小説ではそんな場面が日常茶飯事でしたけど…
「…というか、ねぇ、ナタリー?君、僕の事信用してないの?」
「信用してますけど…今までが今まででしたから…ねぇ?」
「…別に手当たり次第女の子食って遊び散らかしてたわけじゃないのに…比較的真面目に仕事もしてたのに…」
両手を顔に当てて、さめざめと泣き崩れるユージェ君。
まぁ本当に泣いてるわけではなさそうですけど、なんだか罪悪感が。
確かに、ユージェ君が意識して口説いた事はありません。
言い回しや行動で匂わせているようにも感じられますが、よくよく見れば恋愛感情という好意でない事はわかります。
あくまでよくよく見れば、疑って見れば、ですが。
例えば昔、学院に入る前、王都へお忍びで遊びに行った時。
私達の目の前で転んだ歳の近い女の子に対して。
ルーファス君は「おぉ…大丈夫か?」と言って、眉を寄せて。
レオ君は「うわぁ、いったそぉ~」と言って、眉を下げて頬をポリポリ。
対してユージェ君は「君、大丈夫?怪我はない?折角綺麗な恰好してたのに…汚れてないかな?どこも破けてない?良かったら、これ使って?」と女の子に手を差し出してから、そっとハンカチもポケットから取り出して顔の汚れを拭いてあげていました。
…女の子は見事に顔を赤くして、小さな声でお礼を言うとずっとユージェ君の事を見つめていました。
カッコよくて、優しくて、王子様みたいな男の子。
あの頃は自覚なんてなかったですけど、『またユージェ君たら誑して…』と心の中で少しモヤモヤした事を覚えています。
…でも、ユージェ君からしたら、妹君と同じ年頃の女の子であって。
多分同じように対応しただけなのでしょう。
というか、よく考えれば貴族男性としては当たり前の対応では?
どちらかというと、すぐに助けを出さなかったルーファス君とレオ君に問題があったようにも思えてきます。
だってお父様や親族の叔父様だって、私が転んだら同じような発言をして助けてくれていましたし。
…もしも、あくまでもしもですよ?
同じ事を普段からルーファス君やレオ君がしていたなら…
…違和感しかありませんけど…
『まぁ、流石です』なんて、思っていたかもしれません。
なのにユージェ君に対しては『また』だなんて。
…案外、結構昔から、ユージェ君の事で、ヤキモキしていたのかもしれません。
そう考えると、すっごく恥ずかしい…!!
「…ナタリー?どうかした?顔赤いけど…風邪でも引いた?」
静かに羞恥心と戦っていましたが、顔から手を離した事でユージェ君に気付かれてしまいました。
そして心配そうに首を傾げると、そのまま…顔が…
「ゆっ…!!」
「…熱はなさそうだなぁ。どうしたんだろ、大丈夫?」
顔が、ユージェ君のカッコいい顔が、ほんの鼻先まで…!!
おでこがコツン…と当たる事で、ユージェ君のやりたかった事が把握できました。
…熱を測るためとか、もう、本当にっ…!!
「ユージェ君…そういうとこですわっ…!!」
「え?!何?!なんで怒ってんの?!ちょ、いたっ、なんで叩くのさ?!アタタタタ…!」
ポカスカポカスカ。
恥ずかしさを隠すために叩きます。
とにかく今は顔を見られたくないのです。
だって、そんなに昔からヤキモチ焼いてただなんて、言えるわけないでしょう?!