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ソフィア様の成長

なんか前回「完結済」になっていたようで…

間違えて押してしまったみたいです、すみません(;´Д`A

「お祖母様、ご無沙汰してます」

「まぁ、ユージェリスさん!」


屋敷に辿り着き、ちょうど玄関前をホウキで掃除していたお祖母様と遭遇した。

どうやら凄い驚いたらしく、持ってたホウキを落としてる。

というか元侯爵夫人が魔法も使わず手で掃除してるとか、いいのか?


「随分立派になりましたね。ルートレールからの報告で国内を巡っている事は知っていましたが…もうここまで来たのですか」

「はい、来ちゃいました。お祖母様はお元気でしたか?」

「えぇ、ここは空気もいいですし、何よりゆっくりとしていられますからね。ソフィア様の教育は多少大変ではありますが、それでも辛いとは思っていませんよ」


そう言ってお祖母様は、僕を優しく抱きしめてくれる。


「ここ数年で色々あった事は聞いています。頑張っていますね、ユージェリスさん」

「…まぁ、色んな方々にご迷惑はおかけしてますけどね」

「ふふ、それくらいなんですか。まだまだ困らせて差し上げなさい?」


まさかのお祖父様と同じ考え方。

さすが激動の時代(?)を超えて来たお2人だ、僕の暴走程度じゃ動じないらしい。

その後お祖母様にジーンを紹介すると、近くのガゼボへ連れて行ってくれた。


「ララティエ、ソフィア様はどちらに?」

「裏で木の実を取られていますよ。今は休憩時間ですから」

「ララー!!見て見て、すっごいいっぱい取れたー!!」


…噂をすれば、なんとやら。

声のした方を見てみれば、籠を持って少し小走りで近寄ってくるソフィア様がいた。

ただ…見た目は凄い変わったわ。

前は金髪に近い茶髪をツインテールにしたりとかしてたけど、今日は低い位置で緩く編み込んで結ぶ程度。

服もピンクのひらっひらとかじゃなくて、ワインレッドの簡素なワンピースに黒のストール。

化粧も最小限で、喋らないで微笑んでいれば育ちのいいおば様orおばあ様って感じ。


まぁさっきの話し方聞いちゃったし、僕はそう見えないけども。


「ソフィア様、走ってはいけませんよ。品がないと言われてしまいますし、何よりソフィア様が転んで怪我でもされたら大変ですから」

「はぁい、そうね、ララも走ったりしないもんね。気をつけまーす」


おぉ、なんか理解力上がってる?!

お祖母様の話をちゃんと聞けてるじゃまいか!


「…あれ?ララ、その子…」

「…孫の、ユージェリスさんですよ」

「あっ…!!えと、その…!!」


アワアワとしつつ、手に持っていた籠を地面に置くソフィア様。

スカートの埃を払ったり、髪型を手で直したり。

そして一呼吸置いてから、ふわりと微笑んだ。

その後真剣な面持ちになり、スカートを摘み上げ、綺麗な一礼をする。

…誰だこれ、マジで別人じゃまいか…!!

…でも中腰で固まってるせいか、全体的にプルプルしてるな。

靴がフラットじゃなくヒールだったら長くは続かなかっただろう。


「…ユージェリスさん、これでも頑張っているのですから、発言の許可をいただけますか?」

「へ?」

「前王妃よりも愛し子様の方が立場は上なのです。それに以前、ソフィア様は貴方に対して大変無礼な振る舞いをしました。ユージェリスさんの許しがなければ、ソフィア様は発言する事が出来ないのですよ」

「…お祖母様が僕に紹介するのでは駄目なんですか?」

「初対面であればそれで構いません。ですが前が…その、アレ、でしたし…」


…お祖父様もお祖母様も、少し目線を逸らす。

まぁ、本人に向かって流石に『バカ』とか言えないもんね…

一応王族だから、不敬罪と言われればそれまでだ。

ちなみにジーンは僕や父様から話を聞いた程度なのでまだ実感はない模様。


「…ご無沙汰しております、ソフィア様。お元気そうで何よりです」

「はい、お陰様でありがとうございます。また、愛し子様におかれましては私の初見の応対に不備があり、ご迷惑をおかけしました事は弁解のしようもございません。此度の件は全く申し開きの出来ない事で、幾重にもお詫び申し上げます。 今後はご迷惑のかかる事の無いよう、真摯に物事へ取り組む所存でございますので、何卒お許しのほどお願い申し上げる次第でございます。 今後、愛し子様がますますご壮健にて、ご活躍下さいますよう、精霊様へお祈り申し上げます」


だ・れ・だ?!!?!?

これ誰ぇ?!?!?!

めっっっっちゃ真面目に謝られてるぅ?!?!?!


「…お祖母様?」

「頑張ったのです…!!例えそれが丸暗記で理解がまだ半分ほどだとしても…!!」


うん、お祖母様、頑張ったね!!

お祖父様も感慨深そうに頷いている。

ジーンは放心状態だけども。


「…ソフィア様、私は貴女を許します。というか、もう怒ってませんし…お言葉使いもそこまで硬くならなくていいので、どうか楽になさって下さい」

「え…っと、その…」


チラリとお祖母様を見るソフィア様。

お祖母様が軽く首肯すると、眉をハの字に下げ、崩れ落ちるように地面にへたり込んだ。


「ふわぁぁぁ…めちゃくちゃ緊張したぁぁぁ…!!最悪殺されちゃうかと…!!」

「いや、僕、殺人は犯した事ありませんけど…」

「だって、精霊様とお話出来るんでしょう?!『アイツムカつく』って思ったら精霊様があたしをサクッと殺しちゃうかもしれないってファーちゃんが…!!」

「…お祖父様?」

「…今日はいい天気だな」


つい、胡乱げな目を向ける。

お祖父様はそっと目線を逸らし、空を見上げて始めた。

この野郎、脅しに使いやがったな…?!


「…生憎、思っただけじゃ精霊は動きませんよ。殺るとしたら僕の手で直接でしょうね」

「やだ、ファーちゃん以上に物騒な子だわ!!」

「じゃあファスナーお祖父様とガルフィお祖父様の血なんでしょうね」


どっちも激動の時代(?)を最前線で戦い抜いた人達だし、多少の残忍さもあるだろう。

確か色々潰したって聞いてるし。


「…ガル、元気かな…」

「…お会いになってないんですか?」

「うん…お手紙は月に1回くらい送ってるんだけど、殆ど返事が来なくて…」

「ガルフィ様がいらっしゃる領地はすぐ側なんですけど、ソフィア様はここから出ないという制限がありますからね…訪ねてきていただけない限り、お会いにはなれません」


成る程、一応領地内幽閉だもんな。

世間一般には旅を終えての領地療養的な扱いだけど。


「私は定期的に伺うようにしている。基本的には毎日、本を読んだりして過ごしているようだ」

「…ガル、私に会いたくないんだろうね…そうだよね、我儘で煩いあたしなんか…」


うわぁ、かなり反省出来てる。

成長したねぇ…

ちょっと、いや、かーなーり遅かったけども。


「さぁ、ユージェリスさんもいらした事ですし、お茶にしましょうか。ソフィア様の摘んで下さった木の実はクッキーにしても良さそうですね」

「あ、じゃあ僕が作ります。お祖母様はお茶をお願いしてもいいですか?ジーンに手伝わせますので」

「えぇ、構いませんよ。ジーン、こちらへ」

「はい、大奥様」

「お祖父様はソフィア様とお待ち下さい」

「承知した」

「…はい…」


うーん、元気なくなっちゃった。

あのテンション見てるからか、なんかちょっと心配になるよね。

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